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1419話 ローラースケートの強み

 【ではそろそろ今回のイベント……【チキチキ【菜刀天子】のレース実況配信】開始のカウントダウンに入りましょう】



 えっ、今回のイベントってそんな名前のやつだったのか!?

 レースそのものというよりもやっぱりお前実況配信したかっただけじゃないか!……という魂胆が露骨に出ているぞ。

 よくもまぁ、そんなイベント名で通したな【山伏権現】も。

 ……いや、あいつならむしろ面白がって通しそうだな。

 良くも悪くも【菜刀天子】が元々設定していたただの堅物から『面白い』感じに変わっていっている1つの指標になるし。



 【カウントダウン開始!10】



 おっ、とうとうカウントダウンが始まったか。

 ここからは気を引き締めないとな!


 【9】



 カウントダウンが始まり周囲のプレイヤーたちの姿勢が整っていく。

 車、バイク、ローラースケート……それぞれの姿勢はあるにしても皆の体が一斉に動いたのは間違いない。


 【8】



 ハンドルのある乗り物に乗ったプレイヤーたちはこのタイミングで強くハンドルを握りしめていった。


 【7】



 エンジンをふかす音が周囲に鳴り響き始めていく。

 ここの秒数になれば燃料の心配も誤差レベルだからな。


 【6】



 ローラースケート型のプレイヤーはここで身体をより深く前傾姿勢にしていく。


 【5】



 あっ、深く構えすぎて転けたやつがいる。


 【4】



 転けたプレイヤーは慌てて体勢を立て直しているがもうスタートには間に合わないだろう。


 【3】



 ここでゴクリと皆が喉を鳴らした音が聞こえてきたような気がした。


 【2】



 さあそろそろ……


 【1】



 レースの……


 【スタート!】



 スタートだ!!!

 





 【まず一瞬先頭に出たのはローラースケート型のプレイヤー、初速だけは他のマシンに勝てますからね】


 【そしてその先頭にいるのは劣化天子ですね】


 【ここまでは予定調和でしょう】



 そう、今の先頭は俺になっている。

 そこに続く他のプレイヤーたちも軒並みローラースケート型だな。

 なのでまずはローラースケート型のプレイヤーで知っている気配がないか探ってみる。

 この状況で後ろを見るのは車群に呑み込まれる恐れがあるので危険だからあくまでも気配を探るだけに抑えておいた。


 ……俺が知ってるローラースケート型2つ名プレイヤーは【メリケンサックボクサー】とくらいか。

 やっぱりローラースケート型は人気ないな……

 サーバーが別れているとはいえここにも大勢のプレイヤーがいるはずなんだが……

 マシンが三種類あって、多分ローラースケート型の使い手は一割くらいだろう。

 残りは車とバイクだ!

 俺もプレイヤーキラーとして狙われてなかったら絶対そのどっちか選んでいただろうし、気持ちはよーくわかるぞ。



 「ちわっす!

 【包丁戦士】さんもローラースケート型なんですね?」



 俺の後方を走る【メリケンサックボクサー】がさっそく話しかけてきた。

 見た目がアウトロー感あるのに絶妙に礼儀正しい感じなのは情報系クランの格付けとしては二番手とはいえ、【裏の人脈】という人の情報を集めることに重きを置いているクランのリーダーを務めているだけある。

 硬過ぎず、砕け過ぎず……そんな中間点を地で行くのがこの【メリケンサックボクサー】。

 そんな【メリケンサックボクサー】が何でローラースケート型を選んだのか気になるところだが……



 「相手にぶつかるなら出来るだけ自分の身で戦う……それが俺の流儀だからっすね。

 それに俺のジョブ【ウォーリア】との相性もいいからというものありますよ!

 見ていて下さい、これからトップに立ちます。

 スキル発動!【渡月伝心】!」



 【メリケンサックボクサー】が発動させたのは皆がよく聞く名前のスキル……【渡月伝心】だった。

 だが、メッセージを送ったわけでも円環粒子を生み出したわけでもない。


 全身を覆うようにオーラが生み出されているのだ!


 ……そう、【ウォーリア】のジョブに就いているプレイヤーは【渡月伝心】を身体強化スキルとして使えるってわけだな。

 そしてその身体強化はマシンであるローラースケートも強化範囲に含まれているらしく、そのまま俺をスイスイ抜いていきそのままトップへと躍り出た。


 その組み合わせで強化されるのは正直予想外だったので少々驚いたぞ?

 他のサーバーにいると思われる【ペグ忍者】辺りもこれに気づいていて身体強化をしながら今ごろはトップにいることだろう。

 あとは【虫眼鏡踊子】と【バールソルジャー】も身体強化に長けた猫系獣人に種族転生しているが、少なくとも【バールソルジャー】はバイクということが確定しているので、身体強化の恩恵はそこまで受けられない……はずだ。


 確証はないけどな!



 「このままトップでゴールまで行きたいんすけど、ちょっと厳しいですね。

 俺の流儀としては真っ正面からぶつかって止めたいですけど、数が多すぎるんすよね」



 そう、俺たちの後ろからはウォーミングアップを終えた他の二種マシンたちに乗ったプレイヤーの音が近づいてきていたのだ!





 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[一言] いや、実況配信は草ァ!
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