1418話 【菜刀天子】による激励
【ではこれより開会式を行います】
【実況は次元天子代行の私……【菜刀天子】が行わせていただきます】
【ちなみに、今回は【荒野の自由】が共催してくれています】
【底辺種族たち、この私の言葉を一言一句違わず覚えられるように静聴するように!】
【……いいですね?】
どうやらワールドアナウンスを利用してレース中のプレイヤーに状況を伝えるための実況を【菜刀天子】が行うようだ。
そういうAIが組み込まれているからと言われたらそれまでだが、あいつもこういうの結構好きだよな。
闘技場イベントの実況とか生産イベントの評論とかをしていたのもあり、基本的に人前で上から目線で喋ることが好きなのだろう。
ある意味天職とも言えるな!
【まずはおさらいで簡単にルール説明でもしましょうか】
【底辺種族たちの低脳な記憶力では忘れていることでしょうからね】
【とはいってもシンプルに説明するならば、一番早くゴールにたどり着いたプレイヤーが勝利となるということです】
【今回は包丁次元の中でもサーバー分けしているのでそれぞれのサーバーで同じ順位のプレイヤーがいることになります】
【また、クランメンバーの中の最高順位プレイヤーを参照してイベント後に報酬を上乗せします】
【なのでそれを前提に協力プレイをしてもいいですし、個人報酬のために全員で競い合うのもヨシです】
【この辺りはそれぞれの力量と相談してください】
【底辺種族たちでその判断が正しく出来るか高みの見物とさせていただきますよ】
相変わらずの上から目線の物言いだが、俺個人と話すときとは少し違う印象でもあるのでイベントの時の喋りは少し新鮮な気持ちにもなれるな。
そして上から目線でありつつも、ちゃんとプレイヤーたちにアドバイスしているのが【菜刀天子】らしいと言えばらしいな。
何だかんだお節介を焼くのは本質的にプレイヤーのことが好きなのだろう。
【では残り5分間は自身の持っているパーツを見直したり、マシンを装備、調整したりする時間とします】
【開始までさらに補足で説明をするので、作業をしながらでも聞き逃さずに覚えておきなさい】
【レース中には触れると自動的に入手扱いになるアイテムキューブがコース上に設置されます】
【そのアイテムは相手を妨害したり、自分の走行をサポートするような使いきりのものがラインナップされているのでタイミングを合わせて使うといいでしょう】
【ただし、レース中に手に入るアイテムキューブは1つが上限です】
【もし新たにアイテムキューブを手に入れたい場合には、既に持っているものを使用するか破棄する必要があります】
【アイテムキューブを手に入れられる機会は何度かあるので、それも踏まえて使うタイミングを考えるべきですね】
【底辺種族たちには難しいかもしれませんが】
その辺は他のレースゲームをやったりしたことがあるので馴染みのあるシステムだな。
俺以外のプレイヤーたちもこのルールなら直感でも対応できるレベルのはずだ。
異世界人たち……【釣竿剣士】、【バットシーフ】後輩、【黒杖魔導師】、【月杖錬金術師】辺りはやったことがあるかというよりはそういうゲームが異世界に存在するのか不明なので例外とする。
……そういえば何で異世界人が俺たちと同じボトムダウンオンラインをプレイ出来ているんだろうな?
前に【バットシーフ】後輩に聞いたが異世界で発売しているゲームがこちらの世界と全くタイトルが被っていなくて共通の話題すら無かったのだが、ボトムダウンオンラインだけが被っていてしかも同じ空間でプレイ出来ているのも妙な話だ。
どう考えても異質過ぎる……
この辺は一度ゲーム運営プロデューサーの【山伏権現】に聞いてみたいところだ。
この前【山伏権現】に頼まれた面倒ごとと無関係でも無さそうだし、あいつの目的に少しずつ迫ってきているような気がするぞ。
【それと、道中にはあなたたち底辺種族の走行を妨害するような仕掛けがあります】
【それを回避して通り抜けることが推奨ですが、力ずくで突破することも理論上可能です】
【このイベント限定で見た目よりも脆く作り上げてありますので、挑んでみるのもありかもしれませんね?】
【ただ、それに挑むのが勇敢なのか蛮勇なのかは結果次第になるでしょう】
【それで走行不能になってしまっては元も子もありませんからね】
【ですが、蛮勇を勇敢に変えたプレイヤーにはそれ相応のリターンがあることを保証しましょう】
【私たち聖獣や次元天子は『冒険者を導く』……それが宿業として定められていますからね】
【……おや、そろそろ5分経ちそうですね】
【語りはこれくらいにしておきましょうか】
底辺種族たちよ、冒険者であれ!……ですね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




