第二百九十六話 世界調理開始/食材確保㉟食べるために必要なこと(その3の62~63の途中まで)
「そうだな!今度こそ…勝つぞ!もう本当に後が無い!この一発が最後だ!」
そうだ、ケリをつけるんだ。
二人で!
そして、満を持して放たれた必殺の砲撃は…色々な意味で、とても熱かった。
連続の爆発は、狙い通りに発動し相手の巨大な爆発をなんとかすり抜ける。
その直前には、雷姉妹が遠くの星や巨大な雷雲から放つ山脈みたいな大きさの雷が目標の足を止めていたし、弾丸妹もまた再度の突撃と再爆破で、敵の力を削いでいた。
斥力応用に切り替えた隕石姉妹の精密誘導弾流星雨、火炎、冷気の斬撃、その他ありとあらゆる支援攻撃も、文字通り雨あられと降りそそぐ。
もちろん、エンサンと…あの王子の、ライオネルの子孫だって言う将軍たち軍隊も、必死に援護してくれていた。
結果としてアタイの予想以上の、想像したこともない猛攻撃が放たれ、確実に山獣頭の肉と体力をすり減らしていく。
そして、トドメに『姉妹』たちが最大限に協力してくれてようやく出来た、あの“連続爆破噴進弾”が、オレンジ色の光を放ちながら目標の急所へものすごい勢いで飛んでゆく。
勝てる、と思った。
だけど…
「う、うそだろ!?」
「まだ、動くだと!?ここまでやっても!?」
噴進弾は、完全に成功した。
それは絶対に、間違いない。
噴進弾は、山獣頭の頭?とにかくそのてっぺんを貫通し、きれいな穴を空けている。
ここまで破壊すれば、どんな生き物も、いや砦も城だって絶対に、ただの廃棄物に成り果てる…そのはずだ。
だがこの操縦席、砕けてぽっかりと穴が空いた壁から見えるのは、猛烈な土煙。
それが示すのは、目標の相変わらずの健在だ。
しかもそれは、今も恐ろしい勢いで突撃してきている。
「し、失敗か。もう逃げるしか、無いのかエルト?…エルト?」
こわごわとカスメルが聞いてくる。
けれど残念ながら、アタイはそれどころじゃなかった。
「いや、あれは…効果あったぞ!見ろ、カスメル!装甲が破れて脳みそが見えてやがる!あとちょっと、あと一撃だけ入れさえすれば今度こそ勝てる!ヤツを思う存分『調理』出来るんだよ!」
もはや万策尽きたかに思われる状況で、それどころじゃないってのは分かってる。
頭じゃ分かってはいるんだ。
けど同時にもう相手も限界なのが、アタイのこの望遠視覚には、今ならはっきりと見て取れるんだよ。
それは、ようやく…ここまで来て、ようやく見えた、光明なんだ。
だから、いくらもうヤバいとは分かってはいても…アタイはどうしても興奮を抑えきれなかった。
だけど、そこで通信が入ってきた。
副官様は、通信越しに当然のように無情に告げてくる。
〈いけません。その“一撃”を撃つだけの弾丸もエネルギーも、もう全く無いことをお忘れですか?〉
アタイは思わず反発した。
「だけど、だけどさあ!あとほんの少しなんだ!なんとかならねえのかよ!」
けれど、返ってきた言葉は、やはり無情だった。
〈なりません。貴方がたは、今すぐにそこから逃げてください。後は、まだエネルギーが残っている私たちで対処します〉
聞き入れたくなかったので、とっさに食い下がる。
「待てよ、それじゃ結局全滅しかねねえだろ!アタイらが居れば、まだなんとか…」
〈エルト、貴方は決死行にカスメルさんまで巻き込むおつもりですか?〉
思わず、息を飲んだ。
まさか、いつも任務第一のコイツから、そんな言葉が出てくるとは思いもしなかった。
苦しまぎれに、無理矢理返事をひねり出す。
「…今更それかよ」
だが、それもさらりとかわされる。
〈ええ、今更です。もう事情が変わりました。みっともなくてもみじめでも、今はとにかく逃げて、少しでも安全を確保してください。そして、出来るかぎり貴方の幸せを、ようやく見つけたぬくもりを守り抜いて下さい。それを得られなかった、私たちの分まで。それが私の、私たち『姉妹』の心からのお願いです〉
そうまで言われちゃあ…返す言葉なんて、もうなんにも残っちゃいなかった。
「…ちきしょう、卑怯だよアンタは…」
そんなところへ、
「に、逃げようエルト、一緒に!」
手を握ってきたのは、隣のカスメルだった。
そしてなんと、
「こ、これ、おくり物だ。やっと、渡せた…」
「こ、これは…!」
彼が渡してきたのは、テンか何かちっちゃな像がついたちっちゃな指輪だったんだ!
なんだこれ、すごくかわいい…!




