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飯田、真実への第一歩を歩みだす。

短めです。

3010年、ついに人類は、平和を謳歌出来たように見えた。


「やれやれ、まだ暑いな。」


飯田は汗をぬぐった。どうして、惑星の温度を完全に管理しないのかさっぱりわからない。なぜなら、それは、簡単なことだからだ。自然派の連中の進言で、まだ四季なんてものがあるのだものな。飯田はそう思う。


超高層ビルが眼下にそびえている。エレベーターは、どこまでも上っていく。行き先は、月。


飯田は、思い出す。久しぶりにあった上司の奇妙なお願いを。


「篠さん、久しぶりですね。」

「ああ、久しぶりだな。飯田。すっかり立派になっちまって・・・・。」

「なにいってんですか。篠さんこそ、まさか、こんなに偉くなるとはね。」

「単に幸運だったのさ。まちょっと他の連中より鼻が効いたのも確かだがな。」

「で、今日はなんなんですか?俺を呼び出すなんて、よっぽどでしょ。」


篠原は、写真を放ってよこした。


「覚えてるか?」

「忘れるわけないじゃないですか。彼、失踪しちゃったんですって?」

「ああ。」

「でも、なんで、産業省のトップにまで登りつめて、失踪しちゃうかな?」


写真に写っているのは、星だ。まだ駆け出しの時、飯田が取り調べた事件の関係者だ。


「で、これがどうしたんですか。確か、この件は片付いたはずじゃ。単なる失踪事件で、外国勢力のかどわかしでも事件でもないって結論が出ていたと思いますけど?」

「ああ。だが・・・・。」

「例の勘ですか?ほどほどにして下さいよ。」

「まあ、そういうなって。実はな、これ、例の事件にどうも繋がっているんじゃないかって思うんだよ。」

「へ?それって例の事件ですか。まさか、もう25年も前の出来事ですよ。」

「星のさ、後釜、誰だか知ってる?」

「さあ、俺、そういうこと、うとくって」

「坂口だよ」

「坂口?」

「例のもう一人の方さ。」

「え、でもあの後、確か、アメリカの大学に移ったって聞きましたが?教授かなんかやっているんじゃなかってでしたっけ?」


篠原は、飯田の手元に、書類を投げた。


「これは?」

「俺がずっと調べていたこの事件に関するファイルさ。」

「こんなに・・・・・。」


飯田は絶句した。なんだって、こんな古い事件を・・・・・。



「でもこれを調べるのに、何の妨害すらなかった訳ですよね。裏があるとは思えませんよ。」

「妨害なんてすれば、もちろん何かあるってすぐ分かるさ、でも向こうが、何の証拠も残していなかったとしたら?そして、俺たちよりもずっと上手だとしたら?」

「まさか。」


飯田は身震いをした。


「飯田よ。この部屋は、完全に、守られいる。お前にバグがついていないかどうか、何度もスキャンしたし、この部屋の外には電波すら出て行くことは叶うまい。そしてそれだけやっても・・・・。」

「まだ心配なんですね。」

「そうだ。」


飯田は、ため息をついた。篠原は落ち着いて話を続けた。


「ま、ともかく杞憂だったらそれでいいんだ。俺も退職間近だしな」


篠原もため息をつく。飯田は星と坂口に関する書類を眺める。写真の山。人類最高の知性を持つロボット、響を開発した時の写真、星の失踪を知らせる記事。そして、アメリカのカーネギーメロン大学の学部長からいきなり産業省への転身を知らせる記事。


「何もなければ、それでいいんだ。まあ、俺からの頼みだということで、動いてくれ。こっそりと。もちろん、手当なんかはなんとかするから、表向きは、休暇ということで。」

「いやはや、わかりましたよ。相変わらずですね、篠さんは。」

「まあ、そういうなよ、飯田」


いったい、何があるというのだろうか。極めて単純な事件にしかみえないのだが・・・・・。飯田は今日、何度目になるのかわからないため息をついたのであった。




よろしくお願いいたします。

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