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クラウスの出した最終通告には返答はなく、実力行使となった。
今、ノール・オーヴァの中央市街地では、騎士団とギルド・グシオンとの戦いが展開されている。
数の上ではグシオンが有利ではあるが、ここに敵を失った反乱軍が加わったことで戦いは三つ巴となっていく。
それによって状況としては五分で戦いを進めることに成功していた。
「うおおおっ!」
エリアスのショートソードの一太刀が、グシオンの兵士を斬り捨てる。
「俺だって少しは強くなってんだよ……!」
「エリアス、後ろ!」
一人倒したのも束の間、エリアスの背後から兵士が迫る。
「うおっ!」
何とか振り向いてその一撃を受け止めたが、相手のロングソードの一撃を受けて、エリアスはたたらを踏んだ。
「何やってやがる!」
クラウスの光の鎖が敵兵を拘束し、その間にエリアスはその場から脱出する。そのまま鎖によって敵を絞め落とし、無力化していった。
「わ、悪い……!」
「世話を焼かせんな! ミア、民間人の救助を最優先にしろよ! まだその辺りの建物に隠れているかも知れないからな!」
「は、はい!」
クラウスからミア、ミアから兵士達へと指示が飛んでいく。
彼等は統率された動きで戦い、また避難が済んでいない民間人を見つけては確保し、安全な場所への護送を優先していた。
「はー、本当に騎士団にもまともな人達がいるんだなぁ」
しみじみとエリアスがそう言うのを聞いて、襲い掛かってくるグシオンの兵士達をできるだけ殺さないように無力化しながら、ルクスが頷いた。
「そうだね。ああいう人ばっかりだったらいいんだけど」
「な。正直、見直したよ。っとぉ、やらせねぇぞ!」
エリアスは軽い身のこなしで、壊れた二階建ての建物へと飛び移り、そこの窓から瓦礫の裏側に隠れた魔導師を狙撃する。
雷を纏わせた矢を受けて、数人の魔導師達が倒れていく。それを確認してからルクスは、一気に敵の一団へと切り込んでいった。
「こいつ、人造兵っ……!」
慌てるグシオンの兵士達を、迅速に無力化していく。
既にこの時点では、グシオンで厳しい訓練や任務を受けている兵士達ですらもルクスに対して有利に立ち回ることは難しいほどの実力差となっていた。
「キリがねえな!」
クラウスが襲い掛かってきた兵士を、数人纏めて吹き飛ばしながら愚痴る。
彼等が幾ら倒しても、グシオンの兵士達は次々と集まってくる。
恐らくは騎士団の進軍が始まったことを聞いて、各地に散らばっていた兵士達が一か所に集まってきているのだろう。
クラウスの魔法でまとめて五人を拘束し、その後ろから襲ってくる五人を大剣が吹き飛ばす。
背後から飛んでくる魔法を彼の光の壁で弾いてもらいながら、ルクスは敵の位置を把握してそこに飛び込み、魔導兵達を一気に戦闘不能にまで追い込んでいく。
「じ、人造兵め、化け物……!」
ルクスはそう言った魔導兵を気絶させ、地面に横たえる。
「別に化け物でもいい。……でも仲間は返してもらう」
誰に言うでもなくそう言ってから、エリアスへと顔を向けた。
「エリアス! ここは僕達に任せて先に!」
大分敵を引き付けたこともあって、エリアスの足ならばこの包囲を突破することも不可能ではない。
「先って、俺が行っても何にも……」
「ベオ達が捕まっているところを見つけて、可能なら解放を! もしそれが出来なくても、ウィルフリードの目的がわかればそれでいい!」
「……了解!」
そう指示を飛ばされたエリアスに、迷いはない。
彼はもう、自身がこのギルドでやるべきことを完璧に把握し、それをこなすだけの意志の強さも持っている。
「後から来いよ! 俺一人じゃウィルフリードになんて絶対勝てないんだからな!」
そう言い残して、エリアスは風のようにその場を立ち去っていく。
「部下を行かせたか?」
「はい、負担は増えますけど」
「好きにしろ。お前等は俺の部下じゃねえ。で、なんでお前は残った?」
「……せめてあれぐらいは倒しておかないと」
ルクス向けた視線の先、そこにグシオンの一個中隊が迫っている。
その数に押しつぶされては、ただでさえ非戦闘員を抱えている騎士団はひとたまりもない。だからせめて、今目の前に迫る奴等だけでも対処しておこうというのはルクスの考えだった。
「お人好しだな」
「そう言う経営方針です」
「……俺はギルドは嫌いだが、お前等は今後も贔屓してやる」
敵が散開して迫ってくる。
武装した兵士達に、中央からやってくるんのはそれよりも一回り巨大な鎧。
駆動鎧、そう呼ばれる魔力による強化処理を施された全身を覆う装甲は、鎧を着こんでいるというよりも中に入って動かしているような相手だった。
「雑魚は任せろ。でかぶつを頼めるか?」
「やってみます!」
クラウスが散開し、目の前に駆動鎧が迫る。
ルクスからして見上げるほどに大きなその巨大、そこには一切の隙間もなく身体を覆っている。
顔全体を覆う兜から、くぐもった声が漏れた。
「まさか、君がここで私の前に立ち向かうとはな」




