第六層
戻ると、残りは相棒が倒していた。
鳥や小型恐竜のすべてに蜘蛛の巣がかかり、地に倒れている。
ピクピク痙攣している者がいるので、相棒の基本戦術である《蜘蛛巣》で動きを封じての《毒牙》だろう。
俺の姿に気が付くと、あいぼー、と声をかける。
「驚いたわ。こいつら《蜘蛛巣》破りおった」
「へぇ?」
相棒の《蜘蛛巣》は俺でも破るのに時間がかかる。聞けば、鳥は飛行の勢いで破り、小型恐竜は力づくで破ったそうだ。
それでも傷一つ追っていないということは、何とか動ける程度だったのだろうけれど。
さてさて、お食事タイムである。
それぞれ自分が倒したものを食ったが、鳥も一匹食った。どうやら《薙ぎ払うLV4》で首の骨を折っていたらしい。
尾での攻撃も強くなったのだと、感慨深くなりつつ味わった。
「「うっま!」」
濃厚な味である。鳥はそのまま上質な鶏肉だし、木は美味い野菜のようだった。
何より熊だ。元々の肉も美味いのだろうが、邪眼の蛇が焼いてくれたおかげで初めて焼いた肉を食えた。人型でないから、咀嚼して味わえないのが残念だ。
絶対に欲しいと思っていたが、あの燃やす邪眼は何としても手に入れなければならないと、決意を新たにした。
何よりカッケェし。
それが、とりあえず今この森で得る、最後の目的になるだろう。
予感があった。次の《存在進化》で、俺は相棒と同様の人型に進化する。
そして、夕方に見た上空からの景色。
南へ向かえって森を出れば、そう遠くない距離に町がある。
北は果てしなく遠い。
ここで一度、森を出て人と交わるべきだ。
おそらくこの第六層(と《南の森の知恵LV2》が言っていた)にも敵はいなだろう。
相棒といるなら、尚更だ。俺達はただでさえ強いし、最低限注意深く進む。
そして二人ともが《消化吸収能力》を持っている。これから進むにつれ、より良いスキルを獲得し強化していくだろう。
強くなっていき、あの遠目に見える建造物に到着し、より高位の魔物になる。
悪くないとも思う。
ただ、人間の生も面白そうなのだ。《勇者》として生きる可能性があるなら、尚更。
「あいぼー、これ食ってみぃ?」
そう言って、相棒が恐竜肉を差し出す。
「何これめっちゃ美味い」
何これ、めっちゃ美味い。
せやろーと、相棒が俺に微笑む。
美味いと思うと共に、調理したらもっと美味いんだろうな、という思いが離れない。
最早迷ってさえいない。次の《存在進化》の後、俺は森を出る。




