再び強者たち
「「ほぅ?」」
着地した先にいたのは、小型の恐竜や大きな鉤爪を持った巨大な熊、大きな邪眼の蛇もいるし、森の木の数本は顔があり根を地中から出して動き回っている。
気に入ったのは、俺たちの姿を見ても恐れて逃げることがない。それどころか、値踏みするような目で見てくる。
上から三羽の巨鳥も、俺が折った枝葉の間から降りてきた。
そいつらも、周りの魔物がいることに怯んでいる様子はない。
緊張感はある。ただし、一方的に捕食されることへの恐怖による緊張感ではない。
未知の相手の戦力と、自負する己の能力、それを天秤にかけるような緊張だ。
「なぁ、あいぼー」
「ん?」
「ここ来て、よかったわ」
相棒は幼女の顔で獰猛な笑みを浮かべる。いい笑顔だ。
俺もそんな表情をしているのだろうか。
最初に動いたのは熊だった。長く伸びた右の鉤爪を俺に向けて伸ばす。
はっや! 避けるが、首の一本にわずかに掠り流血する。
思い付きを試してみる。
《体液操作LV2》
血を操作して熊の眼へ眼潰し。避けた首でそのまま右腕を《握撃LV3》。
お? 硬いなと思ったが、噛み千切った。
熊は残る左腕で眼を押さえたので、左手ごと真ん中の頭の《握撃LV3》で頭蓋骨を砕きながら、熊の後ろで隙を狙っていた大きな邪眼の蛇へ、
《恐怖の邪眼LV2》
をかけた。
効いている様子はない。それどころかこちらから眼を背けることなく、真っ向から見返してくる。
背後から鳥の一匹が俺の背に爪を立てようと浮上後降下していたので、尾で頭を《薙ぎ払うLV4》。
頭の一つで後ろを見ているのに、気付かなかったのだろうか? 阿呆な鳥だ。死んではいないだろうが、激しい脳震盪くらいは起こしているだろう。
邪眼の蛇と見つめ合っていると、突如熊が燃え始めた。
「うぉっ!?」
慌てて咥えていた熊の頭を離す。気付くと俺の身体も燃え出している。
見つめる相手を燃やす《邪眼》でも持っているのだろうか。何それめっちゃ欲しい。
欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい。
《身体操作》《瞬発LV9》《突貫LV4》《破砕牙LV3》
《締め付けるLV3》《破砕牙LV3》×4
……ふむ、大蛇にはオーバーキルだったようだ。《邪眼》に特化していたようで、反応も動きも鈍かった。物理的な攻撃への防御も弱かったのだろう。
《突貫LV4》で例の如く止まれなかったが、燃えている俺の炎が木の魔物に燃え移り、炎上した。
邪眼の蛇を《丸呑みLV4》すると『てれれってってってー』の天の声が聞こえたので、燃えていた皮を脱皮する。
燃えていない木の魔物数匹が、枝葉で殴って来る。群れへと突っ込んでしまったようだ。
「お、なかなか痛い」
鱗のある部位で受けているのでダメージは少ないが、腹の部分を殴られればそこそこのダメージを受けそうだ。
尖った枝で刺してくる者もいた。そいつを中心の頭で《握撃LV3》したが、驚くことに噛み切れなかった。噛み切れないアスパラみたいだと、前世の知識が訴えてくる。
食物繊維ではなく、セルロースだろうけど。
仕方ないので他の頭の《破砕牙LV3》×4で咥えた上げて地から離し、周囲を《恐怖の邪眼LV2》で睨めまわす。
動きを止めたところで、身体を浮かせて周囲を尾で《薙ぎ払うLV4》。
使用頻度が少なくスキル熟練度も低いからか、どうしても尾での攻撃は牙系の攻撃より弱い。牽制や距離を取ること目的にしか、ほとんど使えない。
力が入ったからか、咥えていた木の魔物は死んだ。吐き出すと、他の木の魔物が逃げ出した。
あまり美味そうではなかったので追わず、倒した一本を咥えなおして相棒の元へ戻る。




