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お昼休みになると私は気配を殺し教室を出る。人の波に逆らうようにして校舎の裏へ。
外へと通じる鉄扉は重く、肩ごと押し込む。
そのつどに錆が浮き、クリーム色の剥げた塗装が、制服の肩口に付いて煩らわしかった。
外に出ると独特のカビ臭さが鼻を突く。
晴れてる日はまだ、マシだけど。
作ってくれるお弁当は、こう言っては何だけど、割と美味しい。
肉や魚は少なめ、野菜多めなのがちょっと不満。
今日のおかずは卵焼きに、こんもりヤキソバ。
こういう日も、たまにある。
マスクを外し手を合わせる。
少し焦げた卵焼きに、箸を伸ばした時だった。
鉄扉が開かれ、ひとりの男子生徒の姿。
咄嗟に顔を傾け、隠し背ける。
その拍子に、膝の上のお弁当が無残に滑り落ちた。
無駄にしてしまったのは、これで二度目。
構ってはられなかった。
傷痕を隠すのが、精一杯。
「俺のせい、だよね?」
どちらとも固まる表情。
「渡良瀬さん?」
同じクラスの男子だった。
名前は――、知らない。
乙女の恥じらいなんて甘いもんじゃない。
これから一年の。
下手をすれば、高校生活すべてが。
中学校時代のように……。
「見たの?」
泳ぐ視線。
それだけで分かってしまう。
「ごめん。弁当が……」
「見たの!」
意識せずとも、語気が荒くなる。
頷く彼と視線は合わない。
睨み付ける私と目を逸らす彼。
これが彼との――。
居角日向君との、ファーストコンタクトだった。




