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口裂け女が、恋しちゃダメですか?  作者: 閃光HANABI
プロローグ&第一章
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4

 お昼休みになると私は気配を殺し教室を出る。人の波に逆らうようにして校舎の裏へ。

 外へと通じる鉄扉は重く、肩ごと押し込む。

 そのつどに錆が浮き、クリーム色の剥げた塗装が、制服の肩口に付いて(わず)らわしかった。

 外に出ると独特のカビ臭さが鼻を突く。

 晴れてる日はまだ、マシだけど。

 作ってくれるお弁当は、こう言っては何だけど、割と美味しい。

 肉や魚は少なめ、野菜多めなのがちょっと不満。

 今日のおかずは卵焼きに、こんもりヤキソバ。

 こういう日も、たまにある。

 マスクを外し手を合わせる。


 少し焦げた卵焼きに、箸を伸ばした時だった。

 鉄扉が開かれ、ひとりの男子生徒の姿。

 咄嗟に顔を傾け、隠し背ける。

 その拍子に、膝の上のお弁当が無残に滑り落ちた。

 無駄にしてしまったのは、これで二度目。

 構ってはられなかった。

 傷痕を隠すのが、精一杯。

「俺のせい、だよね?」

 どちらとも固まる表情。

「渡良瀬さん?」

 同じクラスの男子だった。

 名前は――、知らない。

 乙女の恥じらいなんて甘いもんじゃない。

 これから一年の。

 下手をすれば、高校生活すべてが。

 中学校時代のように……。

「見たの?」

 泳ぐ視線。

 それだけで分かってしまう。

「ごめん。弁当が……」

「見たの!」

 意識せずとも、語気が荒くなる。

 頷く彼と視線は合わない。

 睨み付ける私と目を逸らす彼。


 これが彼との――。

 居角日向(いすみひなた)君との、ファーストコンタクトだった。

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