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口裂け女が、恋しちゃダメですか?  作者: 閃光HANABI
プロローグ&第一章
4/15

3

 

 中学卒業式の朝。

 三年間通った学舎(まなびや)を前にして、何の感慨も抱かない。

 保護者として施設の方が出席してくれると言ってくれた。

 今までも授業参観などは拒否してきたので、「最後くらい」となかなか引き下がらなかったが、私は(かたく)なに断った。

 学校での惨めな自分を見せたくはなかったから。

 式後、最後の別れを惜しむ生徒を押し退けて、校庭の隅に向かう。

 手にした卒業証書を思い切りゴミ箱へ投げつけ、もう二度と来ることもない中学校を後にした。

 中学卒業後、近くの公立高校へ進学。

 公立雛坂台(ひなざかだい)高校。

 急な坂道は、じわじわと体力を削って。

 重心を前へ前へと傾けながら登る。

 俯いた視線の先には春の陽光に照らされ、茶色く光る革靴。

 私は持っていた運動靴で構わなかったが、学校指定のもの以外は不可だったので、仕方がなく新調させてもらった。

 私がお金を出した訳ではないけれど。

 両脇に並ぶ桜の木はもう散り始め、葉桜へと変わり始めていた。

 あと、ひと月も経てば、この道も通いなれると思う。

 入学式から慌ただしく時は流れ、高校生活は多くの生徒にとって、日常となりつつある。

 マスクを外さない私はクラスで多少浮いていた。

「渡良瀬さん、どうしていつもマスクしてるの?」

 ストレートな物言いで、尋ねて来る子も。

 無邪気な笑顔で。

 それでも。

 ――怖い。

 打ち明けることも、向けられた笑顔さえもが。

 全て見透かされているようでいて。

 適当にごまかす。

 けれど、マスクを外さなければならない時がある。

 お昼ご飯。

 高校に入って、初めての昼食は食べることが出来なかった。

 探していたから。

 誰もいない場所。

 校舎裏の非常階段。

 日の当たらない……、場所。

 見つけた時には、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴っていた。

 その日の帰り道。

 作ってもらったお弁当を、ゴミ箱へと捨てた。

 仕方のないことだと言い聞かせて。

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