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口裂け女が、恋しちゃダメですか?  作者: 閃光HANABI
プロローグ&第一章
3/15

2

 渡良瀬月子――。

 お守りを握りしめるたびに、この名を強く思う。

 両親は、どんな願いを込めて私にこの名を与えてくれたのだろう。

 今ではもう知ることも出来ないし、過去の名になりつつある。

 反発することも出来ず、卑屈にその名を手放した私を、両親はどう思うだろうか。

 叱ってくれるだろうか、それとも憐れんでくれるだろうか。

 想像することしかできない私は、都合よく自分を慰めることしかできない。

 私の一番古い記憶は、児童養護施設の玄関先で、泣きじゃくっていたこと。

 なぜ両親から引き離され、見慣れない場所に連れてこられたのか?

 ふたりに会いたい。

 その寂しさに小さな小袋を握りしめ、涙していた。


 私の五歳の誕生日。

 ささやかなお祝いを終え、父の運転する車で帰る途中――。

 小さな子供がゴムボールを追いかけて飛び出してきた。

 避けられない。

 急ハンドル。

 車はガードレールを突き破り、そのまま川へと転落。

 両親は車に押し挟まれ、あっけなく命を失った。

 私だけが救われたけれど、代償に割れたガラス片で顔を切り裂かれてしまったらしい。


 ――これは、ずっと後で知ったこと。

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