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口裂け女が、恋しちゃダメですか?  作者: 閃光HANABI
プロローグ&第一章
2/15

1

 文化祭も終わり、肌寒さが増して来る季節になっても、気持ちの悪い日常は繰り返される。

「渡良瀬さん私のハナシ、聞いてた?」

 ……来た。

 彼女の常套手段。

「面白く無かった?」

「そんなこと無いよ」

 次はこう来る。「嘘だ」そして。

「嘘だあ。笑って無いじゃん」

 執拗に。

 安全地帯から被害者を装って。

「面白かったよ」無様にヘラヘラ笑う私。

 頬に感じるのは、違和感。

 私が大嫌いな鏡の前で、絶対に笑わない理由そのもの。

 熱くなった体に反比例して冷めてゆく脳内と、チリチリ(うず)く頭皮。


「そう、良かった!」

 満足した笑顔で、次の話題へ移ってゆく。


 良くない。

 全然……、良くはない。

 取り残された憤りは、体に時間をかけて染み込み、またひとつ仮面は重ねられる。


 ポケットの中で握りしめる、お守り。

 両親と私との。

 頼りなく、細い絆のようなもの。

 確かに、私が愛されていたことの証。

 じっとりと湿り気を帯びた手のひらに、古びてしまった木綿の手触りが伝わった。

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