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文化祭も終わり、肌寒さが増して来る季節になっても、気持ちの悪い日常は繰り返される。
「渡良瀬さん私のハナシ、聞いてた?」
……来た。
彼女の常套手段。
「面白く無かった?」
「そんなこと無いよ」
次はこう来る。「嘘だ」そして。
「嘘だあ。笑って無いじゃん」
執拗に。
安全地帯から被害者を装って。
「面白かったよ」無様にヘラヘラ笑う私。
頬に感じるのは、違和感。
私が大嫌いな鏡の前で、絶対に笑わない理由そのもの。
熱くなった体に反比例して冷めてゆく脳内と、チリチリ疼く頭皮。
「そう、良かった!」
満足した笑顔で、次の話題へ移ってゆく。
良くない。
全然……、良くはない。
取り残された憤りは、体に時間をかけて染み込み、またひとつ仮面は重ねられる。
ポケットの中で握りしめる、お守り。
両親と私との。
頼りなく、細い絆のようなもの。
確かに、私が愛されていたことの証。
じっとりと湿り気を帯びた手のひらに、古びてしまった木綿の手触りが伝わった。




