第8話:恋愛、みんなで、語るシス!
第8話:恋愛、みんなで、語るシス!
「……てか、普通にクラスメイトと飲むだけだし、何故エミさんにそれを報告する必要があるんですか?」
道中、僕は思わずサオリさんに反論してしまいました。
「え、あ、まあ……それは確かに」
いつも強気なサオリさんが、珍しくリサの納得顔に押されて言葉を詰まらせています。
「まあまあ! エミちゃんはバイトだし、しゃーないって!」
リサが豪快に笑いながら僕の背中を叩きました。
「うちらが相手してやるんだから、タカシにゃ贅沢すぎるだろ?」
確かに、これまでの「男くさい」人生を思えば、これだけ綺麗な女子たちに囲まれて歩くなんて、前世でどんな徳を積んだのかと疑いたくなります(※なお、お酒は二十歳になってから。今日はノンアルと雰囲気で勝負です)。
「さあさあ、サオリちゃんも行くよー!」
リサに押し切られる形で、一行は僕の部屋へ。途中、サオリが「飲み物買うから」と立ち寄った酒屋で、手際よくつまみと酒を買い込みました。
築十年ほどの、そこそこ綺麗なワンルーム。
「お、いいじゃない!」
202号室のドアを開けると、女子たちは口々に「おお〜」と声を上げました。
「まだ越してきたばかりだから、散らかりようがないだけだよ」
「じゃあ早速、かんぱーい!!」
リサやサオリが、一週間の疲れを吹き飛ばすように喉越しMAXで飲み物を流し込みます。
「ぷっはー! 学校始まって初めての休みだもんね、最高!」
「お、タカシくん? 飲みなよ、ほら!」
勧められるのを制して、僕はキッチンに立ちました。ガスコンロに火をつけ、フライパンで豚キムチと焼肉をさっと炒めます。じゅわぁ〜といういい香りが部屋を満たしました。
「な、何これ!? 女子が五人もいながら、全員飲んでタカシに家事させてるんだけど!」
「あはは! いい旦那になるぞ、こいつ!」
驚くリサたちに、僕は皿を出しながら苦笑しました。
「うちは父子家庭だったから。これくらい普通だよ」
(……本当は、酒浸りの親父の代わりに中学から作らされてただけなんだけどな)
と、その時。買い出しのミスに気づきました。
「あ、やべ。刺身買うの忘れてた。……ごめん、ちょっとそこのスーパーで買ってくる。飲んでて!」
僕は慌ててキーを掴み、駐輪場へ。カバーを剥ぎ取り、愛車「カワサキ・ゼファー750」に跨がります。
――ドゥルン!!!
重厚な排気音が夜の空気を震わせました。
「えっ、何あのバイク!? タカシ、あんなイカついのに乗ってるの!?」
2階の窓から身を乗り出したリサが、夜風を切って走り去る僕の背中を呆然と見送っていました。
部屋では、残された女子たちの「品評会」が始まっていました。
「そういえば、まだお互いのこと、あんまり知らないよね」
サオリがリサの隣に座り、ポツリと言いました。
「そうだねー。タカシが帰ったら色々喋らせようか。……まあ、あいつはエミちゃんが好きなんだろうけどね」
リサがニヤリと笑ってサオリに振ります。
「どうなの、サオリちゃん?」
「えっ……ど、どうだろ。聞いたことないけど。……まあ、あいつにはエミはやれないわよ。彼氏、結構かっこいいし!」
「そーお? けどタカシくんも割と……っていうか、相当レベル高いと思うけどなー」
リサが言うと、他の女子たちも「確かに」「顔はいいよね」と同意の声を上げます。
「…………そう、かなぁ……」
サオリは、ビールの缶を見つめたまま、自分でも説明のつかない複雑な表情を浮かべていました。




