第13話:再会は爆音と共に
第13話:再会は爆音と共に
放課後の帰り道。いつものようにエミさん、サオリさんと共に駅へと向かいます。駅に着けば、彼女たちは東へ、僕は西へ。
「じゃあまた明日ね、タカシくん!」
無邪気に手を振るエミさんの笑顔は、今日も国宝級の可愛さです。
(ああ、癒やされる……。サオリさんも、あのトゲトゲした性格さえ見習えば、顔立ちは割と可愛い方なのになぁ)
なんて、口が裂けても言えないことを考えながら、僕は二人を見送りました。
今日は真っ直ぐ帰らず、駅前の本屋へ。かつての僕なら真っ先にバイク雑誌を手に取っていましたが、今は看護の参考書を抱えています。
我ながら、随分と遠くへ来たものです。
本屋を出て駐輪場を通りかかった時、一台のバイクに目が止まりました。
(……ん? あのCB、どこかで見覚えが。まさか、ヒサシ先輩の……?)
地元の高校で、拳を交え、何度も死闘を繰り広げた「最凶の先輩」ヒサシ。そんな男が神戸にいるはずが……。
すると、本屋から背格好の似た男が出てきました。服装は「純朴な学生」そのものですが、その男がイカついCBに跨がった瞬間、確信に変わりました。
「……ヒサシ先輩?」
男がヘルメットを脱ぎ、鋭い眼光をこちらに向けました。やはり、ヒサシ先輩です。
「おー、おー……タカシか? なんだおめえ、その格好。随分と変わっちまったな」
「先輩こそ、なんすかその純朴なフリ。バチバチのヤンキーだった先輩が、なんで神戸に……」
「いや……俺、今、看護学校通ってんだよ」
「えっ?」
「……俺もっす」
「「…………っす」」
二人の吐息が見事に重なりました。まさか、因縁の先輩と「ナースの卵」として再会するなんて。
「まあ、久しぶりだ。飯でも行くか。二駅向こうに旨い中華屋があるんだ。付き合え」
(けっ、なんで神戸に来てまでこの人と……)
と思いつつも、たまには純朴仮面を外して、地元のノリに戻るのも悪くない。
「……うっす。付き合います」
放り投げられたヘルメットをキャッチし、僕は先輩のケツ(後部座席)に飛び乗りました。
「おめえ、ゼファーはどうした?」
「乗ってますよ」
「……じゃあなんで俺の後ろなんだよ」
「方向、逆だったんで」
「まあいい。行くぞ!」
ドウルン!!
重厚な排気音が街に響きます。先輩も久しぶりの身内との再会にハメを外したのか、見事なコールをかましながらコーナーを攻めます。
僕は阿吽の呼吸で体重移動を合わせ、かつての「風」を思い出していました。
あっという間に二駅先の駅前に到着。派手なネオンが輝く中華屋の暖簾をくぐります。
「いらっしゃいませー!」
聞き覚えのある、弾けるような明るい声。
チャイナ服に身を包み、お冷を運んできたその子は、店内のどの照明よりも眩しく輝いていました。
「……あ、あなたは!?」
タカシの目の前に現れたのは、バイト中のはずの、あの「太陽」でした。




