#7
>>Towa
結局「空間転移魚雷」と名付けられた私発案の武器は実現化に少し時間が掛かるらしい。
出来たらアルカンシェルに積んでくれるらしいので、気楽に待つことにした。
で、開発が終わるまでのつなぎに、とりあえずは光子魚雷をアルカンシェルへ搭載することになったんだけど。
作業の待ち時間にエレオノーラ達に放浪機に追跡されて振り切るのが大変だったという話をしたら、デコイユニットとか言うものもオマケに積んでくれる事になったんだ。
「デコイって何?」
「敵を引きつける囮のようなものですね。これがあればセンサー上ではアルカンシェルがもう1機現れたように見せかけることができます。目視距離ではあまり意味がありませんけど……」
「食い逃げし放題?」
「トワ様、犯罪行為には使わないでくださいね?」
もちろん、冗談だ。美味しいご飯を作ってくれた人に対価を払わないなんてありえないからね。
ともあれ、懸案事項だった武器の搭載は済んだけど、アリサの表情はすぐれない。
うん、理由はわかってる。惑星破壊爆弾のことだ。
アリサはエレオノーラ達に惑星破壊爆弾の在庫がいくつ持ち出されているかを確認したんだけど、結果は「持ち出されていない」だったんだよね。
前回ここを訪問したときに当時のG17は惑星破壊爆弾を紹介してくれたけど、リュミエールと違って惑星破壊爆弾が持ち出されたとは言ってなかった。
別に誰かが持ち出したことを隠していた訳じゃなくて、本当に持ち出されてなかったんだ。
でも、それなのにギルドは少なくとも2発の惑星破壊爆弾を使ってる。
それが意味するのは、ギルドが持ち出したのは惑星破壊爆弾の現物じゃなくて製造方法だったってことだ。
前回、アリサは研究棟のデータベースが破壊されていることを確認していたけど、どうやらデータの破壊時に研究データが持ち出されていた可能性があるらしい。
「未知の技術による兵器の現物を持ち出してそのまま使ってるのかと思ったのですが……どうやらデッドコピーを作っているようですね。これではギルドが保有している残数は把握しようがありません」
「またどこかで使うの?」
「メラニーのことは好きではありませんが、彼女が覇権主義でないことは私も理解しています。ですからギルドとして惑星破壊爆弾を再度使用する可能性は低いと思いますが……」
「誰かが勝手に使う?」
「ええ、実際にピアースか、その手の者が使っていますからね。メラニーに技術情報の管理体制を問い詰めておく必要はありそうです」
惑星を壊すことしか出来ない爆弾なんて使い道がないと思ってたんだけど、実際には短期間で2発も使われてるし。
私が思ってる以上にこの兵器を使いたい人は多いのかもしれないね、困ったことに。
その後、改修が終わったアルカンシェルの様子を見にドックへ向かったけど、ドックに駐機しているアルカンシェルの船体は何かが変わったような様子はなかった。
光子魚雷、積んでるんだよね?そう思った私がエレオノーラに確認すると、船首の双胴部分が4箇所スライドして魚雷の発射口が現れた。
『平時は弾頭保護と偽装のために装甲板で発射口を遮蔽しています』
「ほほう」
片側しか見えてないけど、どうやら反対側も同じようになってるらしい。
古代文明……じゃなくてオリオン腕の技術ってすぐにスリットとかを隠したがる傾向があって、前々からわかりにくいのが気に入らなかったんだけど、これは隠しておいた方が正解だ。
もしかしたら各種の端子を隠すのもなにか理由があるんだろうか。
いや、きっと違う。だって船内のスリットを乗ってる私達から隠す意味がないからね。
「それは良かったです。明らかに武装を搭載していることが判れば、入港の度に面倒なことになりそうですから」
「でも実際は武装してる」
「私のレゾナンスブレードやアイリスさんのアガシオンと同じですよ、トワ様。武装の有無よりも、武装しているように見えるかどうかが意味を持つこともあるんです」
アリサはそう言うけど、私には同じように思えた。
持ってるけど使わない、というのは抑止力っていうやつに繋がると思うけど、持ってるのに持ってないと思わせるのは……不意打ちするため?
良くわからないや。
まぁアルカンシェルはギルドの船じゃなくて私が所有する民間船だし、武装してると怒られるんだと思う事にした。
ともあれここでの用事は終わったから、エレオノーラ達3人――そう、実はもう1人ガレスって言う元機族の人がいたんだ――に別れを告げて、私達はダンディライアンへ向かうことになった。
エレオノーラは光子魚雷を使ったらすぐ補充に来て下さいって言ってたけど、そうそう使う機会は無いんじゃないかな。
でも、今回はアイリスとマリエッタが同行してないから、いずれ2人も……あと、どうせならヒナ達も連れて遊びに行ってもいいかも。
そんな事を思いながら、私達は最初の目的地だったダンディライアンへと跳んだ。




