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少女は大宇宙で虹と歌う  作者: 羽生ルイ
第3部8章「ダモクレスの剣」デモクラス-懲槌の惑星
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#11

>>Towa


 珍しくアイリスがガチ切れしてる。

 目力がちょっと怖いよ、アイリス。


 でも、インタビューを受けてる人達も大概だ思った。最初にインタビューをしたおばさんが強烈なだけかと思ったんだけど、次に声を掛けたおじいちゃんも、その次のおじさんも。さらには若い女性までも。


 皆が皆、口を揃えてギルドが悪い、ギルドには自分達を助ける義務があるって言うんだからね。

 それにギルドが全力制裁する予定だと言う話をしても……。


「ギルドの制裁?そんなもの脅しにきまっておる!」

「ああ、その話は聞いたことがある。だがギルドが我々デモクラスの力を恐れてそんな事を言ってるんだ」

「全力制裁?やれるものならやってみなさいよ!どうせ大したことないでしょ!」


 というような有り様だったんだ。

 ギルドがデモクラスを恐れるっていうのがどういう理屈なのか全く出来なかったけど、アイリスは彼らがギルド職員相手じゃなくて、無関係なメディア――私達のことだ――に話してることを踏まえると、きっと本気でそう思ってるんだろうって言った。


 アイリスは努力する天才だし、かなりストイックな性格だから自分に対してとても厳しい。

 私やマリエッタには甘いところはあるけど……でも他人に対しても、それが可能な相手なら努力や誠意を求めるタイプだ。


 そういう意味では、デモクラスの人達はアイリスにとっては許しがたい相手なんだろうと思った。


 うん、私の目から見てもちょっと……いや、かなりどうかと思うからね。

 でも、ストレスを貯めながらしばらくインタビューを続けても、ギルド職員の人がどこに捕まっているかという情報は全く得られなかった。


 最初のおばさんで相手の扱い方を掴んだのか、アイリスは二人目からはそれとなく捕らわれているギルド職員の事を聞いているんだけど、皆口を揃えて知らないと言ってたから。

 あれは本当に知らないのかな……?


「おそらく知らないのだと思います。彼らにとって、その情報は自分の益になるものではありませんから、興味が無いのでしょう」

「うん、そんな感じだよね。でもこれじゃどこから手を付けたらいいか……。時間もあんまり残ってないし」


 アリサとアイリスが少し弱音を吐いている。

 確かに残り時間は15時間を切っている。


 もうすぐ夕方になるけど、夜間は聞き込みも出来ないし、夜に探索するなら日が昇っている間に情報を集める必要があるからね。


 傍らのヒナに目をやると、タフなヒナもげんなりとした表情を浮かべて首を振っている。

 うん、直接的じゃないけどヘイトを向けられるのはストレスだからね。 


 ここは照明係として、私がアイリスの行く先を照らしてあげないと。


 そう思って辺りを見回していると……少し気になる光景が目に留まった。


「アイリス。あそこ」

「なに?……図書館……かな?あれがどうかしたの?」

「あそこだけ、ゴミが落ちてない」

「……言われてみればそうだね。いや、あれが普通なんだけど、でも」

「アイリスさん、あちらを……この星に降りて初めて見ましたね、掃除をしている人」


 そう、図書館の前では1人の女の子が箒を持ってゴミを掃き集めていたんだ。

 ゴミだらけの場所で、それでも独りで。

 あの子はどうしてあんな事をしているんだろう。


「アイリス。あの子に話を聞きたい」

「そうだね……周りに大人はいないけど、警戒させないように少人数で行った方がいいかな。トワ、一緒に来てくれる?」

「うん」

「じゃあアリサとヒナは周囲の監視を。もし誰か近づいてきたら教えて」

「承知しました」

「はい、わかりました!」


 アイリスと2人で女の子の方へと歩いて行く。


 でも女の子は掃除に集中しているのか、私達が近づいていることに気付いていないようだ。


 近づいたことで判ったんだけど、7、8歳ぐらいかな?

 後ろ姿だから顔はわからないけど、ダークブラウンの髪が背中の中程まで伸びている。


 体はかなり痩せてるし、服装もこれまでインタビューした人達より汚れている気がする。

 そもそもサイズも合ってないし……全体的にみてスラムにいる子供のように見えた。


 でもスラムの子供は自主的に掃除なんかしないよね。

 むしろマシな服を着てぶらぶらしてた大人達の方が、スラムっぽい感じだったし。


 私がそんな事を考えていると、隣にいたアイリスが立ち止まって女の子に声を掛けた。


「お掃除中にごめんなさい。少しお話聞かせて貰いたいんだけど、いいかな?」


 うん、こういうときはコミュ力お化けのアイリスに任せるのが正解だ。

 私だといきなり用件を切り出して怪しまれるのが関の山だからね。


 でも、温厚で優しげなアイリスの言葉に、女の子は振り向くと怯えた表情を浮かべた。

 あれ?アイリスのコミュ力が通じてない?


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