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少女は大宇宙で虹と歌う  作者: 羽生ルイ
第3部8章「ダモクレスの剣」デモクラス-懲槌の惑星
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#4

 なにこれ!?

 突然のことに私が戸惑っていると、トワとマリエッタがハイタッチした。


「成功ですっ!」

「私達、すごい」

「え?え?何これ。どこから出て来たの?」

「解説しようっ!コンバットスーツ・フォトナイザーの技術を使ったこのリングは、アイリスさんがキーワード『アガシオン』を発したときっ!量産型フォトナイザーが使っていた武器をフォトン生成するんですっ!」


 どこかで聞いたような解説文句を口にするマリエッタ。

 だけど、その言葉でなんとなく状況が理解が出来た。


 つまりこれは量産型フォトナイザーの技術を部分的に使った、武器伝送システムってこと?

 私がそう問うと、マリエッタは満面の笑顔で頷いた。


「はいっ、廃品利用(リサイクル)ですっ!」


 マリエッタが言うには先日ケンを迎えにトーエイへ行った際、ヒナが破壊した量産型フォトナイザーシステムの残骸をギルド支部から回収してきたのだそうだ。


 システムを分解して調べたところ、凝晶システムの大部分は壊れていたらしいけど、ヘルメットと武器の形成だけは可能だったらしい。

 で、ケンを運んでいる間に純正フォトナイザーのブラックボックスをコピーしてアルカンシェルに搭載した、と。


「いや、何その開発力!?」

「開発というかコピーなのでっ!」


 マリエッタは簡単にそう言うけど、フォトナイザーシステムがほいほい量産されるようでは大変な事になる。

 おそらくケンのフォトナイザーにC3を組み込む際にカルティアから技術支援を受けているせいだと思うけど……。


「で、アガシオンっていうのは……?」

「指輪の使い魔」


 トワの答えはシンプルだった。

 なんでもフォトンタブとの併用が必要にはなるけど、ケンが付けていたバックルに相当する部分を小型化した指輪がコアアイテムになってるらしくて、指輪から飛び出すイメージでそう名付けたらしい。


 私は手にしたフォトナイザーの銃を眺めた。

 人より小さな私の手には少し大きな感じではあるけど、グリップ回りはそれなりに手に馴染む。


 威力はわからないけど……ケンが使っていた武器の銃バージョンだと考えれば、通常のブラスターよりは出力は高いのかもしれないね。

 そんな事を思っていると、アリサがトワ達に質問をしていた。


「どうしてキーワードがアガシオンなのですか?」

「はいっ、アイリスさんが普段言わない言葉にしましたっ!」

「『トワ可愛い』でも良かった」


 トワはそう言うけどトワは可愛いから、私だと普通に口にしそうだ。

 何かの際に妹を褒めると銃が出てくるとか物騒すぎる。


「いや、それケンは言わないけど、私は普通に言うからね?」

「『マリエッタ可愛い』?」

「それも言う可能性があるね」

「なら、こういうのはどうですか?『アリサ、妹を嫁にやる!』」

「いや、それはアリサの願望っていうか言って欲しいだけでしょ?」


 いつものようなじゃれあいをしていると、少しだけ気分が軽くなった。

 もちろん、トワとマリエッタに思わぬプレゼントを貰ったことの謝意を伝えるのは忘れなかったよ。


 トワ可愛い。

 マリエッタ可愛い。

 私の妹も義娘も、どちらも最高だ。


「ところでアイリス」

「なに、トワ。可愛いよ?」

「ヘルメット、いる?」


 この話の流れだと、トワが言っているのはフォトナイザーのヘルメットだよね?

 コンバットスーツ全体なら使い道があるけもしれないけど、ヘルメットだけはさすがに要らないかな。



 少し話は脱線したけど、私の潜入装備問題は思わぬ形で解決した。

 なら後はヒナと合流して実際の行動方針を決めるだけだ。


 私達は既にデモクラスの通信圏内には入っているけど、今回は潜入ミッションなので軌道ステーションへの入港意思通達はまだ行っていない。

 ヒナが合流して、保安部に通達を行ったらミッション開始だ。


 打ち合わせの後、私は私室で独りアガシオンの使い方を練習しておくことにした。

 キーワードを口にしたあとの出現タイミングや出現位置を正確に把握しておきたかったから。


 だけど……アガシオンはトワが私のために作ってくれたものだけあって、練習の必要は全くなかった。

 私が思ったタイミングで、私の握りやすい位置に銃把が生成される。


 そう言えば最初にアガシオンが出て来たときも、無意識のうちにちゃんと銃把を掴めてたっけ。

 マリエッタから聞いた技術仕様だと、1度の「召喚」で撃てる弾数は10発と少なく、今はまだチャージショットも使えない。

 だけど、リリースして再召喚すれば、再充填された状態で手元に現れるらしい。


 エネルギーはアルカンシェルから供給されているらしいから、アルカンシェルと通信が行える範囲内、かつ私が声を出せる状態ならほぼ無限に撃てるってことだ。

 とても便利で頼りになる。


 だけどその仕様を聞いた私は、初めてフォトナイザーシステムの説明を聞いたときに感じた戦慄を思い出した。

 この技術、やはり既存の戦略体系やセキュリティ概念をぶち壊すとんでもない超兵器だ。


 こんなものが一般的に普及したら破壊工作でも暗殺でもし放題になる……。

 マリエッタとトワに釘を刺して、技術拡散しないようにしておかないといけないね。


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