#21
その後、ケンは行政府に呼び出され、トーエイに潜む巨悪の根を根絶したことに対する称賛を受けた。
メディアが惑星中に中継する前で、ケンはトーエイ行政府から正式に「宇宙シェリフ」の称号を贈られことになったんだ。
『――その勇気と献身は惑星トーエイの歴史に刻まれ、私たちすべてが記憶すべきものです。よってここに、惑星トーエイと、そこに生きる全市民の敬意をもって、ケン・イチジョウジ氏に名誉称号――「宇宙シェリフ」を贈ります。それはただ、誰よりもこの星を守ろうとした者に対して、私たちが贈ることのできる、最大の感謝の証です――』
それはあくまでも星を守ろうとしたヒーローに対する名誉称号であって、公権力や行政府からの恩賞が伴うものじゃない。
だけど、それでも……それは宇宙シェリフであることが自身の存在意義であったケンにとっては、最高の報酬だったろう。
「おめでとう、宇宙シェリフさん?」
「ありがとうなんだぜ!」
「というか、これまで名乗ってたのは自称だったんですか?」
「オレは自称だけど、親父は本物の宇宙シェリフだったんだぜ!それより師匠!」
「だから師匠ではないと……」
「師匠、オレと付き合って欲しいんだぜ!」
「お断りします」
「即座にフられたんだぜ!?」
いや、そもそもどうしてアリサを口説けると思ったんだか……。
メディアが報じる中での公開告白と公開処刑と言うヒーローらしくないケンの姿に、トーエイの住民が親しみを感じながらも爆笑したのは言うまでもないだろう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
――惑星トーエイ某所。
小さなC3が仄かに照らす薄暗がりの中、二つの人影が小声で談笑している。
「奴らは行ったか……?」
「ええ、我らの思惑には気付かず、星を去りました」
「愚かな……管理官とはいえ、所詮は小娘共。儂らの事を疑いもせぬとはな」
「最後のピースが手に入り、目障りなゲルゲム団の連中も滅びました。我らの計画を開始する好機かと……」
「フォトナイザーはどう始末する?」
「何、奴が我らに気付くことはありません。気付くのは全てが終わり、手遅れになってからのこと」
「ふふふ……なら、儂らも動くとしようか」
「はい。……ハッテ閣下!」
――同時刻、航宙船アルカンシェル。
ブリッジで恒星間通信を繋ぎながら、アリサ達が協議を行っていた。
「――ということなのです。申し訳ないですけど、引き継ぎをお願いできますか?」
『もちろんです!』
「でも、あの人達がそんな事まで企んでたとはね。不自然だからトワ達にも警戒するようには言ってたんだけど」
「ええ。ですが私達がトーエイにいる限り連中は動き出しそうにありませんでしたし、隠密捜査を行うには私も、アイリスさんも顔が知られすぎてますから」
「じゃあ今頃、私達が気付かずにトーエイを去ったって油断している、かな?」
「でしょうね。ですがケンだけでは対処は難しいでしょうね。彼は謀略の類いを相手にするのは苦手そうですし」
「なるほどね……じゃ適任は……」
「ええ、やはり貴女に任せるしかありません。できますか?」
『はい!お任せ下さい、アリサ様!』
《次回予告
新たな敵の胎動を感じ取るフォトナイザー。だが次なる敵はその姿を見せず、ただ陰謀だけが進んでいく。フォトナイザーの正義の力は見えざる敵には届かない。そしてそんな中……銀河の彼方から、黒い影と共に彼女が現れる。ケンの正義と女神の眷属の正義が交差した時、真の悪が暴かれる――!
宇宙シェリフ・フォトナイザー トーエイ映像祭特別スペシャル『その名はフォトライザー』近日公開!ご期待下さい!》
「ねぇ、アリサ?今また何か聞こえた気がするんだけど」
「何かの告知みたいでしたね?」
「混線かな?」
「さぁ……?アルカンシェル、通信管制密に。艦内防諜対策強化を」
「Ready, Done――――
これにて惑星トーエイでの物語は一旦幕を下ろします。
ですが、新たな敵がケンを待ち受ける――
宇宙シェリフの新たなる戦いについてはいずれ語られることもあるでしょうが、次回からは惑星パノプティコ編で登場したアオとミドリが新天地へ向かう途上での物語「Colorful Lines」を全3回でお届けします。
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