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少女は大宇宙で虹と歌う  作者: 羽生ルイ
第3部4章『凝晶!宇宙シェリフ・フォトナイザー!』トーエイ-光鎧の惑星
495/556

#13

>>Alyssa


 翌朝、トワ様とマリエッタが改造したフォトナイザーシステムの動作試験を行うため、私達は星都オーイズミの郊外にある人気の無い場所へ向かいました。

 同行者は私とアイリスさんです。


 トワ様とマリエッタは昨日一日がかりで作業をしていた上に夜中はアニメ視聴を行っていたとかで結局朝に起きられなかったのです。


「今日は朝早いって言ったのに、アニメ見てるから起きられないんだよ」

「まぁ、楽しそうでしたから……」

「ケンの変身を見るのも楽しみにしてたのにね。まぁこれは夜更かしの罰かな」


 私は基本的に規則正しい生活を心がけていますが、トワ様はそうではありません。マリエッタは……普段は割と規則正しい生活をしているはずなのですが、今回はトワ様に引きずられ気味のようです。

 アイリスさんの二人に対する生活指導が厳しくなりそうな気がします。


 そんな事を言いながらも目的地に到着し、ケンは早速変身……いえ凝晶を行いました。


「どうですか?何か違和感はありますか?」

『いつもと同じだぜ!』

「ではパワーコントロールのテストを。そこにある石を拾ってください。そして女の子の手を握るようにそっと握ってみてください」

『それは、難しいんだぜ……!』


 ケンは私が指定したこぶし大の石を拾い上げましたが、そっと握るのは難しいと言います。

 もしかするとトワ様達の調整が上手くいっていない?そんな事はないはずですが……。

 私が不審に思っていると、アイリスさんがふと何かに気付いたように言いました。


「ケン?一応聞くけど、難しい理由は?」

『女の子の手を握ったことが無いから、加減が判らないんだぜ!』

「……やっぱりか。じゃあ卵を握る感じで」

『わかったぜ!』


 ……えっと、それはもしかしなくても私の指示が悪かったということですか?

 というかなんですか、それ。女の子の手を握ったことがないというのは……。


「いや、見るからに朴念仁の唐変木ぽいじゃない、ケンって」

「アイリスさん、毒舌が過ぎますよ……否定はしませんけど」

『酷いことを言われてる気がするんだぜ!』


 文句を言いながらもケンは石をそっと握りしめてみせました。

 パワーコントロールが出来ない以前のフォトナイザーなら間違い無く握りつぶしているところですが、今回は普通に軽く握れているようです。


「では次はそこにある枝を折れないように加減をしながら曲げてみてください」

『こんな感じだぜ!』


 そういってケンは手にした枝をゆっくりと曲げて見せました。

 枝はしなっていますが、折れていませんね。どうやら力加減はちゃんとコントロールできているようです。なら次は……。


「あそこにある岩を全力で殴ってみてください。アイリスさん、少し離れておきましょう」

「……トワがいればシールド出して貰えたんだけどね……まぁ仕方ないか」


 私達が物陰に隠れてケンに合図を出すと、直後に岩が爆砕する音と共に無数の石片が飛来しました。

 近くで見学していたら、石片の雨を浴びて大けがをしているところです。


『すごいんだぜ!前よりも17%もパワーアップしてるんだぜ!』

「フォトンの流れを調整して、必要な時に高出力を出せるようにしてあるからね。これで緩急付けた行動が取れるんじゃない?」

「ええ、さすがトワ様です」

「んー、回路設計したのはカルティアだし、実際に作ったのはマリエッタだし……」

「でもトワ様あっての調整です」

「それは否定しないけどね」


 ともあれ、試験は無事に終了し、フォトナイザーは力の加減が出来るようになりました。

 後はトーエイ行政府の裏側がどうなっているかを暴けば、ケンの依頼も概ね達成できたと言えるでしょう。



 その後、一度宿へ戻った私達は盛大なブーイングで迎えられました。

 ええ、もちろんブーイングをしているのはトワ様とマリエッタです。


「アリサ、酷い」

「アイリスさんも酷いですっ!」

「いや、あなた達が寝坊したのが悪いんでしょ?」

「起こして」

「起こしたよ?何度も」

「……解せぬ」


 そんなやり取りをしながらも、私達はフォトナイザーの試験が無事に終了し、お二人の改造が成功していたことを伝えました。

 同行していたケンも二人に礼を言っていますし、これできっと納得して……。


「ケン、ここで凝晶してみて」

「トワさんっ、それより良いことがありますっ!私達に内緒でテストした謝罪と補償を兼ねて、私達も凝晶できるように認証追加してもらいましょうっ!」

「マリエッタ、天才か」

「そ、それは無理なんだぜ!フォトナイザーは同時に複数人で使えないんだぜ!」


 あまり納得していなかったようで、マリエッタがかなり無茶なことを言い出しました。

 それにしてもフォトナイザーシステムは複数人で使い回しが出来ないと言うことは、ケンが負傷したり病気になったりするとこの星の防衛力は一気に低下するのですね。


 個に依存する防衛体制というのは、行政府としてちょっとどうかと思います。


「じゃあ、これから市内パトロールへ行くから、トワとマリエッタも同行。もし獣魔が出たらケンの変身を見学。それでいい?」

「私も凝晶したい」

「マリエッタもです!」

「それは無理って言ってるでしょ?あんまりわがまま言うとアニメ視聴禁止にするよ?」

「それは困る。今、山場だから」

「アイリスさん、まるで教育ママみたいですっ!」


 どうやらアイリスさん達はケンと一緒にパトロールへ行くことになったようです。

 なら、私は……気になっている行政府へ探りを入れてみることにしましょうか。


「アイリスさん、私は別行動させて頂きます」

「いいけど、どこへ行くの?」

「行政府です。モリヤマ大臣を表敬訪問してみようかと」

「……なるほどね。適材適所だし、そっちは任せるよ」

「はい、もちろんです」


 さて、ではどのようなアプローチで行くべきか検討しないといけません。

 いえ、その前にアポを取るところからですね。


 大臣級ともなれば当日アポは難しいかもしれませんが、そこはギルドの影響力を最大限に行使させてもらうことにしましょうか。


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