↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女は大宇宙で虹と歌う  作者: 羽生ルイ
第3部4章『凝晶!宇宙シェリフ・フォトナイザー!』トーエイ-光鎧の惑星
490/567

#8

 その後、時間を掛けて調べた結果わかったことがあった。

 それは公的な資料には所々欠落があるということ。

 そして創作物の中にはその欠落を埋めるためのピースがちりばめられており、フィクションとして語られている事柄を公的資料の穴にはめると全体像が整合性を持って説明できるということ。


 さらには公的資料に欠落している部分の多くが、おそらく意図的に隠蔽されている可能性があるということ。隠蔽箇所は広範囲に点在している。

 私が隠蔽の鍵になると睨んだのは、公的な記録に記録された13年前にトーエイの行政府が認定したゲルゲム団の犠牲者数だ。


 資料にはゲルゲム団による襲撃や当時の治安悪化によって直接的・間接敵に死亡した人数は70,468人だと記されていたが、これとは別に超過死亡者数も3,981名と記されていた。

 おそらく獣化した人間がフォトナイザーに倒された場合、犠牲者としてカウントされるのではなく原因不明の死者……つまり超過死亡者にカウントされているのだろう。


 そこで問題になるのはフィクションで語られる、自発的にゲルゲム団に参加した獣魔の総数約5000と、フォトナイザーが倒したであろう超過死亡者数が合わないということだ。


 なにぶんフィクションで扱われている数だから5000という数の信憑性は定かではない。

 けど、どの創作物もまるでお約束でもあるかのように「5000の獣魔」と表現されている所を見ると……ある程度裏付けのある数なのではないかと私には感じられた。

 そして倒されたであろう獣魔の数と、5000の獣魔の間には約1000体という差が存在するけど、これは測定誤差にしては多すぎる。


 もしかすると獣魔将シリス・ギール以外にもリュウが討ち漏らした獣魔が多数いるんじゃないだろうか……?



 トーエイの行政府が隠蔽したがっているものの正体は、もしかすると市中にまだ1000体もの獣魔が潜んでいるという事実?

 なら、どうしてメディアはフォトナイザーを迷惑ヒーロー扱いし、行政府はフォトナイザーの変身を禁じるような条例を検討しているんだろうか。


 これは裏がある。


 私はそう確信した。



>>Towa


 私が公文書館でアニメ版フォトナイザー全48話を3倍速視聴し終えた頃、既に外は陽が落ちていた。

 アイリスが言うにはアリサの方も調べ物が一段落したらしいので、私達はトーエイの星都オーイズミに宿を取ることにした。


 宿へ向かう道すがら、アイリスは難しい顔をしていた。

 そして、合流したアリサも難しい顔をしていた。


 2人で何事かを話し始めたので、私はマリエッタにアニメ版フォトナイザーについて話すことにした。


「えっ、全48話もあるんですかっ!?マリエッタも観たいですっ!」

「そんなこともあろうかと。レンタルしておいた」

「トワさん、素敵ですっ!しばらくトーエイに滞在するらしいですし、夜はフォトナイザー視聴会で決まりですっ!」

「じゃあ部屋割りは私とアリサ、トワとマリエッタかな」

「アイリス、観ないの?」

「ん、ちょっとアリサと調整することがあるからね。全部は観られないから、後で見所教えてくれる?」

「わかった」


 大事なことはアニメが教えてくれるって誰かが言ってた気がするからね。

 アイリスにお勧めするためにも、ちゃんと等速で全部観ておかないと。


 ちなみにその日は第7話の「その子をボクの友達だ!フォトナイザー、決意の一閃!」まで見たところでマリエッタが寝落ちしたので、私も寝ることにした。

 この分だと全話観るのに1週間ぐらい掛かりそうだね。


 翌日、アイリスが予定通りケンのイメージアップ作戦を行うと宣言した。

 でもその前にフォトナイザーのコンバットスーツを調整する必要があるらしい。

 なんでもフォトナイザーのシステムは全力で戦うことしか出来ないようになっているらしくて、街中で凝晶すると危ないんだそうだ。


 それを聞いた私は昨日ケンが建物の壁を壊していたことを思い出した。うん、毎回あんな感じだと迷惑ヒーロー扱いされちゃうからね。


 でも、どうやるんだろう?

 そう思ってアイリスに確認すると意外な答えが返ってきた。


「フォトナイザーシステムってC3を使ってないらしいんだよ」

「じゃあ私は役に立てない?」

「ううん、むしろ逆。トワ、フォトナイザーのエネルギー制御が出来るような調律、できない?」

「ほほう?」


 なんでもアイリスが言うにはフォトナイザーのシステムはフォトンのエネルギーを直接的に扱うようになっていて、エネルギー効率がかなり悪いらしい。

 システム的にコンバットスーツが凝晶する時点で供給されたエネルギーを消費することしか出来ないそうだけど……。


 そういえばアニメで観たフォトナイザーも10分しか戦えないって言ってたっけ。

 要するにあの制限時間って燃費が悪いからそうなってたんだ。


「バックル部分にエネルギー管理を行うコアモジュールがあるんだけど、ここにフォトン調圧器(レギュレーター)を追加したら制御しやすくなるんじゃないかって」

「アイリス、どうしてそんなに詳しいの?」

「フォトナイザーのデータをカルティアに見て貰ったんだ。私じゃ判らないからね」

「ほほう」


 カルティアはアイリスの友人、機姫と呼ばれる知識の番人で色んな事を知ってるすごい機族だ。

 あまりにも凄くて頼りになるから相談依頼が殺到していて、面会予約は数年待ちとかザラらしい。


 でもアイリスはカルティアとお友達だから即応して貰える。この場合、すごいカルティアをすぐ動かせるアイリスの方がもっと凄いんじゃないかと思うんだけど。


 私が心の中で姉自慢をしている間に、話は技術的なものに変わっていた。こうなると私にはお手上げなので、マリエッタに任せておくことにする。


「アリサ。イメージアップって何するの?」

「そうですね、子供向けのヒーローショーとか、災害救助とか……小さいことですけど、少しずつ活動を積み上げていくのが大事かと」

「フォトナイザーの着ぐるみつくるの?」

「いえ、そのまま変身させれば良いかと」

「リアリティ重視?」

「エフェクトや着替えの手間を考えれば、本人が変身した方が諸々手軽ですからね」


 正義のヒーローをヒーローショーに動員するというのはちょっとどうかと思ったけど、偽物より本物が来てくれるほうが子供達も盛り上がるかな?

 まぁ、問題はケンがそういう仕事を引き受けてくれるか、だけど。



「ヒーローショー!?それはどういうことなんだぜ!?」

「ですから、説明したとおりです。私達が悪役になるのではなくあなたが正義のヒーロー役を演じることで、イメージアップを図ります」

「??良くわからないけど……わかったぜ!」


 私達はケンを呼び出し、彼に協力することを申し出た。

 で、まず最初はイメージアップ作戦の説明中なんだけど、とりあえず災害救助やヒーローショーをやることは納得してくれた。だけど……。


「それは無理なんだぜ!もし改造中に獣魔が現れたら、星の命がピンチなんだぜ!」

「なんですか、星の命って……」

「フォトナイザーオープニング曲の歌詞。星の命が熱くて燃える」

「トワさんっ、そこはもっとこぶしを利かせないとっ!」


 私とマリエッタの話が本筋から脱線している間にもアリサはケンを説得していた。

 なんでもアイリスが言うには市中に獣魔が沢山潜伏している可能性があるらしいから、ケンがフォトナイザーシステムの改造でヒーロー不在になることを心配するのは理解出来る。


 でもフォトナイザーシステムの出力制御ができない状態のままでヒーローショーを行うと、敵役の人に怪我させちゃうからね。

 つまりイメージアップ作戦の前提条件として改造は必須だってことだ。


 しぶるケンに対してアリサは軽くため息をついてから言った。


「では、もしあなた……フォトナイザーよりも強い存在がいれば、あなたが一時的に戦線離脱しても問題ありませんか?」

「それはそうだけど、フォトナイザーは無敵なんだぜ!」

「本日の12時から、町外れの野外講堂を予約しています。そこで開催されるヒーローショーに対戦相手を用意します。あなたが勝てば改造は無し。あなたが負ければ改造に文句を言わない。それでどうですか?」

「わかったぜ!」


 フォトナイザーよりも強い相手……だれだろう。

 続編に出てくるグレートフォトナイザーとかかな?


 でも、グレートはフィクションだったと思うけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。