インターミッション『チューリングテスト』???-試知の惑星
ソレが空の上からやってきたのは、もうずいぶんと前のことだった。
ソレは大きな巣をつくり、大きな音を立てて森を走り回った。
おかしなヤツがやってきたと様子を見に行った仲間は、ひかる棒のようなものでいきなり殺された。
ボク達はソレを観察し、ソレがただ暴れ回るだけの、話が通じない怪物だと判断した。
それから、ボク達とソレとの戦いが始まった。
ボク達は仲間と協力して、ソレを倒そうとした。
ソレの持つ棒は光を出し、ボク達を傷つける。
ボク達は、ソレの光を避ける方法、身を守る方法を考えて、仲間達に伝えた。
どれぐらい、戦いの日が続いただろう。
ある日、ボクと妹は捕まってしまった。
仲間達と一緒に、四角く堅いモノの中に閉じ込められた。
ソレは時々ボク達に様子を見に来るけど、ソレの鳴き声には知性があるように感じない。
ボク達が話しかけてもソレは答えない。
やっぱり、ソレは知性の無い怪物なんだとボクは思った。
閉じ込められてからどれだけたっただろう。
食事は毎日不味い果物ばかりだけど、食べないと生きることができない。
だから、ボクも、妹も、我慢して食べた。
ある日、いつもと違う小さなソレが現れた。
ソレは叫んだり吠えたりせず、じっとボク達をみていた。
次の日も小さなソレは来た。
鳴いたり、動いたりしている。
立ち去る前に、何か喋ったような気がしたけど、何を言っているのかわからなかった。
もしかしたら、この小さなソレは、他のソレと違って少しだけ知性があるのかもしれない。
次の日、また小さなソレが現れた。
もう1匹、別の小さなソレもいる。
そして、手にママルの実を持っている。
ママルの実!
ボク達の食べ物。
しばらく食べてない。
でも、ソレが持ってきたものは、毒かもしれない。
だからボクは妹にも我慢するよう目で伝えた。
小さなソレはボク達が食べないのをみて、警戒していることを理解したのか、手に持っていたママルの実を一口食べ、そしてボクにそれを差し出してきた。
このソレはやっぱり知性がある!
ボク達が警戒していることを理解して、警戒を解こうとしている!
ボクは驚いた。ソレが知的生命体だなんて、本当は思ってなかったから。
久しぶりに食べたママルの実はとても美味しかった。
妹も、とても喜んでいた。
「ありがとう」
ボクは思わずソレにお礼をいったけど、ソレはやはっぱり何も答えなかった。
次の日、小さなソレがまたママルの実を持ってやってきた。
ボクと妹はママルの実を食べる。
それを見ていたソレは……ボクが食べ終わった時に「言った」
「たすけたい」
ボクは驚いた。
このソレは喋れるんだ!
「ありがとう。でも、どうして助けてくれるの?」
ボクは、ソレが答えてくれると期待していなかったけど、それでもソレに聞かずにはいられなかった。
ソレは少し黙ってから、ふたたび喋った。
「なかよくしたい」
「きずつけたくない」
答えが返ってきた!
やっぱりこのソレには知性がある!
ボクは驚いた。
もしかして、ソレは知性のある生き物で、ボク達と話す方法が判らないだけだった?
でも、この小さなソレがボク達を助けようとしてくれていることは判った。
だから、ボクは返事をする。
「わかった。キミを信じる」
小さなソレは黙って去って行った。
次の夜、もう1匹の小さなソレが現れた。
たしか、壁があったはずのところには何もなく、外の空気の匂いがした。
もう1匹のソレはボク達を閉じ込めていた四角いモノを壊し、手で壁の方を指す。
このソレは喋れないみたいだけど、でも言いたい事は判る。
逃げろ、と言ってるんだ。
ボクと妹は小さなソレの指す方へ、外へ向かって駆けだした。
しばらく森の中を走り、ボク達は仲間のところへ帰り着いた。
あの小さなソレ達は、どうしただろうか。
ボク達を逃がしたことで、大きなソレにいじめられてなければいいけど。
ボクはソレの巣の方向へ向かって、大きな声で言った。
「たすけてくれて、ありがとう!」
でも、ソレの返事は聞こえなかった。
またいつか、ボクはあの小さなソレに出会えるだろうか。
今度はもっと、色んなことを話せるだろうか。
もしかしたら小さなソレ以外にも、知性があるんだろうか。
そんなことを考えながら空を見上げると、星が一つ遠くへ飛んでいくのが見えた。
次回更新からは第3部2章がはじまります。
ようやくアリサが合流したアルカンシェルが向かうのは、香油の生産で知られる惑星アノインティング。
優しい香りに包まれた星でトワ達を待つ事件は――




