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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
世界を超えた異変
231/248

視線

 大分魔物も少なくなり、俺は岩よりも硬い甲殻に覆われている蜥蜴の魔物、アーマーリザードに大剣を叩きつけた。

 二級の中では一番硬い魔物だけあって少し怯んだだけだった。

 ちなみにアーマーリザードは、前に超闘祭の予選で追いかけられたロックリザードが成体になった魔物だ。


「弱点は確か腹だったな。じゃ……」


 俺は大剣に土の属性力を纏わせ地面に突き刺すと、アーマーリザードの真下から土の柱を伸ばし腹に当てると、その勢いでアーマーリザードは横に倒れて、腹がむき出しになった。


「よし、弱点丸見え。……お、丁度良い。ディーク!!」


 キングワイバーンの尻尾掴んで叩きつけ、殴り飛ばして倒したディークを呼ぶと、アーマーリザードの方を指した。


「やっちまえ!!」

「グホォォォ!!」


 ディークはアーマーリザードに向かって駆け出すと、腹を思いっきり殴り、アーマーリザードは勢いで転がり力尽きた。


「よし。さて、他は……」


 来た時に比べて町が大分静かに感じる。

 殆ど倒したと見て良いのか?

 そう思ってると、少し離れた所に行ったガネンとクラカが戻って来た。


「父さーん。こっちは終わったよー」

「他にまだいるのか?」

「さぁな。他の所を見てみるか」


 俺達は他に魔物がいないか町中を走ると、途中でスインとブラークのパーティーと合流した。


「おっ、ガクラさん」

「お前等、魔物は?」

「何体か倒した。全部二級だったから滅茶苦茶疲れたけどな」

「あと逃げ遅れた人がいたから、今シロンが救助してる」


 スインが振り向いた先には、瓦礫で動けなくなっていた女性をシロンが助けていた。


「もう大丈夫ですよ」

「は……はい……」


 女性は怯えた様子で立ち去っていった。

 あの怯え方には見覚えがある。

 あれは魔物に対する怯えじゃねぇ。あれは……。


「いたいた。おーい」


 俺達を見つけたノフアが、瓦礫の山を跳びながら近づいてきた。


「さっきオペナから連絡が来て、町から魔物の反応が消えたって」

「じゃあ全部討伐したって事か。んじゃあ一度集まるか」

「そうだな」


 俺達は全員集まった後、町中に転がる魔物の死体を一ヶ所に集めることにした。

 二級の魔物ってデカいの多いし、しかも数が多い。


「父さ~ん。何か変な臭いしてきた~」

「もう死臭が出始めたか? 早ぇな」

「それより父さん。この魔物達から少しだけ感じたエネルギーは……」

「……やっぱお前も気付いたか」

「私も感じたよー」


 間近で戦って確信した。この魔物達は……。


――――――――――――――――――――


「よいしょー!」


 リージャが運んできた魔物の死体を、積み上げた死体の山に投げた。


「これで最後か?」

「うん!! 多分!!」

「何で多分でそんな自信満々に言えんだ」


 とりあえず魔物の死体は全部運び終わったな。


「それでガクラさん。この死体の山どうすんだ?」

「全部異空間にしまって、問題を解決したらアスタラードで住処だと思う場所に放つ。そうすりゃあ如何にもここで死にましたって感じになるだろ」

「アスタラードの魔物だからな。それが妥当かも知れないな」


 そんな中、ユールが魔物の死体の山をジッと見ている。


「この魔物達。あの映像のファイアザウルスと同じように、目が紫色に光ってたね」

「うん。それにこの魔物達から感じたエネルギー。あれは間違いない」

「ああ。闇族だな」


 ノフアの言葉に冒険者達の顔に緊張が見えた。


「目が紫に光ってたのも、その影響だろうな。それにこの魔物達、器用に人間だけ襲ってたからな」

「テイモスは闇族が狙うには十分だからな」

「……ガクラ。この世界に住んでる種族は人間だけか?」

「ん? ああ、そうだが」

「だろうな。闇族が狙うって言ってたし。それに……」


 ブラークが目線を変え、その視線の先を見ると、町の住人らしい人間達が瓦礫や建物の陰から俺達を見ていた。

 人間達のあの視線は、俺もよく見たことある目だ。

 あれは、他種族を怖がっている目だ。

 人間達の視線に気付いたのか、だんだんスイン達が浮かない表情になる。


「何か気分悪ぃな。あんな目で見られると」


 他種族と友好を結んでいるアスタラードから来たスイン達にとって、その視線は嫌なものだろうな。


「きっと闇族教徒の奴等も、そういう視線を沢山浴びて嫌な思いをしたんだろう」

「そしてどんどん怒りに変わっていったって訳か」


 このままだとコイツ等の任務に支障が出るかも知んねぇし、ちょっと注意しておくか?


「おーい、ガクラー!」


 俺を呼ぶ声に振り向くと、肩にサンダーラットを乗せたサトルが駆け寄って来た。


「おお、無事みてぇだな」

「この魔物達、倒して良かったの?」

「この魔物達は俺達が住んでる世界の魔物だ。この世界の魔物とは大分違う」


 大人しいテイモスの魔物に比べて、アスタラードの魔物は凶暴なのが多いからな。


「……なぁ。俺等が怖くないのか?」


 スインは少し戸惑った表情でサトルに尋ねた。

 知り合いの俺がいたからとは言え、人間以外の種族が沢山いるからな。普通は近づきにくいはずだが、コイツの場合は……。


「え? 何で?」


 意外な答えだったからか、スインは目を見開いて驚く。

 こいつは無知っつーか、呑気っつーか。

 まぁ今回はそれが助けになったかもな。


「なぁサトル。この魔物達はどうやって現れたんだ?」

「えっとー。確か空に大きな穴が開いたら、そこから青い四角が沢山降ってきて、その中から出てきたんだ?」

「青い四角?」


 なんなのかよく分からず首を傾げていたら、上空に次元の穴が開いた。

 俺達は見上げると、次元の穴から一つの大きな青い立方体が降ってきて、俺達の近くに落ちた。


「おいサトル。まさかこれか?」

「そう! これ!」


 やっぱこれか。

 青い立方体が崩れると、その中から一体の魔物が現れた。

 それは一級の魔物、爆飛竜だった。


「マジかよ!?」


 爆飛竜の目が紫に光ると、俺に向かって体当たりし、俺は顔にしがみつくと、爆飛竜は翼を広げて空を飛び、旋回して地面に向かって真っ直ぐ飛ぶと鱗が熱を帯びて赤く光った。


「ちょ、待て待て待て待て!!」


 俺の制止は当然聞くわけなく、爆飛竜が地面にぶつかると大爆発が起きた。

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