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大魔王軍の襲来⑩

 数多の「最強」と呼ばれる猛者を倒してきた俺。

 そんな真の強者たる俺と同じく、対戦相手のオンボールも中々の強者だ。

 俺には劣らないまでも、それなりの修羅場を潜ってきたことが分かる。


 そういった相手との戦闘は、紳士的に進むのが一般的だ。

 ザコとの戦闘でよくある「俺の攻撃が通用しないだとォ!?」「そんな……ありえん……!」などといった醜い悲鳴は響かない。


「準備を始めるのでしばし待たれよ」


「はいよ」


 俺は仁王立ちして待つ。

 その間、オンボールは戦闘の準備を始めた。


「〈進化〉、〈超進化〉、〈究極進化〉、〈最終進化〉、〈覚醒〉、〈超覚醒〉、〈究極覚醒〉、〈最終覚醒〉、〈ネメシスの力〉、〈セラの導き〉、〈神罰の炎〉、〈混沌の鎌〉、〈フルロード〉、〈永遠の闇〉、〈戦慄の旋律〉、〈闇強化〉、〈光強化〉、〈アンチホーリー〉、〈プロテクト〉、〈マジックプロテクト〉、〈スキル無効化〉、〈スキル無効化・改〉、〈魔法耐性〉、〈物理耐性〉、〈セフィロスの加護〉、〈能力倍増〉、〈アルティメットエディション〉」


 独自の魔王スキルを発動し、自身を超強化していく。

 フリックと戦っていた時と違い、これが()のオンボールが出せる本気だ。

 その強さは優に1万フリックを超えている。


「待たせたな、人間よ」


「名前で呼んでくれてかまわないよ、俺はジークだ」


「覚えておこう。余はオンボール。知っているようだが名乗っておこう」


「同じく覚えておく。さ、いつでもかかってこい」


「それでは遠慮無く」


 オンボールは漆黒の大剣を召喚すると、それを両手で持って突っ込んでくる。


「後ろに居る女は俺の仲間だ。巻き込むなよ」


「分かっておる!」


 オンボールが大剣を振り下ろす。

 剣は俺の頭にヒットしたところでしばらく硬直し、そして砕け散った。

 それと同時に、俺の着ていた布の服が盛大に破れた。


「流石に服を粉々にするだけの威力はあったか」


「いくら本体でないとはいえ、この攻撃を生身で受けてその程度のダメージしか与えられぬか……」


「十分さ。服を破られたのですら、数百億年ぶりのことなのだから」


「本体なら肌に傷を与えるくらいはできたかもしれんな」


「かすり傷程度ならあり得る話だ」


 オンボールが剣を消す。

 そして、フリックにしたように、俺を両腕で抱きしめる。


「ジークさん!」


 叫ぶアイリス。

 俺は「大丈夫だよ」とすまし顔。


「大魔王オンボール。お前の協力的な姿勢に感謝する」


「協力しなければ厄介そうな相手だからな、ジークは」


「俺のことをよく分かっている」


「この姿勢に免じて、どうかせめて本体を追撃しないでくれたまえよ」


「約束しよう」


「感謝する――ハァァァァァァ!」


 大魔王が全身全霊をもって俺を光の粒子に変えようとする。

 しかしその力は、俺の魔力によって弾かれた。

 さらにはカウンターとして、俺の魔力がオンボールを襲う。

 オンボールの全身に無数の亀裂が入り、広がっていく。


「こんなところで数千年分の力を浪費してしまうとは。やれやれ、この世界は実にハズレだよ」


「次は当たりを引けるさ。それとも、本体で俺を倒しにくるか?」


「その挑発には乗らんぞ。リターンに見合わぬリスクは犯さない主義なのでね。我が軍は別の世界へ行かせてもらうよ。――それでは、サラバだ、ジーク」


「おう、またな」


 オンボールの全身が粉々に砕け、纏っていたローブが床に落ちる。

 紳士的に始まった戦いは、紳士的なやりとりをもって終了した。

 俺の完全勝利だ。


「か、勝った……のですか……?」


 きょとんとするアイリス。


「ああ、終わったよ。オンボールだけでなく、この世界に居た奴の手下は全て消えた。大魔王軍はこの世界自体から引き上げたのさ」


「この世界自体……どういうことですか? なにやら私にはさっぱり分からないお話をされていましたが」


「世界はいくつも存在するんだ。大魔王オンボールは、本体を自身が拠点とする世界に置き、仮初(かりそめ)の姿を別の世界に派遣している。俺がさっき倒したのは、その仮初の姿だ。実力は本体の100分の1程度でしかないだろう。あの手の魔物とは、これまでにも何度か戦ったことがある」


「わ、私の脳みそではついていけません……!」


「仕方ないさ。普通に生きていると、別の世界があるなんて想像できない」


「ジークさんはどうしてそんなことを知っているのですか?」


「そりゃあ、1兆年生きているからな」


 ニッと白い歯を見せて笑う俺。


「もー、肝心な所でそうやってごまかすのは駄目ですよ」


「ははは、わりぃわりぃ」


「でも、普通の人生を送っていると、ジークさんみたいにはなれませんよね。すると、もしかして、ジークさんは本当に1兆年を……」


「考えるだけ野暮ってものさ。レイチェルを回収して王国に帰ろうぜ」


「は、はい!」


 俺達は謁見の間を後にする。

 ただでさえ静かだった城内は、完全な無人と化していた。


 ◇


 ――1ヶ月後。


「ジーク殿、この度もありがとうございました」


 俺は国王に呼ばれ、王城にある謁見の間にいた。

 オンボールを討伐して以降、国王と顔を合わせるのがこれが初だ。


 国王はここ数日、魔王軍が消えた公国領の事後処理に奔走していた。

 公主のクリアラスと共に、大量の兵を率いて公国領に侵攻。

 無政府状態となった公国領を暫定的に占領し、治安の維持に努めた。


 占領が終わると、公主のクリアラスに領土を返還。

 そしてクリアラスは、俺との約束を守り、王国の属国となった。


 ただし、属国になる話については、裏話が存在する。

 実は俺が言うまでもなく、大魔王の討伐後は属国になる取り決めだったのだ。

 軍が全滅した公国が単独で国を運営するのは不可能な話。

 だから、親交のある王国に従属することで国を安定化させる狙いだった。


「ジーク様、私からもお礼を何かお礼をさせてください」


 国王の隣に座っている公主クリアラスが言う。


「別にお礼なんて不要さ。俺は俺で楽しませてもらったからな」


 国王と公主に背を向ける。


「面白そうな話があったらまた呼んでくれ」


「ありがとう、ジーク殿、本当にありがとう」


 国王が玉座から立ち上がり、一歩前に出て、俺に平伏する。

 それを見た周囲の官吏や騎士は驚くものの、次の瞬間には同じように平伏。

 更には公主のクリアラスや、護衛を務めるライトも平伏した。


「この国の最高権力者が平伏する……これに勝る報酬はないな」


 俺は「ふっ」と笑い、静かに歩き出した。


 ◇


「お疲れ様です、ジークさん」


「いやぁ、ほんと世話になったねー!」


 城の外で、レイチェルとアイリスに会う。


「約束通り、ご馳走を奢らせてもらうよ!」


「サンキュー」


 3人で並んで街を歩く。


「ジークと大魔王の戦い、私も見たかったなぁ!」


「俺はレイチェルが入れ替わったところを見たかったぜ」


「いやぁ、そこは見られたくないよ、恥ずかしすぎる失態だし」


 レイチェルがキングミミックと入れ替わったのは夕暮れの頃だった。

 空腹の彼女は、屋台で売られているイカの串焼きに目を引かれた。

 そして、涎を垂らしながら眺めている時に、他の魔物に襲われたのだ。

 アイリスが近くの店でお手洗いを借りている時のことである。


「それよかさ、ジーク、私達のPTに入ってよ」


「PTに入る? なんでだよ」


「だって大魔王との戦いが見れなかったし! ジークともっと一緒に行動したいんだよね、私。それにアイリスが男にここまで心を開いたのも初めてだし」


「たしかにアイリスは俺に全てをさらけだしたな」


「ちょっとジークさん1」


「なにそれ! 詳しく教えてよ! そういう話もPTで活動しながらしようよ! 私達は色々な案件を抱えていて、世界中を飛び回るからさ。一緒に活動すると楽しいと思うよ!」


「たしかに楽しそうだし、ありがたい申し出だが、断らせてもらうよ。受けたい気持ちは山々だが、俺には仲間がいるからね」


「そういえば、仲間がいるんだったね」


 アイリスも「たしかに言っていましたね」と思い出す。


「じゃあさ、ギルドは?」


「ギルド?」


「一緒にギルドを立ち上げようよ!」


 俺は少し前、自分でギルドを作ろうと考えていた。

 すっかり忘れていたが、レイチェルの発言によって思い出した。


頑張って更新していきます!


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