出発
部屋の中は、しん、と静まり返った。
「私はかまわないけど、教えて欲しいなら、旅について来てもらうことになるわよ。それでもいい?」
「かまわない」
アルフは即答した。水月は念を押すように言った。
「死んでもいいのね?」
アルフは一瞬きょとんとしたが、やがて大きくうなずいた。
翌朝出発すると告げると、アルフは一つ頭を下げて出て行った。
「死んでも……って、どういうこと?」
「え? 旅って危ないからね。何があるかわからないし」
フィレイは納得したらしい。しかし水月の目には、明らかに違う感情があった。フィレイは全くそれに気付く様子はない。
二年近く一緒に旅をしてきて、フィレイが心底陽気な人間だというのはわかっていた。その上他人の裏の感情に気付かない。
つまり、水月にとって、本心を隠しやすいタイプの人間なのである。
その日は、食べ物や他の幾つか必要なものを買い足していると、あっという間に過ぎた。
朝、例によって寝不足の水月と、上機嫌のフィレイが村の入口に向かうと、アルフがそこに立っていた。
「それじゃ、行きますか」
笑みを含んだ声で水月は言い、そのままさっさと歩き出した。その後をフィレイが追い、アルフが慌ててついて行った。
短いですが、これでターベイ編は終了です。
次回からはルトン編となります。




