第25章 – 仮説
「うわあああ……冗談だろ? あいつら、本気で言ってるのかよ?!」
ツバサは絶叫し、怒りに震えて羽を逆立てながら、爪で羊皮紙をしっかりと握りしめた。
「どうしたんだい、ツバサ?」
その様子を見て、ユカタが興味津々で問いかけた。
「どうしただって? 俺の友達やってる二人の馬鹿どもさ! 見事にお互いと真っ向から衝突してくれてるよ!」
ユカタはピタッと動きを止め、目を大きく見開いたかと思うと、自分らしく芝居がかった笑い声を上げた。
「アハハハハッ! うわっ! まさかあの二人からそんな話を聞くことになるとはね。あの偉大なテツヤと、堅物のルシアンが喧嘩だって? 歴史的瞬間だよ!」
「あーあ、もう……あいつらには付き合ってられない……」
ツバサは小さな鶏の体でため息をついた。
「予定変更だ。大回りすることにする」
「大回り?」ユカタが首を傾げる。
ツバサは羽を整え、リーダーとしての冷静さを取り戻した。
「一度アリシアへ寄って、キックを連れていく。その方がずっと安全だ。あんな頑固者二人を相手にするには、本物の戦略家が必要なんだ」
「うーん、分かったけどさ。大回りすると、ステラ王国に着くまで合計で十二日もかかることになるぜ?」
商人が釘を刺す。ツバサは自信たっぷりに翼を一振りして、その忠告を払いのけた。
「あいつらのことは心配するな。十分大人だ。十二日もあれば、間違いなく自分たちの過ちに気づくはずさ。座って大人らしく話し合えば、自分たちがいいように操られていることに気づくだろう」
もしツバサが未来を見通せていたら、自分の楽観視が恐ろしい間違いだったと気づいただろう。だが今は、透明で澄んだ声が響く。
「パパの言う通りかもしれないね!」
ホウネンギョが尊敬の眼差しで彼を見つめた。ツバサは改心した水の精霊に向き直り、ある考えが脳裏をよぎった。
「なあ、ホウネンギョ……君も何か聖なる武器を持っているのか?」
「うん、あるよ! 魔法、特に精霊魔法は得意だし。剣士としても、それなりにやれるよ! フェニックス様ご自身から授かった武器があるんだ」
「ふむ、なるほどな……」
鶏は頷いた。
「なぜそんなことを聞くの、父さん?」
「……これで完璧だ」
ツバサは微笑んだ。これぞ大きな切り札になる。
「……完全にパパを信じてるからね!」
精霊は役に立てる喜びに目を輝かせた。その様子を笑顔で眺めていたユカタが、急に表情を硬くして目を細めた。
「何を企んでるんだい、ツバサ?」
「アハハ……まあ、ただの仮説だよ」
と鳥は地平線を見つめながら切り出した。
「今、二つの国を騙している奴……俺たちは既によく知っている人物じゃないかと思っている。出会った時にゴウから少し聞いたんだが、まだ確証はない。この理論は間違っているかもしれない」
ユカタとホウネンギョは、彼の言葉に聞き入った。
「心配するな」
とツバサは場の空気を和らげた。
「とにかく、今回は大回りしなきゃならない。ところで、どうしてこの旅は十二日もかかるんだ? アリシアと魔王領の間を移動した時は、四、五日しかかからなかったはずだろ!」
「ああ、理由は簡単さ。船のせいだよ」
ユカタが桟橋で待機する船を指差してため息をついた。
「この船、死ぬほど遅いんだ。乗組員に頼み込んでも速くはならない。まさに海の亀だよ」
ツバサは、木製のデッキの上で今後二週間を過ごす羽目になった自分を思い、諦めのため息をついた。
「ああ……なるほど。まあ、仕方ないな……とにかく行くぞ」
ホウネンギョは水のエネルギーを飛び散らせながら嬉しそうに跳ねた。
「うん! パパの計画なら絶対うまくいく気がするよ!」




