第22話 一年後にまた会おう
第22章 – また一年後に
「うおおおおおおおおっ!」
叫び声が空き地全体に響き渡った。
ツバサとホウネンギョは即座に振り向いた。
一人の男が猛スピードでこちらへ向かって走ってくる。
「ツバサさん、助けに来ましたよ!!」
彼は拳を突き上げ、ヒーローのようなポーズをとった。
ツバサは目を細めた。
「……誰ですか?」
男はピタッと立ち止まった。
「えっ?! いや……俺ですよ、ユカタです!」
「はあ?! ユカタ?!」
「そうですよ!」
ツバサは彼を上から下までジロジロと見た。
奇妙な鎧に、ピカピカ光るヘルメット、長いマフラー、そしてガジェットだらけのベルトを身に着けている。
「ごめん……そのふざけた格好のせいで気づかなかった……」
ユカタは胸に手を当てた。
「ふざけた、だと?!」
彼はビシッとポーズを決める。
「ライダー・マンだ!! 世界最高の商人ヒーローだぞ!」
ツバサはため息をついた。
「もういいよ……」
彼は額に翼を当てた。
「助けはいらないから。」
ユカタは肩を落とした。
「ああ……遅かったか……」
「うん……」
彼が言い終わるや否や、ホウネンギョが突進してきた。
ツバサはユカタの腕を掴んだ。
「動け!」
二人は一緒に尻尾の一撃をかわした。
ツバサは彼を自分の後ろへと追いやる。
「ここにいて。」
「わ、分かった……」
そして、ツバサはホウネンギョを見据えた。
その眼差しには、もう怒りはなかった。
あるのは同情だけだった。
「聞いて……フェニックスが君に何をしたか、知っている。でも……彼は過ちを償おうとしているんだ。」
ホウネンギョは笑い出した。
苦痛に満ちた笑い声を。
「アハハハハハッ!! 償うだと?! そんな嘘を本気で信じているのか?! あいつは俺を見捨てたんだ! 俺を独りぼっちにした! 何年もの間ずっと!」
テツヤがゆっくりと近づいてきた。
「どうしてかって、あいつに聞いたのか?」
沈黙が落ちる。
ホウネンギョは歯を食いしばった。
「……いや。それに、知りたくもない。どうせ言い訳をするに決まってる。きっとこう言うんだ……『お前は弱すぎた』『役立たずだった』『だから置いていった』と。」
ツバサは一歩踏み出した。
「本当にそう思っているの……?」
ホウネンギョの唇が震えた。
そして、彼の怒りが爆発した。
「黙れ!!! 黙れ!! 黙れえっ!!!」
彼の周りから何十もの波が噴き出した。
全身が震えている。
だが……彼が叫んでいる間に……
テツヤが近づいた。
剣を抜くこともなく。
攻撃の構えをとることもなく。
ただ両腕を広げ、彼を抱きしめた。
ホウネンギョは硬直した。
「……」
そこへユカタもやって来た。
「俺も。」
彼もまた、ホウネンギョを抱きしめた。
ツバサは数秒間、その光景を見つめ、そして微笑んだ。
「まったく……誰かさんが足りないね。」
彼もその抱擁に加わった。
ホウネンギョは彼らを突き放そうとした。
「やめろ……放せよ……俺は……俺は……」
彼の腕がゆっくりと下ろされた。
そして、彼は泣き崩れた。
「会いたくてたまらなかった……俺……大好きだったんだ……まるで……俺の父親みたいだった……」
ツバサは優しくホウネンギョを抱きしめ直した。
「しーっ……もう何も言わなくていい。ただ聞いて……僕たちの心音を。」
ホウネンギョは目を閉じた。
彼を包み込むこの温もりは……彼の記憶にあるものと、全く同じだった。
ほんの一瞬……
フェニックスが帰ってきたような気がした。
数分後……
全員が他の仲間たちと合流した。
「ツバサ!!」
ルシアンがすぐに駆け寄ってきた。
そしてピタッと立ち止まる。
「その姿……進化したのか?」
ツバサは笑い出した。
「そうみたいだね。」
テツヤが彼の肩に手を置いた。
「よくやったな、兄弟。お前ならやれると信じてたぜ。」
キックも頷いた。
「俺もだ。」
ゴウは辺りを見回した。
「そういえば……ホウネンギョはどこ?」
ユカタが両手を差し出した。
非常に小さな赤ん坊が安らかに眠っていた。
……
全員が沈黙した。
そして……
「ええええええっ?!」
ユカタが大笑いした。
「安心しろ。魔力を全部使い果たしただけだ。数時間もすれば元のサイズに戻るよ。」
ルシアンがユカタを指差した。
「待って……で、お前誰?」
キックも眉をひそめた。
「俺も同じことを思っていた。」
ユカタはゆっくりとヘルメットを脱いだ。
「お前らわざとやってるだろ?! 俺だよ! ユカタ!!」
ルシアンは目を丸くした。
「ああ……ウェイターの言ってたことは本当だったんだな……お前、本当に頭のネジが外れてるよ。スーパーヒーローのコスプレなんかして?!」
ユカタはうつむいた。
「……ああ……遅刻した……」
全員が爆笑した。
赤ん坊の姿のホウネンギョでさえ、小さく笑い声を上げた。
空気はついに穏やかなものになっていた。
その後……
一同は魔王の前に到着した。
キックが片膝をつく。
「陛下。任務が完了いたしました。」
魔王は腕を組んだ。
「ご苦労。して、化け物の首はどこだ?」
誰も答えなかった。
テツヤが前に出た。
「我々は奴を殺していません。」
ユカタがそっと両手を開いた。
小さなホウネンギョが安らかに眠っている。
部屋が静寂に包まれた。
魔王はゆっくりと立ち上がった。
その視線が氷のように冷たくなる。
「……ふざけているのか? 我が兵士が三百人も死んだのだぞ。それで戻ってきて……赤ん坊一匹だと?」
誰も口を開く勇気はなかった。
魔王は玉座を強く叩いた。
「説明しろ。なぜこやつの命を助けてやらねばならんのだ?」
キックは目を伏せた。
ゴウは拳を握りしめた。
ルシアンでさえ、返す言葉が見つからなかった。
その時……ツバサが前に出た。
「彼はまだ、多くの命を救うことができるからです。」
魔王は彼を睨みつけた。
「続けろ。」
「もしここで彼を処刑しても……三百人の兵士は死んだままです。何も変わりません。ですが、もし彼に二度目のチャンスを与えれば……我々と共に『七つの大罪』と戦うことができます。」
魔王は黙り込んだ。
ツバサは言葉を続ける。
「そして、もし彼がいつの日か三百人以上の人々を救ったなら……その時、兵士たちの犠牲は無駄ではなかったことになるのです。」
長い沈黙が続いた。
魔王はついに玉座に腰を下ろし、ため息をついた。
「……一理あるな。よかろう。生かしておこう。」
全員が安堵の息を漏らした。
魔王が再び口を開いた。
「ツバサ。我々の取引はまだ有効だ。」
ルシアンが勢いよく振り向いた。
「なんの取引だよ?」
ツバサは頭を掻いた。
「あー……彼らに作ると約束したんだ……『列車』をね。」
部屋中が静まり返った。
「れっ……しゃ?」キックが尋ねた。
「何それ?」ゴウが尋ねる。
ツバサは微笑んだ。
「王国中をずっと早く横断できる乗り物だよ。たったの銅貨一枚でね。」
魔王が頷いた。
「最初は赤字になるかと思ったが、誰もがこの交通網を利用するようになれば……王国は今よりずっと豊かになると、こやつが説明してくれたのだ。」
ルシアンは笑顔を見せた。
だが、すぐにその笑顔が消える。
「待って……それってつまり……お前はここに残るってことか?」
ツバサはゆっくりと頷いた。
「一年間ね。工事自体はもっと長くかかるけど。でも僕が……ここに残るのは一年間だけだ。」
再び沈黙が降りた。
ルシアンは目を伏せた。
「……お前がいない一年か……変な感じがするな。」
翌朝……
馬車の前に全員が集まっていた。
別れの時が来た。
「じゃあね、みんな!」とツバサが声をかけた。
ルシアンは寂しそうに微笑んだ。
「また一年後にな。寂しくなるぜ。」
ツバサは翼を彼の肩に置いた。
「僕もだよ。」
テツヤが手を挙げた。
「俺のことは?」
ツバサは笑い出した。
「もちろん寂しいよ、兄さん。」
ゴウが走ってやってきた。
「待ってよ! キックさんが俺を騎士として雇ってくれたんだ! これで父さんとゴヤの治療費が払えるよ。」
テツヤが彼に手を差し出した。
「俺たちの仲間に歓迎するぞ。」
そこへタルがやってきた。
「アタシもアリシアに行くわ。」
ルシアンは途端に顔を赤くした。
「お前……どこで寝るんだよ?」
「アンタの家よ。」
ルシアンの顔が真っ赤に染まった。
一同は大爆笑した。
ホウネンギョが、ツバサの翼をそっと引っ張った。
「ねえ……パパ……じゃなくて……ボス……俺、一緒にいてもいい?」
ツバサは瞬きをした。
そして微笑んだ。
「もちろんだよ。今日から……僕たちは家族だからね。」
ユカタがすかさず手を挙げた。
「俺も残るぜ!」
全員がため息をついた。
「だと思ったよ……」
数分後……
馬車がゆっくりと遠ざかっていった。
ルシアンが手を振った。
「また一年後に!」
「また一年後に!」
彼らの声はいつまでも響き渡った。
馬車が完全に見えなくなるまで。
そして、静寂が訪れた。
その時、ユカタがツバサを見た。
彼は意味深に微笑んだ。
「なあ……この世界の出身じゃないのは、自分だけだと本気で思ってたのか?」
ツバサは凍りついた。
「……え?」
ユカタは微笑み続けた。
「その話は……また後でな。」
第22章 完




