第18章 ― もしかして……子供なのか?
— さあ、魔法使い様!少しの水なんかに負けるな!俺たちには雷がある!
ゴウが叫んだ。
キックは笑った。
— ははは!その通りだ!
目の前に巨大な波が立ち上がる。
二人は同時に跳び上がり、ギリギリで回避した。
ホーネンギョは笑い出す。
— あははは!あの小僧を忘れるなよ!
新たな波がゴヤに向かって突進する。
— 兄貴!!
だがその瞬間……
バキッ!
水が氷へと変わった。
ゴウはすぐに融合形態を切り替える。
雷は消え、代わりに風でできた小さなマントと帽子が彼の体に現れた。
ホーネンギョは瞬きをした。
— 何……?なぜ俺の水が冷えている?
ゴウは笑顔を見せる。
— ははは!罠にハマったな!さっきまで見えていたゴヤは偽物だ!
彼は氷の塊を指さした。
— これは風の爆弾だ!水に触れれば冷えて氷になる!
キックを見た。
— 正直言うと、これは魔法使いの発想だ。俺だけじゃ思いつかなかった。
キックは頭をかいた。
— ははは……まあな。
しかしホーネンギョは笑う。
— お前たちは友達を忘れているぞ!
彼が両手を上げると……
水がテツヤとツバサの頭部をさらに締め付けた。
そして——
ドンッ!!
テツヤは一瞬で水の檻を剣で破壊した。
さらにツバサの拘束も砕く。
— うおおお!やり返すぞ!
— コホッ、コホッ!助かった、テツヤ!
ホーネンギョはすぐさまツバサへ突進する。
だがテツヤが間に割って入った。
カンッ!!
— 剣の一撃、受けてみろ!
ホーネンギョは笑う。
— あははは!笑わせるな!
彼の腕には鱗が広がる。
テツヤの剣撃が連続する。
カンッ!カンッ!カンッ!
しかしすべて受け止められる。
— あははは!いいぞ!楽しいじゃないか!
テツヤも笑う。
— 俺もだ。七つの大罪以来だ……ここまで耐える相手は。
— おお!それはこっちの台詞だ!
その戦いを見ながら、ツバサはホーネンギョを観察していた。
小さい。
声は子供のようだ。
よく笑う。
すぐ怒る。
そして何より……
楽しそうだった。
「この大きさと行動……」
ツバサは眉をひそめる。
「まるで子供みたいだ……」
首を振る。
「いや、違う。きっと違う。ただの憑依された存在だ」
だが、その違和感は消えなかった。
その時——
— 後ろだ!
ゴウとキックが背後から攻撃する。
雷と風の刃が同時に迫る。
ホーネンギョは雷を避け、風の刃を尾で弾く。
ドォン!!
— あははは!戦闘中に背後からとはな!それはフェアじゃないぞ!
ゴウは腕を組む。
— 残念だが、俺は騎士じゃない。
キックも手を上げる。
— 俺もだ。魔法使いだ。そして魔法使いは騎士を支えるものだ。
— うるさいなぁ!
ホーネンギョが突っ込む。
その瞬間——
テツヤが尻尾を掴んだ。
— 忘れてもらっては困るな!
彼は回転させる。
一回。
二回。
三回。
そして——
— 吹き飛べ!!
手を離す。
ホーネンギョは木々を突き破りながら吹き飛んだ。
ドン!ドン!ドン!
ツバサは目を見開く。
— すご……投げ大会があったら優勝だなそれ。
テツヤは頭をかく。
— それは知らないが、楽しそうだな。
ゴウが戻ってくる。
— よし、時間がない。最大火力でいくぞ。
キックが瞬きをする。
— お前、本当に騎士じゃないのか?
— 何度も言ってるだろ。
全員が力を溜め始める。
テツヤも、キックも、ゴウも。
だが——
ツバサだけは違った。
— みんな……
視線が集まる。
— ひとつ提案がある。
— 何だ?
— 最大技はやめよう。
沈黙。
キックが叫ぶ。
— 何言ってるんだ!?被害見ただろ!
ゴウも続く。
— あいつの力を見ただろ!
ツバサはホーネンギョを見る。
まだ笑っている。
まるで遊んでいる子供のように。
— たぶん……倒すだけじゃ意味がない。
— は?とテツヤ。
— 話すべきだと思う。
沈黙が落ちる。
— 話す?とキック。
— うん。
ツバサは深く息を吸う。
— 数百年生きている存在でも……あいつは子供みたいに見える。
ゴウはホーネンギョを見る。
— 子供……
— 間違ってるかもしれない。でも、何かが引っかかる。
テツヤはゆっくり剣を下ろす。
— わかった。
全員が驚く。
— お前がそう言うなら、信じる。
— マジか!?キックが叫ぶ。
— いいのかよ!?ゴウも続く。
テツヤは笑う。
— 今までの流れで、こいつの勘は悪くない。
キックはため息をついた。
— じゃあ……問題が起きたらすぐ攻撃だ。
— 賛成だ、とゴウ。
ツバサは微笑む。
— ありがとう。
遠くでホーネンギョが立ち上がる。
服を払う。
そして彼らを見る。
その瞬間、ツバサは気づいた。
あれは怪物ではなく……
迷子の子供のように見えた。




