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第17章 – 最初の一歩

第17章 – 最初の一歩


ルシアンはすでに三時間、ずっと挑戦し続けていた。


庭の中央に座り、足を組んだまま目を閉じている。


額には小さな汗が滲んでいた。


その隣では、タルが草の上に腰を下ろしていた。


「少しは時間をあげてあげて、お父さん。私だって何日もかかったんだから」


彼女は微笑む。


「それに……この人、魔法はあまり得意じゃないし」


ルシアンは片目を開けた。


「おい、それ聞こえてるぞ」


「あはは! ごめんね、ルル」


教授Jは腕を組む。


「集中しろ、ルシアン」


「はい、教授J」


ルシアンは再び目を閉じた。


「内部霊力魔法は外へ放つ魔法ではない。まずは自分の中のエネルギーを感じるんだ」


「分かりました……」


「まずは体の一部だけでいい。右腕から始めよう」


「了解」


静寂が訪れる。


庭には優しい風が吹き、遠くで鳥の声が聞こえていた。


そして――


何も起きない。


完全に。


1分。


2分。


5分。


そのとき――


「何か感じます!」


タルが立ち上がった。


「本当か?」


「はい! 右腕が熱いです!」


教授Jが近づく。


「続けろ」


ルシアンは深く息を吸った。


熱がさらに強くなる。


そして――


プシュッ。


袖から小さな煙が上がった。


「うわっ!」


ルシアンは腕を振った。


タルは大笑いした。


「あはは! 焼けてるじゃない!」


「笑い事じゃない!」


教授Jもわずかに笑みをこぼした。


「失敗ではない」


「え?」


「今、お前は初めて霊力を循環させた」


ルシアンは顔を上げる。


「本当ですか?」


「ああ。むしろ良い第一歩だ」


少年騎士の顔に、小さな笑みが浮かんだ。


霊たちを失ってから――


初めて「前に進めている」と感じた瞬間だった。


自分の手を見る。


「もしかして……俺は本当に強くなれるのかもしれない」


教授Jは彼の肩に手を置いた。


「だが、喜ぶのはまだ早い」


「え?」


「今のはただの火花だ」


彼は微笑む。


「ここからそれを、本当の力に変えていく必要がある」


ルシアンは息を呑んだ。


タルは満面の笑みで言った。


「やった! じゃあこれからもずっと一緒にいられるね!」


「俺が言いたいのはそこじゃないんだが……」

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