③自立への焦り3
まずは、洗浄の主成分となるアルカリ性の物質だ。これは我が家の暖炉の底に、燃えカスとしていくらでも溜まっている「灰」で十分だった。木灰から取れる炭酸カリウムは、古くから洗剤の代用品として使われている。
次に、汚れを吸着するための多孔質の物質。私は川のほとりで、特定の地層から露出している白っぽい粘土質の土を掘り出した。
前世で「フラー土」と呼ばれていたその粘土は、油分や不純物を驚くほど吸収する特性を持ち、古くから羊毛の油脂を吸い取る洗浄剤として使われてきた歴史がある。川辺には、陶器くずやゴミと一緒に、この有用な粘土がタダで転がっていた。
最後に、消臭成分だ。スラムの湿った路地裏や、崩れかけたレンガ塀の隙間には、生命力の強い雑草がいくらでも生えている。私はその中から、ミントやラベンダーに似た、強い芳香成分を持つハーブの葉を見つけ出し、小さな手に持っていた麻袋に詰め込んだ。
「……ふぅ」
三歳のひ弱な身体にとって、濡れた重い粘土やハーブを抱えて路地裏を歩き回ることは、想像以上の重労働だった。手足は泥と煤で真っ黒に汚れ、鋭い石の破片で指先が切れ、血が滲んでいた。
それでも、私の口元には自然と深い笑みが浮かんでいた。
親から与えられる施しのパンを待つのではなく、自分の頭脳と足を使って、無から有を生み出すための資源を調達している。前世で会社を立ち上げ、最初の利益を手にした時と同じ、血が沸き立つような高揚感があった。
私は誰にも見つからないよう、アパートの裏にある半ば崩落した物置小屋に材料を持ち込んだ。
そこから、地道で、そして果てしなく孤独な実験の始まりだった。




