未知の世界
「2091年って、はあ?」
それもそのはず、2023年に僕は生きているはずなのになぜかそのような数字はどこにもない。
まだまだ先のことなんだから、こんなカレンダーが売ってるわけもない。
どう考えても理解ができない。
(しかも自分の部屋じゃないし……)
僕がいつも寝ているベッドはフカフカのクッションにフワフワの布団があるが、これはただ布が敷かれただけの台のようなもので、寝るためのものではなさそうな気がする。
(じゃあここはどこなんだ?)
あたりには何に使うかわからない機具、ロボットのような人間のようなどこか違和感を感じさせるナニカが居て、見たことないぐらいデカいテレビが……
僕はそっと台から立ち上がり、あたりを歩いて調べてみようとすると、ドアの奥から声がした。
その声はどんどんこっちに近づいてくる。
窓もない意外に殺風景な部屋で逃げも隠れもできず、あっさり見つかった。
そこにいたのは長い銀の髪の美しい顔立ちをした女性と僕と同じぐらいの年の短い紺色の髪をした女子だった。
「起きたのね」
(誰だこの人たち)
どこか落ち着いた感じがしている。どこかで会ったことあるような感じ。そんなわけないのに。
「どこだよ、ここは」
2人は何か言いかけたが、僕はそれを遮るように言った。自分でも驚いた、あまり強い口調で話すことはないのに。
それもそのはず。朝目覚めたと思ったら全く見当のつかない謎のところに居て、カレンダーの西暦もおかしいし、見たこともない謎の2人が急に現れて話かけてきたんだぞ。
まるでどっかのSFの主人公みたいな状況に陥ってるんだから、焦るのも無理はない。
すると、紺色の髪の彼女はゆっくりと口を開いた。
「ここは西暦2091年の地球よ。そうね、あなたから見れば68年後の未来の地球、ということになるかしら」
(え?68年後の未来?)
「あなたを連れてきたのはほかでもない、この未来であなたにしかできないことがあるの。あなたの未来を変えうるほどに……」
(ちょっと待て。夢だ。これは夢なんだ。いきなり炎に包まれた地獄のような街の夢の次はこれか。にしてもやけにリアルな夢だな)
今自分に何が起こっているのか理解ができない。
「何言ってんの……未来に行くとかできるわけないだろ……」
「そうよね。信じてもらえないのも無理はないわ。でもね、信じてもらわないとあなたもあなたの親友も未来は無いかもしれないわ」
彼女はどこか焦っている様子で早口で僕にそう言った。
ここで1つ疑問が浮かんできて、咄嗟に尋ねた。
「親友?……前田のことか?あいつがどうしたってんだよ。あいつと僕の未来がどう関係してるっていうんだよ」
初対面の人が自分の親友を知っていたということにも驚いたが、それよりも前田に何か大変なことが起きてしまうかもしれないということに焦った。
「あ、また悪い癖が出ちゃった。私ったら急ぐと物事の順序考えずにあれこれ言っちゃうのよね」
彼女は苦笑いでこう続けた。
「先生、あの映像を……彼に見せてあげて下さい」
銀髪の女性は先生と呼ばれているらしい。先生が大きいテレビと言えば良いのか……謎のモニターを操作し始めると、映像が流れ出した。
流れに身を任せ、僕はその映像をじっと眺める。




