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兄妹

 「うっ、うぅん・・ここは・・」

 

 女の子にアルの事をどう説明しようか悩んでいると、男の子が目を覚ます。


 「お兄ちゃん!」


 その事にいち早く気付いた女の子が先ほどまで興味を示していたアルの事など忘れ、心配そうな表情で兄の顔を覗き込む。


 「ファル?・・・ハッ・・ここは!ファル!大丈夫か!!変な事されてないか!!」

 「お、お兄ちゃん!?」


 初めは寝ぼけた様子の男の子だったが意識がはっきりしたのか、ガバッと起き上がり妹さんである女の子の肩を掴み凄まじい剣幕で畳みかける様に質問する。


 飛び上がる様に起き、兄に驚いてうまく言葉が出ないのだろう。女の子は困った表情を浮かべ、兄の問いに答えられずにいた。


 「あーお兄さん、少しは落ち着いたらどうかい?・・・妹さんも困ってるよ。」


 そんな女の子に俺は助け舟を出す事にする。が


 「?!お前誰だ!奴らの仲間か!!ファルには手を出させないぞ!!」

 

 急に声を掛けたのがマズかった。


 男の子的には急に現れた俺に警戒するのは当然だ。敵か味方かわからない上にここは山賊のアジト、敵である方の可能性がもっとも高い訳で。


 そんな得体の知れない俺に対して男の子は妹である女の子を自身の背に隠し守るように両腕を広げ女の子の前に出る。


「えっと、俺は君たちの敵じゃない、助けに来たんだ。・・・っと言っても信じられかな?」


 鋭い視線で見てくる男の子に言ってみるが。


 「当たり前だろ!声や身体の大きさからして妹と同じくらいの齢だろ!子供のくせにそんな事が信じられるか!!」


 死にそうになるくらい・・・いや、俺が来るのが本僅かでも遅ければ死んでいたでだろう。

 そんなひどい目に遭った直後にこんな体の小さな奴が、助けに来た。なんて言われても受け入れられる訳ない。


 しかも、自身の後ろには守るべき存在である妹がいるのだ。余計にだろう。


 「お兄ちゃん!!違うよ!」

 「ファル?」

 「その人は、本当ににわたしたちを助けに来てくれた人だよ!」

 「え?いや、でもこんな小さいヤツが・・・」

 「ほら、あそこにお兄ちゃんをいじめていた人が倒れてるでしょ」


 女の子は部屋の隅っこを指さすとそこには先ほど俺がぶん殴って泡を吹き白目で気絶している奴が転がっていた。


 「うそ・・・だろ。」

 「うんん、ほらお兄ちゃんのケガも治してくれたんだよ。」

 「た、たしかに・・・身体のどこもいたくない。」

 「ね!でしょ、だからあの人は良い人なんだよ!!」

 「あ、え、うん?」


 事態をうまく呑み込めないのか目を白黒させ、俺や女の子を交互に見る。


 「うん、まぁそういう事だ。・・・あぁ、そうだ、自己紹介がまだだったな、俺はスピカだ。で頭の上に居るのはアルこいつ・・・俺の相棒みたいなもんだ。」

 『・・・相棒!』


 とりあえず混乱する男の子を落ち着かせるためにも自己紹介をして、ついでに頭の上に居るアルの事も紹介しとく。でなきゃまた、俺の事を獣人と勘違いされると困るのだが。


 俺が解りやすいかと思って“相棒”と言ったのだが。なんぜかそれに反応した頭の上のアルが白い翼をバサバサはためかせ、尻尾をぶんぶんっと振って喜びを表現する。


 「いたた、痛い!人の頭の上で暴れるな!お前の体重が首に掛るんだから大人しくしてろよ!!」

 『おっおお、す、すまぬ、何と言うか“相棒”という言葉の響きが好くってな、つい。』

 「たく、気をつけてくれよ。今度やったらお前が楽しみにしてるアレ抜きだからな。」

 『なぬ!わわかった、気をつけよう!・・・だからアレだけは勘弁してくれ!』


 アレとは言わずもがな、酒である。毎日・・・は健康に悪そうなので週に1,2回、晩飯の後に飲ませてやっているのだが、一度羽目を外し過ぎて酔った勢いで俺の小屋を半壊させた事があり。

 それに激怒した俺が暫く酒禁止を通告し1か月間酒抜きの生活を味わってからと言うもの、アルに対して酒抜きっと言うワードはかなり効く言葉の一つだ。


 そんな俺とアルのやり取りを見て、目を丸くしている兄妹。


 「ほら、アルの所為で呆れられてるじゃないか。」

 『ぬぅ、我の所為か?』

 「だろうが・・・もう、すまんね。うちの相棒が騒がしくって。」

 

 俺が兄妹に謝るとアルもそれにつられる様に『すまぬ。』っと俺の頭の上で謝る。


 「・・・喋った。」

 「お兄ちゃん!すごいお人形が喋った!!」

 『オイ!我は人形などでは無く、七てnむぐ・・・』

 「「?」」

 「あはは、何でもないよ~。」

 

 俺は咄嗟にアルの口を塞ぎ、黙らせる。


 (「おい!何正体バラそうとしてんだよ。前に決めただろ。外じゃお前がどんな扱い受けているか分からないから内緒にしておこうって。」)

 (『お、おう、そうであったな。』)

 

 ――忘れてたんかい!・・・まぁトラブルを避けるためにアルには正体を隠して貰っている訳だが、俺が自らトラブルに足を突っ込んでいるので強く言えないだけどな。


 「あ、あの、スピカさん。」


 俺とアルが小声で話をしていると男の子が徒然声を掛けてくる。


 「ん?どうかしのかい。」

 「そ、その、疑ってしまってすみませんでした。」

 「へ?」


 男の子からの唐突の謝罪に戸惑う俺を後目に話を続ける。

 

 「言い訳するようで心苦しんですが、妹のファル――ファルルアの事は絶対に僕が守らなくちゃっと・・・父と約束で・・・」

 「お兄ちゃん・・・」

 「でも、僕は何にもできなくって・・・」

 「違うよ!お兄ちゃんはちゃんとわたしを庇ってくれたもん。」

 

 落ち込む男の子に妹のファルルアちゃんが励ますが、あまり効果が無いようで俯いている。


 「確かに君は、力及ばず死にそうになっていた。」

 「・・・はい。」

 

 男の子は、俺の言葉でさらに落ち込み暗い顔をする。


 「・・・でも、それは妹さんを守るためだろ?なら、君はその役目をしっかりこなした。君がいなきゃ俺が間に合ったかどうかわからない。・・・だから君は胸を張りな!」

 「そうだよ!お兄ちゃんのお陰でわたしは、何んとも無いよ!」

 「ファル・・・スピカさん。」

 『オイ、急がんと他のが来るぞ。』

 

 アルのちょっと空気の読めない一言でいい雰囲気に成りかけてのだが、兄弟はハッとした表情になる。

 確かにアルの言う通りなのだが。


 ――だからっと言ってもう少し場の空気を読んで欲しい所だ。

 森での生活の中でもわかっていた事だが、俺以外にろくに会話をしていなかったからアルのコミュ力はかなり低い。


 「・・・はぁ、まぁ、いいか。」

 

 ここでアルに言って聞かせる時間ないので、一つため息を吐きだし肩から力を抜き、頭を切り替える。

 

 「さて、アルの言う通り他の奴等が感づくかもしれない君たち、えーっと。」

 「あ、すみません!まだ名乗ってなかったですね。僕は、ルクスです。こっちが妹の」

 「ファルルアです。いろんな人からファルって呼ばれてます。」


 と簡単に二人が俺たちに自己紹介してくれる。

 

 妹のファルはこげ茶色のストレートな髪が背中辺りまで伸びていて、琥珀色の瞳した俺よりも頭一つ背が低い少女で

 兄のルクスはファルと同じ瞳にだが、髪の色が明るめな茶髪にくるくるとしたくせ毛で僅かだか俺よりも身長が高い。

 年もさほど離れているように見えない。目測でルクスが12,3でファルが9か10歳ぐらいだろうか。

 

 二人ともに回復薬《生命の霊薬》を飲ませたので傷は無いが服はボロボロの貫頭衣だけだ。


 少し2人を観察してから、俺は話し出す。


 「それで、ルクスにファルルア・・・」

 「スピカさん、ファルで良いですよ!」

 「そう、じゃあファル、俺は他の人も助けに行かなくちゃ行けないから・・・」

 「僕たちも付いて行きます。」


 この部屋で待つようにっというつもりだったが先にルクスが付いて来たいと言ってくる。


 「僕たちが役に立たないのは解っていますが、その・・・」

 ルクスはファルをちらりと見ると微かにだがファルの身体が震え、こわばった表情を浮かべている。


 なるほど。装備や動きから判断して、この部屋の入り口を塞ぎ待っていてもらったほうが安全だろうと考えたのだが、2人ともはまだ幼い子供だ。

 例え安全と解っていてもこの部屋の中で待ち続けるのは、酷な事なのかもしれない。


 しかし、ここに来るまでに13人気絶させたがいまだ7名もいて、更にその中にはそこの転がっている奴以外の幹部が3人も残っている。

 そんな中を子供2人を連れて歩くにはリスクが高い。

 どうしたものかと俺は腕を組み少し悩み、考えをまとめた。


 「アル、頼みが・・・」

 『ふむ、そこの2人を我が見ておけばいいのだな。』

 「あぁ、頼む。」


 子供2人をこれ以上怖がらせるのは、可哀想すぎる。多少危険でも、俺と一緒の方が安心できるならその方がいいだろ。

 アルは魔法や戦う事は出来なくっても索敵なら問題ない。それに


 「これも持っていてくれ。」

 

 俺はインベントリから黒い棒状の物を取り出し、ルクスに渡す。


 「これは?」 

 

 ルクスは不思議そうに棒を持ちながら、色々な角度から棒を調べている。


 「それは、《スタンロッド》って言って先端に銀色の部分があるだろ。」

 「は、はい。」

 「もし襲われそうになったら、その銀色の部分を相手の出来れば肌につけると一番だが、まぁどこでも良いからくっつけて、手元のスイッチ―――出っ張りを・・・そうそこを押す。」


 俺の説明を聞きながらルクスが誰もいない空中でスイッチを押す。


 バチバチっと光と音が鳴りってルクスは驚き、《スタンロッド》から手を放してしまう。

  

 「よっと、危ないから落とすなよ。」


 落下中のそれをなんとか空中でキャッチすると再びルクスに渡す。


 「す、すみません。」

 「そんなに怖がらなくていいぞ、その出っ張りを押さなきゃ危険は無いから。それにそれを使う前に俺が全員倒すから念のためのお守りとして持っててくれ。でファルは。」


 俺は頭の上にいるアルを持ち上げ、ファルに持たせる。


 「アルに2人を見てもらう事にしたから。敵が来たらアルが教えてくれるだろう。な、アル。」

 『うむ、我がいれば問題は無い・・からすまぬがその強く抱きしめるのは・・・』


 渡した途端、ファルに柔らかいと言い目を輝かせながら、ほおずりされて強く抱きしめられているアルは抗議の声をあげるがファルの耳には届いていないのか徐々にその抱きしめる力が強くなる。

 

 あ、首が完全に決まっている。

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