↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祐兵さんと豊久くん ――日向の空の下で――  作者: Gさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
230/392

第二百二十七話 朝露の鍛錬

祐兵さんと豊久くん 登場人物紹介


祐兵(すけたか)さん…伊東祐兵《いとうすけたか》。紆余曲折を経て、飫肥藩初代藩主になった。知略に優れ、学問を愛する。

豊久(とよひさ)くん…島津豊久《しまづとよひさ》。島津氏家臣で、島津家久《しまづいえひさ》の息子。武芸一筋で、まっすぐな心を持つ。

小春(こはる)と黒猫…二人の飼い猫

暁。


空はまだ薄青く


東の空が静かに白み始めていた。


庭には朝露。


草葉が光を受けて輝いている。


伊東祐兵《いとう すけたか》は


すでに庭へ出ていた。


手には木刀。


静かに立つ。


呼吸は深く


乱れがない。


やがて。


「……寒いですな」


島津豊久《しまづ とよひさ》が現れる。


肩を回しながら歩いてくる。


手には木槍。


「身体を動かせば温まる」


祐兵(すけたか)が言う。


「それもそうですな」


豊久(とよひさ)が笑う。


向かい合う。


距離を取る。


空気が変わる。


朝の静けさ。


鳥の声すら遠い。


あるのは気配だけ。


「参る」


豊久(とよひさ)が踏み込む。


鋭い突き。


祐兵(すけたか)は半歩ずれる。


木刀で槍を流す。


乾いた音。


「……!」


豊久(とよひさ)はすぐに木槍を引く。


次の動きへ繋げる。


「悪くない」


祐兵(すけたか)が言う。


その瞬間。


祐兵(すけたか)が踏み込む。


速い。


木刀が下から跳ね上がる。


豊久(とよひさ)が受ける。


衝撃。


腕が痺れる。


「くっ……!」


「力で止めるな」


祐兵(すけたか)の声。


「流せ」


豊久(とよひさ)が息を整える。


構え直す。


再び。


今度は慎重に。


間を測る。


呼吸を見る。


風が吹く。


袖が揺れる。


豊久(とよひさ)が動く。


突き。


だが途中で変化。


槍先が流れる。


祐兵(すけたか)の目がわずかに細まる。


「良い」


木刀が閃く。


豊久(とよひさ)は退かない。


槍を滑らせ


受け流す。


「……!」


今度は崩れない。


祐兵(すけたか)がわずかに頷く。


「掴んできたな」


豊久(とよひさ)の顔に笑み。


「少しだけです」


さらに打ち合う。


木と木。


乾いた音が朝へ響く。


激しくはない。


だが。


一つ一つを確かめる鍛錬。


やがて。


祐兵(すけたか)が木刀を下ろす。


「今日はここまでだ」


豊久(とよひさ)も木槍を下ろす。


息を吐く。


白い。


縁側。


小春《こはる》が丸くなっている。


黒猫は塀の上。


静かに二人を見下ろしていた。


「見られておりますな」


豊久(とよひさ)が笑う。


小春《こはる》は欠伸をする。


黒猫は興味なさそうに目を細めた。


「……評価は厳しそうだ」


祐兵(すけたか)が言う。


豊久(とよひさ)が吹き出す。


「それは勝てませぬな」


朝日が昇る。


庭へ光が差す。


新しい一日。


二人は汗を拭いながら


静かな朝の空気を味わっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。