↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祐兵さんと豊久くん ――日向の空の下で――  作者: Gさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
224/392

第二百二十一話 朝の湯漬け

祐兵さんと豊久くん 登場人物紹介


祐兵(すけたか)さん…伊東祐兵《いとうすけたか》。紆余曲折を経て、飫肥藩初代藩主になった。知略に優れ、学問を愛する。

豊久(とよひさ)くん…島津豊久《しまづとよひさ》。島津氏家臣で、島津家久《しまづいえひさ》の息子。武芸一筋で、まっすぐな心を持つ。

小春(こはる)と黒猫…二人の飼い猫

朝。


まだ空気は冷たく


庭には薄い朝露が残っている。


台所では


静かに火が起こされていた。


伊東祐兵《いとう すけたか》は


炭火の前に座る。


手には昨夜残しておいたヤマメの皮。


丁寧に水気を拭い


網へ乗せる。


じり、と音。


皮が反る。


脂が浮き


香ばしい匂いが広がる。


「……良い匂いですな」


島津豊久《しまづ とよひさ》が


眠そうな顔で現れる。


「起きたか」


「その匂いで目が覚めました」


祐兵(すけたか)は小さく頷く。


「飯をよそえ」


「はい」


白飯。


湯気が立つ。


その上へ


炙ったヤマメの皮を乗せる。


さらに。


焼き味噌。


味噌を竹べらへ塗り


炭火で炙る。


香ばしさが立つ。


「朝から贅沢ですなあ……」


豊久(とよひさ)が嬉しそうに言う。


「大げさだ」


湯を注ぐ。


さらさらと音を立て


湯気が立ち上る。


湯漬け。


「いただきます」


二人同時に箸を取る。


豊久(とよひさ)が一口。


熱い。


だが。


「……うまい!」


思わず声が出る。


炙った皮の脂。


香ばしさ。


湯の優しい熱。


すべてが身体へ染みる。


祐兵(すけたか)も静かに口へ運ぶ。


「良い」


短い言葉。


だが満足げ。


豊久(とよひさ)は焼き味噌を少し崩し


湯漬けへ混ぜる。


香りがさらに広がる。


「これがまた……!」


「入れすぎるな」


祐兵(すけたか)が言う。


「味が強くなる」


豊久(とよひさ)が頷く。


「なるほど……」


今度は少しだけ。


味が変わる。


深みが増す。


「朝にちょうど良いですな」


「ああ」


外では鳥の声。


風が木々を揺らす。


穏やかな朝。


食べ終える。


身体が温まる。


力が巡る。


「さて」


祐兵(すけたか)が立ち上がる。


「今日も動くか」


「はい!」


豊久(とよひさ)も勢いよく立つ。


静かな朝餉。


だが、確かに力となる。


春の朝。


二人は今日もまた


穏やかな日常へ歩み出していった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。