↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祐兵さんと豊久くん ――日向の空の下で――  作者: Gさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
223/392

第二百二十話 川辺の塩焼き

祐兵さんと豊久くん 登場人物紹介


祐兵(すけたか)さん…伊東祐兵《いとうすけたか》。紆余曲折を経て、飫肥藩初代藩主になった。知略に優れ、学問を愛する。

豊久(とよひさ)くん…島津豊久《しまづとよひさ》。島津氏家臣で、島津家久《しまづいえひさ》の息子。武芸一筋で、まっすぐな心を持つ。

小春(こはる)と黒猫…二人の飼い猫

昼。


春の陽が川面を照らす。


水は澄み


風は心地よい。


伊東祐兵《いとう すけたか》と島津豊久《しまづ とよひさ》は


釣ったヤマメを川辺へ並べていた。


「良い型ですな」


豊久(とよひさ)が嬉しそうに言う。


串に通されたヤマメ。


銀の鱗が光る。


祐兵(すけたか)は炭を組む。


小枝。


乾いた葉。


火打石。


やがて。


火が起きる。


ぱち、と音を立てる。


「火は強すぎず」


祐兵(すけたか)が炭を動かす。


「じっくり焼く」


「はい」


塩を振る。


丁寧に。


尾にも化粧塩。


串を立てる。


炭火の前。


少し離して並べる。


じりじり、と音。


脂が落ちる。


香ばしい匂いが立ち上る。


「……たまりませぬな」


豊久(とよひさ)が真顔で言う。


祐兵(すけたか)は火加減を見ている。


皮が焼ける。


ぱり、と音を立てる。


身が白く変わっていく。


「まだだ」


祐兵(すけたか)が言う。


「ここで急ぐと水っぽくなる」


豊久(とよひさ)が唸る。


「修行ですな……」


しばし待つ。


川音。


火の音。


風。


穏やかな時間。


やがて。


祐兵(すけたか)が一本手に取る。


「良い」


豊久(とよひさ)の目が輝く。


「待っておりました!」


「いただきます」


二人同時に。


豊久がかぶりつく。


「熱っ……!」


だが止まらない。


「……うまい!」


声が響く。


皮は香ばしく


身はふっくらとしている。


祐兵(すけたか)も静かに食べる。


炭火の香り。


ヤマメの脂。


塩の加減。


「……良い焼きだ」


「釣った魚は違いますな」


豊久(とよひさ)が言う。


「ああ」


祐兵(すけたか)も頷く。


頭まで丁寧に食べる。


骨を外し


残さない。


「次は味噌も良いかもしれませぬ」


豊久(とよひさ)が言う。


「それも悪くない」


川辺に風が吹く。


火の匂い。


水の音。


食べ終え


二人はしばし空を見上げる。


青空。


流れる雲。


「良い昼ですな」


豊久(とよひさ)が言う。


「ああ」


祐兵(すけたか)が答える。


自然の恵み。


静かな時間。


それを味わいながら。


二人はまた


穏やかな一日を過ごしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。