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クラフトマスター建国記〜転生により不治の病を克服した少年は異世界で『至高の国』を再建する〜  作者: ウィースキィ
第一部 第一章 新たなる世界 【第一次王国 編】

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第6-2話 洞窟の底に


 休憩もそこそこに、四人は更なる階層を目指して静かに歩を進めていた。


 しかし、ふたつ下の階層に到達したそのとき──突如として、洞窟全体にゴォォォという重低音が響き渡った。まるで地の底から怒声が噴き上がるかのような轟音だ。


「なんだ?この音は……地鳴りか?」


 岩肌を這うように振動が伝わり、空気さえも震えているように感じる。


 最初はわずかな揺れだった。だが、その振幅は徐々に増し、やがて地面が波打つように大きく揺れ出す。足元が崩れそうな不安定さに、立っているのもやっとだった。


「まずいな、地震だ!スフィア!メラリカさん!リアの近くに集まって!」


 愁は咄嗟に叫び、〈守護者の聖域〉の結界を展開できるリアの元へ集まるよう指示を出す。


「な、なな、なんだこれは!地面が……揺れているぞ主様!」


「神の怒りに……触れてしまったのでしょうか……?」


 スフィアとメラリカは動揺しつつも、愁の言葉に従いリアの元へ駆け寄る。その間にも洞窟全体が船のように大きく揺れ続けていた。


「リア!結界を展開するんだ!その結界なら、物理的な衝撃からも守ってくれる!」


「でしたら、愁さまも早くこちらへ!」


 リアは怯えながらも必死に愁を呼ぶ。しかし、結界の規模は小さく、最大で三人までしか保護できない。前回より強度を増すために展開範囲を絞ったのが、今になって裏目に出てしまっていた。


「俺は大丈夫!こっちで別の結界を展開する!だから、急いで結界を展開してその中に!」


 揺れは更に激しくなり、天井の岩肌が小さく砕け、ぱらぱらと砂利が落ちてくる。


 愁はすぐに〈物理結界〉の魔石を作成し、胸元で強く握って起動した。リアの手元からも、澄んだハンドベルの音が二度響き渡る。


 次の瞬間、彼女を中心にスフィア、メラリカの三人が淡い光の結界に包まれた。


 安堵の息が洩れたその直後──バキィィッ!!


 耳を裂くような轟音と共に、足元の地面がまるで紙のように裂けていく。黒々とした裂け目は容赦なく広がり、四人を呑み込むようにして下方へ崩落させた。


「くっ……!」


 愁は即座に〈飛行〉の魔法を込めた魔石を作り出し、周囲に飛び散る岩石から身を守るよう結界を維持しつつ、三人の元へ向かう。


 手際よく〈飛行〉の魔石を作成してスフィアに渡し、さらに指示を飛ばす。


「リアは結界を維持してて!スフィアは魔石を使用して、二人を抱えて飛んでくれ!」


「了解した!」


 スフィアはすぐに両脇の二人を抱え込み、浮遊する。


 その後、宙を舞いながら見下ろすと、地割れの底はまるで奈落。底知れぬ暗闇が果てしなく続き、地の底がどこまでも開かれているように思えた。


「……いや、危なかったな。まさか地震で地割れまで起きるとは。次からはこういう事態も想定しておかないと……。三人とも、無事かな?」


 リアが愁から預けられていたハンドベルで展開した〈守護者の聖域〉に守られた三人に外傷はない。しかしその顔色は蒼白で、どこか放心したような表情を浮かべていた。


「愁さまはずいぶん落ち着いていますね……。わたし、怖くて震えが止まりません」


「我も長く生きているが、こんなことは初めてだぞ。なんなのだこれは……?」


 その中でも比較的冷静だったメラリカが、静かに口を開いた。


「たしか、千年以上前にも、似たような事象が起きたと、古い文献に記されていた気がします。でも、これほどとは。生きているのが不思議ですね……」


 愁はその言葉を聞きつつ、念のため〈気配探知〉の魔法で周囲を探る。


 そして、次の瞬間──


(……これは……なんだ?)


 先程までは感じられなかった異様な気配。それが、真下──地割れの底から、濃密に漂ってきていた。


 それはただの強さではない。圧倒的で、常軌を逸した“存在”の気配。この中では高い魔力を誇るスフィアですら『赤子』以下に感じるほどの巨大な魔力だった。


「みんな、気をつけて。下からとんでもない強い反応がある。おそらく、この先に何かがいる。俺が先に降りて様子を見てこようと思う。みんなはここで待っててくれ」


 だがその言葉に、ふたりがすぐさま反応した。


「何を言う主様よ。主様が行くと言うなら、我も行くに決まっておろう」


「そうです!愁さまだけ行かせるなんて、わたし、絶対に許しません!」


 普段は素直に従う彼女たちも、こういうときだけは強情になる。こうなっては、何を言っても彼女たちは動かないだろう。


「はぁ……まったく。二人とも強情なんだから。メラリカさんはどうしますか?上で結界を張って待機していてもらっても──」


「いえいえ、ご一緒しますよ。これでも冒険者の端くれですから。こういう状況、むしろワクワクします」


 にこやかに笑うメラリカの顔には、不思議と恐れの色はなかった。


「……さすがは冒険者、ですね。じゃあ、各自最大限警戒して。このまま、下降しましょう」


 四人は〈飛行〉の魔石を操作し、結界を維持したまま、奈落のような闇の奥底へと飛び込んでいった。


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