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冒険者の日常の日々  作者: りゅうけんたろう
第一章 下級下位
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日常24

 早朝は薪割を終わらし、ヘルムの部屋の前へやってきた。

 ノックをし、出てくるのを待つ。昨夜早朝に迎えに行く有無は伝えてある。

 朝から冒険者に必要な道具を買いに行ってから、ギルドにパーティー登録をしに行く予定だ。


 パーティーは二人から組むことができ、四人からチームとしてパーティー名が作れるようになる。三人までのパーティー実績は記録されない。名がついてからギルド内で評価されるようになる。そこまでいってようやく冒険者達に注目されるような存在になる。なのでほとんどの冒険者はすぐに四人でパーティーを組む。


『成り損ない』を倒したことで冒険者たちに注目されるかと思っていたが、そういうことはなかった。

 噂程度には広がったが、最終的に下級の冒険者が無茶をしてギルドに怒られたという不名誉なものだった。


 冒険者内では個人での実力はあまり重要視されていない。ただ、パーティー内で活躍した冒険者に限っては別だ。例えば、どこどこのパーティーの誰々が、あのすごい魔物に止めを刺したとかといったような噂をされることがある。そういったものはパーティーの実績が上がっていくと、二つ名といものがつけられるようになる。

 ギルド内で実績に見合った二つ名を付けてもらえるのだが、時としてその二つ名の影響で良い仕事にありつけなくなることがある。二つ名は実績を評価されて名前が付くが、それは主に冒険者たちが噂するようになった名前を採用することが多い。その中には不吉な二つ名を付けられてしまい依頼主に敬遠されてしまうことがる。そうなると依頼が減ってしまうかと言われるとそうでもない。ギルドがその名にあった依頼を斡旋してくれるのだ。ギルドはそういった弊害はしっかりと対処しているのだ。ただ、名前のせいでかなり危険な依頼を進められることがある。こればかりは仕方がない。それだけの実績を上げてきたと諦めるしかない。


 パーティーを抜けるとその二つ名は使われることはなくなる。

 ただ、認識票(IDタグ)ではその二つ名は記載されている。そういったことから、二つ名をニ、三個もつ強者もいる。



 ノックをしてからしばらく物音がしたかと思うと、やっとヘルムが出てきた。


「あたた、昨日の全身強化が後を引いているよ。着替えるのも一苦労だった。」


 肩を回そうとして、途中で止め反対側の手でその肩をもんでいた。

 歩く姿も少しぎこちなかった。





 ギルドの近くの店で一通り必要なものを買い込んだ。

 ヘルムは背中に弓を背負っているので雑嚢に入れられだけの道具を詰めた。

 それでは足りないのでポーチも進めたが、これ以上は重くなりすぎて動けないと断られた。

 思っていたより、彼は筋力が無いようだった。

 だが、これから全身強化の訓練で嫌でも筋力がつくだろう。

 昨夜全身強化をするにあたってヘルムはスタンスを広げ、メイスを両手で持ち、肩から腰へ体を捩じるように振るっていた。なぜそのような振り方をしているのか聞いたが、彼は分からないと答えた。ただ、妙に馴染んだそうだ。

 始めて武器屋に行った時、メイスの形に引かれて購入したそうだ。

 それが、関係してるのかもと言っていた。



 ギルドのついて二人で受付に向かう。


「すいません。パーティーの登録お願いします。」


 自分のとヘルムから預かった認識票(IDタグ)を渡す。


「はい、かしこまりました。――はい、登録できたした。申し訳ございませんが、お連れの『迷い人』の方のお名前がございませんがどうなさいますか?」


「あっ、ヘルムでよろしくお願いします。」


 手を挙げながらヘルムが言う。


「かしこまりました。――今現在、ジェーン様の依頼が後一つ残っていますね。こちらの依頼をお二人でお受けなさいますか?」


「はい、お願いします。」


 残りの依頼は薬草採取だ。

 二人で受けることで貢献度は2ポイントとなりお得だ。

 それに、ヘルムにとっては初めての依頼だ。これぐらいがちょうどいいだろう。


「かしこまりました。では、よろしくお願いします。――それと、ジェーン様。」


 認識票(IDタグ)を返されながら名前を呼ばれた。

 何事かと思い受付の方を見る。


「決して無理はしないようにお願いします。」


 と笑顔で威圧された。

 どうやら、認識票(IDタグ)にこの前の事件について記載されたようだ。

 まさか、ここでも釘を刺されるとは思わなかった。

 何度も頭を下げその場をそそくさと後にした。


「何なのあれ?」


 ヘルムが不思議そうに尋ねてきたが適当に誤魔化しておいた。





 盾を借りた後、森へと向かった。

 盾はお互い小盾を選んだ。ヘルムは荷物が増えたことにげんなりしていた。

 しかし、念のため防御力は上げておいた方がいい。青の森の敵なら、盾があればたいていの攻撃は防げるのであった方が安心だ。

 森へ向かう道でヘルムの息が上がっていた。

 森がこんなに遠いと思っていなかったようだ。

 毎日こんな距離を歩くのかとため息をついていた。


「ここからは青の森だよ。今日はここで薬草を採取するから、さっきギルドで見た図鑑と同じ植物を選んでね。ちゃんと根を掘り出して取ってね。」


 森に行く前にギルドに置いてある。植物図鑑を読んできた。自分では何を取るか知っていたが、ヘルムは初めてなのでしっかり読んでいくことにした。図鑑には植物の種類や形、効果など事細かに書いてあった。採取の仕方も丁寧に書かれてあった。それ以外にも、ゴブリンや、ウルフについての魔物図鑑も読ませておいた。図鑑には魔物の容姿が描かれているので、出くわした時驚いてしまわないように、対処できるようにするためだ。青の森にはあまり魔物が出ないので、その心配は少ないが念には念を入れておいた。


「了解であります。」


 ヘルムは背筋を伸ばし、手を額に水平に構えた。

 どういった意味があるか分からなかったが、返事がよかったので良しとする。


 あまりお互いの距離を放さず、薬草を探す。

 薬草の採取はあまり難しくない。子供でもできる仕事だ。実際子供を森にはいかせないのだが、それぐらい簡単なのだ。選ぶ植物はかなり特徴があり、そこかしこに生えている。少し、草を避けて探すとあっという間に見つけられる。初心者にはちょうどいい依頼だ。


 ものの数分で二十束集めることだできた。

 それを背嚢に入っていた袋に詰めて腰のベルトに挟んである。少し一息ついて腰を上げた。

 ちょうどいいので、ヘルムの様子を見に行く。



「どれぐらいとれた?」


「十一束ぐらいかな、なかなか難しいよ。多分だけどこういった仕事を私はしたことないんじゃないかな。」


 ヘルムは腰を上げて頭をかくジェスチャーをしながら申し訳なさそうに答えた。

『迷い人』の世界はこの世界より進んでることが多く、このような作業をしたことがないと聞いたことがあったので、あまり期待はしていなかった。

 しかし、思いの他かんばったのだろう。想定より多く取っていた。


「いや、上々だよ。この依頼は特に数が決まっていないんだ。、いつもは五十束ぐらい一人で取っているんだけど、この調子なら昼過ぎまでには百はいけるかも。」


「それはよかったよ。ただ、かなり腰にくる作業だね。」


 腰をたたきながら、ヘルムはまた採取に戻った。

 それを見送り、自分も近場で採取を再開した。


 その後もお互い黙々と薬草を採取し続けた。


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