第九十九話 正体
追い詰められたシエルとシア。
しかし二人には、まだ隠していた力がありました。
膨大な魔力が溢れ出す。
大地が震える
空気が揺らぐ
黒幕ですら動きを止めた
「ほう……?」
興味深そうな声。
だがシエルとシアは答えない。
ただ静かに前へ出る。
「本当に驚かないでくださいっすよ?」
シアが苦笑する。
「だから無理だって」
ユウトが即答した。
「何が起きるんだ…」
レオンは傷だらけの体を起こして二人を見つめる。
その瞬間だった
◇
ゴォォォォォォォッ!!
◇
魔力が空へ噴き上がる
シエルの銀髪が揺れる
シアの黒髪が舞う
そして眩い光が二人を包み込んだ。
「なっ……!?」
レオンが目を見開く。
光は膨張し。
巨大になり。
やがて形を成していく。
まず現れたのは
◇
純白の翼
月光を反射する銀色の鱗
神々しいほど美しい巨体
白銀龍
◇
その姿が夜空へ現れた。
「えっ」
レオンの口から漏れたのは。
それだけだった。
だが終わらない。
もう一つの光が膨れ上がる。
◇
漆黒の翼
黒曜石のような鱗
圧倒的な存在感
黒龍
巨大な竜が大地へ降り立った。
◇
「えっ?」
レオンが固まる。
思考が追いつかない。
◇
白銀龍。
黒龍。
◇
どちらも伝承級の存在。
それが目の前にいる。
しかもさっきまで一緒にいた。
「えっ??」
混乱が加速する。
ユウトはそんなレオンを見ていた。
「レオン壊れたな」
「壊れたっすね」
黒龍の姿のままシアが頷く。
黒幕は二体の竜を見上げる。
そして初めてだった。
彼の笑みが消えたのは。
「なるほど」
低い声。
震えている。
恐怖ではない。
歓喜だ。
「素晴らしい!!」
その瞳が輝く。
「やはり君達も――」
黒幕の言葉を遮るように。
白銀龍が翼を広げた。
夜空を覆うほどの巨大な翼。
圧倒的な威圧感。
そしてシエルの声が響く。
『これ以上好きにはさせないわ』
その瞬間戦場の空気が変わった。
第九十九話をお読みいただきありがとうございました!
ついに明かされたシエルとシアの正体。
白銀龍と黒龍。
伝承に語られる存在が、ユウト達の仲間として戦場に立ちました。
そして黒幕もまた、その存在に強い興味を抱いたようです。
次回、伝説同士の激突が始まります。
それではまた次回!




