第九十七話 圧倒的な力
研究所の外へ移った戦場。
しかし黒幕の力はなお増大を続け、戦いはさらに激しさを増していきます。
黒幕の視線がユウトを捉える。
次の瞬間地面が爆発した。
◇
ドォォォォォン!!
◇
「っ!?」
ユウトが後方へ飛ぶ。
だが黒幕の速度はさらに上だった。
振り下ろされる爪
死角から迫る一撃
しかし
◇
ガキィィィィン!!
◇
白銀の剣が割り込んだ。
「シエル!」
「よそ見しないで」
シエルが黒幕を押し返す。
同時に
「そっちばかり見てると危ないっすよ!」
シアの拳が横から突き刺さる。
◇
ドゴォォッ!!
◇
黒幕の身体が吹き飛んだ。
だが地面を削りながら停止した男は笑っていた。
「素晴らしい!本当に素晴らしい!」
その笑みが気持ち悪い。
「まだ言うかよ」
ユウトが顔をしかめる。
「変態だからな」
「研究者です」
即答だった。
「戦闘中に訂正するなっす」
シアが呆れる。
だが次の瞬間黒幕の翼が大きく広がった。
黒い霧が周囲へ溢れる。
◇
空気が重い
息苦しい
まるで空間そのものが汚染されていくようだった。
◇
「シエル!」
「分かってる!」
二人が同時に飛び出す。
剣と拳。
完璧な連携。
だが黒幕の腕が一本増えた。
「は?またこれかよ」
ユウトが固まる。
背中から生えた黒い腕。
さらにもう一本。
さらにもう一本。
異形。
その言葉が似合いすぎる。
「どこまで変形するんだ……」
レオンが呟く。
増えた腕がシエルの剣を弾く。
シアの拳を受け止める。
そして。
◇
ドォォォォォン!!
◇
二人が同時に吹き飛ばされた。
「シエル!シア!」
ユウトが叫ぶ。
だが二人はすぐに立ち上がった。
傷だらけだった。
それでも戦意は消えていない。
「面倒な相手ね」
シエルが息を吐く。
「認めたくないっすけど強いっす」
シアも笑みを消していた。
そして黒幕はゆっくりと空へ浮かび上がる。
夜空を背に異形の影が月を覆った。
「まだ足りません」
その声に全員の背筋が凍る。
「まだ……だと?」
レオンが呟く。
黒幕は笑う。
「ええ」
「私はまだ完成していない」
その言葉が嫌な未来を予感させた。
第九十七話をお読みいただきありがとうございました!
シエルとシアの連携をもってしても、黒幕を止めることはできませんでした。
むしろ彼は戦いの最中ですら変異を続けています。
そして本人はまだ完成していないと言い切りました。
次回、戦況はさらに悪化していきます。
それではまた次回!




