第九十五話 制御不能
終焉因子を追加投与した黒幕。
その力は研究所そのものを巻き込みながら暴走を始めます。
「まだです!まだ足りない!」
黒幕の叫びが研究所に響く。
その瞬間だった。
◇
ゴゴゴゴゴゴゴ……
◇
大地が震える。
いや、震えているのは研究所そのものだった。
「なっ!?」
レオンが周囲を見回す。
天井から砂埃が落ちてくる。
壁に亀裂が走る。
床が悲鳴を上げる。
「おいおい…これってまさか」
ユウトが嫌な予感を覚える。
「研究所壊れそうなんだけど」
「壊れそうじゃないっす」
シアが即答する。
「壊れてるっす」
その直後
◇
ドガァァァァン!!
◇
天井の一部が崩落した。
「ほら!」
「ほら!じゃない!」
全員が思った。
今そんな会話をしている場合ではないと。
だが黒幕だけは違った。
「素晴らしい……」
崩落する瓦礫の中男は恍惚とした表情を浮かべていた。
「力が溢れてくる……最高だ……」
完全に危ない人だった。
「薬打って完全にヤバい奴になったな」
ユウトが即座に突っ込む。
レオンも珍しく頷いていた。
「同意する」
その時黒幕の背中の翼がさらに巨大化する。
黒い霧が周囲へ溢れ出す。
研究所の壁が耐え切れない。
次々と崩れていく。
「チッ」
シエルが舌打ちする。
珍しい。
それだけ状況が悪いのだ。
「このままでは埋まるわ」
「でも逃がす訳にもいかないっす」
シアが拳を握る。
その時だった。
老人が叫ぶ。
「外へ誘導せい!」
全員が振り返る。
「このまま戦えば全員生き埋めじゃ!」
その言葉にユウトが頷いた。
「だな」
そして黒幕へ視線を向ける。
「おい変態!」
男がゆっくり顔を上げる。
「……?」
「そんな立派な羽も飛べなきゃただの飾りだな!」
一瞬の沈黙。
そして黒幕は笑った。
「飾り?いいでしょう。この人にはない飛翔能力をとくとご覧なさい」
その瞬間巨大な翼が広がる。
◇
轟音。
暴風。
次の瞬間。
◇
ドォォォォォォン!!
◇
黒幕の身体が天井を突き破った。
研究所全体が激しく揺れる。
夜空が見えた。
「……」
ユウトが上を見る。
◇
「普通こんな単純な挑発に乗るか?」
「あーしでも乗らないっすね」
シアが頷く。
「とにかく追うわよ!」
シエルが駆け出した。
ユウト達も後を追う。
戦いの舞台は研究所の外へと移っていく。
第九十五話をお読みいただきありがとうございました!
終焉因子による変異は、ついに研究所そのものを崩壊へと導き始めました。
そして戦いの舞台は研究所の外へ。
黒幕の力はまだ底を見せておらず、ユウト達も本当の意味で追い詰められていきます。
次回、新たな戦場で戦いはさらに激化します。
それではまた次回!




