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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第九十三話 本気

 研究所最深部で始まった黒幕との戦い。


 終焉因子によって変貌した研究者を前に、ユウト達はそれぞれの力をぶつけます。

 凄まじい衝撃が研究所を揺らした。



 シエルの剣。


 シアの拳。


 黒幕の異形の腕。



 三つの力が激突する。



 ドォォォォォォン!!



 床が砕けた。


 壁が軋む。


 衝撃波だけで周囲の瓦礫が吹き飛ぶ。


「はぁっ!」


 シエルが鋭く踏み込む。


 白銀の軌跡。


 剣閃が黒幕の腕を切り裂いた。


 鮮血が舞う。


「ほう」


 黒幕が感心したように呟く。


「その年齢でその技量ですか」


「褒められても嬉しくないわ」


 シエルは表情を変えない。


 その横から。


「さすが瞬天っすね!」


「こんな時に…集中しなさい!」


シアの言葉の方が表情に変化が起きた


「問題ないっす!隙ありっす!」


 シアが飛び込む。


 黒い拳。



 ドゴォォッ!!



 黒幕の腹部へ直撃。


 異形の身体が吹き飛んだ。


「よし!」


 ユウトが思わず声を上げる。


 だが次の瞬間黒い霧が傷口へ集まる。



 裂けた肉


 砕けた骨


 全てが再生していく



「本当に面倒だな」


 レオンが顔をしかめる。


 黒幕は再び立ち上がる。


 そして笑った。


「素晴らしい!やはり君達も普通ではありませんね」


 その言葉にシエルとシアの表情が僅かに変わった。


 黒幕は見逃さない。


「特に君達二人は」


 視線が向けられる。


 シエル


 シア


「非常に興味深い」


 嫌な予感がした。


 ユウトは眉をひそめる。


 黒幕の目だ。


 あの目は研究対象を見つけた時の目だ。


「お断りっす」


 シアが即答した。


「研究される趣味はないっす」


「同感ね」


 シエルも剣を構える。


 黒幕は肩をすくめた。


「残念です」


 そう言った瞬間男の姿が消えた。


「シエル!」


 ユウトが叫ぶ。


 だが遅い。


 黒幕はすでにシエルの背後。


 鋭い爪が振り下ろされる。


 しかし



 ガキィィィィン!!



 金属音


 シアの拳が爪を受け止めていた。


「女の子の顔に傷を付けるのは駄目っすよ」


 笑うシア。


 だがその足元の床は大きく陥没していた。



 重い。


 想像以上に。



「チッ」


 初めて黒幕が舌打ちした。


 その瞬間シエルの剣が閃く。



 斬撃。


 追撃。


 さらに追撃。



 黒幕の身体へ次々と傷が刻まれる。


「へぇ」


 黒幕が後方へ飛ぶ。


 その顔から笑みが消えていた。


「ここまでとは」


 シエルが剣を構える。


 シアが拳を鳴らす。


 二人とも余裕はない。


 だが押している。


 確実に


 黒幕は静かに二人を見つめた。


 そしてゆっくりと懐へ手を伸ばす。


「やはり」


 嫌な予感しかしない。


「実験を次の段階に進めましょう」


 黒い液体が入った注射器。


 ユウトの顔色が変わった。


「おい待て」


 黒幕は笑う。


「研究とは常に挑戦ですから」


 そして躊躇なく自らの首へ注射器を突き刺した。

 第九十三話をお読みいただきありがとうございました!


 シエルとシアの連携によって押され始めた黒幕。


 しかし彼はまだ諦めていないようです。


 研究者としての狂気が、さらなる変化を引き起こそうとしています。


 次回、実験は新たな段階へ――。


 それではまた次回!

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