第九十一話 第二実験
ついに始まった第二実験。
研究所の黒幕が長年追い求めてきたものとは、いったい何なのでしょうか。
男の周囲から黒い霧が溢れ出す。
まるで生き物のように蠢く霧。
研究所の空気が重くなる。
「おいおい……」
ユウトが顔をしかめた。
見覚えがある。
◇
No.1。
オーガ。
被験体達。
◇
全ての元凶だった力。
「終焉因子か」
レオンが剣を構える。
男は満足そうに頷いた。
「その通り。私の研究成果です」
「自分で使うのか?」
ユウトが呆れたように言う。
「もちろん」
男は即答した。
「誰よりも終焉因子を理解しているのは私です」
「なら誰よりも適合するのも私でしょう」
シアが露骨に嫌そうな顔をした。
「理屈がめちゃくちゃっす」
「同感ね」
シエルも頷く。
男は気にしない。
黒い霧がさらに濃くなる。
「私はずっと探していました」
男の視線がユウトへ向く。
「理想の器を」
その言葉にユウトの背筋が冷える。
「だが見つからなかった!No.1も失敗!他の被験体も失敗!全て失敗作でした!」
拳を握る。
まただ。
こいつは人をモノでしか見ていない。
「ですが」
男が笑う。
「君は違う」
黒い霧が身体へ吸い込まれていく。
「欲しい!その私の研究を体現したような存在が」
腕が膨張する。
筋肉が隆起する。
皮膚の下から黒い鱗が浮かび上がった。
「うわぁ……」
ユウトが本音を漏らす。
「気持ち悪っ」
「主!」
シアが慌てる。
「本人の前っす!」
「いや聞こえるように言ったんだよ」
男の額に青筋が浮かんだ。
初めてだった。
感情が見えたのは。
「残念ですよ」
男の声が低くなる。
「理解してもらえると思ったのですが」
「理解できる要素がどこにもないんだが」
ユウトが即答する。
「No.1の人生聞いた後だぞ」
空気が変わる。
男の笑みが消えた。
「人生?」
冷たい声。
「被験体にそんなものはありません」
その瞬間レオンが地面を蹴った。
「貴様ァァァ!!」
◇
斬撃。
◇
鋭い一閃が男を捉える。
だが
◇
ガキィィン!!
◇
硬い音。
剣は黒い鱗に阻まれた。
「なっ!?」
レオンが目を見開く。
男はゆっくりと笑った。
「では」
黒い霧が爆発する。
「第二実験を始めましょう」
その身体がさらに異形へと変わり始めた。
第九十一話をお読みいただきありがとうございました!
研究所の黒幕が動き出しました。
彼にとって被験体達は人ではなく、あくまで研究成果の一部でしかありません。
だからこそユウト達とは決して相容れないのでしょう。
次回、第二実験がその姿を現します。
それではまた次回!




