第九話 王の帰還
第九話です!
地下遺跡の奥で、終焉竜に関する秘密が少しずつ明らかになります。
ゴゴゴゴゴ……。
重々しい音を響かせながら、巨大な扉がゆっくり開いていく。
暗闇の奥。
そこから溢れ出してきたのは、凄まじい魔力だった。
「っ……!」
ユウトは思わず息を呑む。
空気が重い。
立っているだけで、本能が警鐘を鳴らしていた。
――近づくな。
――危険だ。
なのに。
胸の奥では別の感覚もあった。
――懐かしい。
「……なんだこれ」
自分でも意味が分からなかった。
すると隣で、銀髪の少女が小さく呟く。
「……ありえない」
初めてだった。
彼女がここまで動揺しているのは。
金色の瞳が、開いた扉の奥を見つめている。
その声は、わずかに震えていた。
「お、おい……?」
ユウトが声をかける。
だが少女は答えない。
ただ呆然と、奥を見つめていた。
そして。
暗闇の奥で、赤い光が灯る。
一つ。
また一つ。
さらに一つ。
「……目?」
違う。
それは巨大な水晶だった。
神殿の奥には、無数の赤い結晶柱が並んでいた。
まるで墓標みたいに。
その中心。
最奥部にあった“玉座”へ、ユウトの視線が吸い寄せられる。
「……っ」
巨大だった。
山みたいに大きな黒い竜の石像が、玉座に座していた。
翼を畳み。
静かに目を閉じている。
だが次の瞬間。
ゴォォォォォ……。
石像の瞳に、赤い光が宿った。
「うわっ!?」
ユウトは思わず後ずさる。
その瞬間。
地下神殿全体へ、重々しい声が響いた。
《終焉竜王の帰還を確認》
「……は?」
ユウトは固まった。
少女も目を見開いている。
《継承者個体を認証》
《第一封印領域を解放します》
直後。
ズゥゥゥゥン……。
神殿中のゴーレムたちが、一斉に膝をついた。
黒竜も静かに頭を下げる。
まるで。
王へ忠誠を示すように。
「いやいやいや待て待て待て」
ユウトは慌てて周囲を見る。
「絶対なんか勘違いしてるだろこれ!?」
すると。
銀髪の少女が、ゆっくりユウトを見る。
その表情には、初めてはっきりとした感情が浮かんでいた。
困惑。
警戒。
そして少しの――畏れ。
「……本当に、何者なの」
「だから俺も知りたいって!!」
ユウトは半泣きだった。
だが遺跡は、そんな事情など一切考慮してくれない。
神殿中央の黒い結晶が、さらに強く輝き始める。
すると。
ユウトの身体から、黒い魔力が溢れ出した。
「うおっ!?」
止まらない。
魔力が勝手に反応している。
その瞬間。
玉座の巨大石像が、ゆっくり口を開いた。
《資格を確認》
《幼体状態を確認》
《保護対象として認識します》
「幼体って言った!?」
ユウトは思わず叫んだ。
その横で。
少女が、小さく目を見開く。
「……幼体?」
やばい。
なんか恥ずかしい。
急に“子供判定”された気分だった。
「いやまあ確かにまだ弱いけど!?」
すると石像は続ける。
《成長支援機構を起動します》
次の瞬間。
神殿の床に、巨大な魔法陣が浮かび上がった。
「……え?」
ユウトの身体が、ふわりと浮く。
「うわっ!?」
「待っ――!」
少女が手を伸ばす。
だが遅い。
黒い光がユウトを包み込んだ。
直後。
頭の中へ、大量の情報が流れ込んでくる。
竜語。
魔力制御。
飛行感覚。
捕食。
人化。
「がっ……!?」
頭が割れそうだった。
ユウトは苦しそうに呻く。
すると。
少女が、初めて焦った顔をした。
「ちょっと、無理に流し込みすぎ――!」
その時。
ユウトの身体から、黒い魔力が爆発した。
ゴォォォォォォッ!!
「うわぁぁぁ!?」
制御できない。
力が暴れている。
神殿全体が震える。
すると石像が静かに告げた。
《人化適性を確認》
《第一段階解放を開始します》
「……え?」
その瞬間。
ユウトの身体が、眩い光に包まれた。
ユウト、ついに人化への第一歩です。
でも本人は状況についていけてません。
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