第八話 本物の竜の戦い方
第八話です!
地下遺跡での戦闘回です。
銀髪の少女が、一歩前へ出る。
その瞬間。
空気が変わった。
ゴォォォォ……。
白銀の魔力が少女の周囲を渦巻く。
神殿内の空気が震え、床の紋様が淡く発光した。
「……すげぇ」
ユウトは思わず息を呑む。
黒竜とも違う。
もっと鋭く、洗練された魔力だった。
まるで刃みたいな圧力。
対する竜型ゴーレムたちは、一斉に赤い瞳を光らせる。
《侵入個体排除を開始》
「うわっ、来る!!」
次の瞬間。
先頭のゴーレムが地面を砕きながら突進した。
速い。
巨大な図体とは思えない速度だった。
だが。
少女は動かない。
ただ静かに剣を構える。
「え、避けな――」
ヒュン。
「……え?」
一瞬だった。
白銀の線が空間を走る。
次の瞬間。
ズドォン!!
突進していたゴーレムの上半身が、綺麗に滑り落ちた。
「は?」
ユウトは固まった。
何が起きたのか見えなかった。
少女は静かに剣を払う。
その動作だけで、圧倒的な実力差が分かる。
「……かっこよ」
思わず口から漏れた。
少女は少しだけこちらを見る。
「これが高位竜種の戦い方」
「いやレベル差エグいって!!」
その間にも、他のゴーレムたちが動き出す。
三体同時。
左右と正面から包囲。
ユウトなら泣いて逃げる状況だった。
だが少女は冷静だった。
「遅い」
白銀の魔力が爆発する。
ドォォン!!
衝撃波。
次の瞬間には、ゴーレムの腕が宙を舞っていた。
「うわぁ……」
強い。
めちゃくちゃ強い。
しかも動きが綺麗だった。
黒竜が“暴力”なら、この少女は“技術”。
同じドラゴンでも全然違う。
その時だった。
一体のゴーレムが、ユウトへ視線を向けた。
赤い瞳が光る。
「……え?」
次の瞬間。
ゴーレムがユウトへ突っ込んできた。
「うわぁぁぁ!?」
速い。
デカい。
怖い。
ユウトは咄嗟に火球を吐いた。
「いけぇぇぇ!!」
ボォッ!!
火球がゴーレムへ直撃する。
爆発。
「おっ!?」
少し効いた。
ほんの少しだけ。
だが。
ゴーレムは止まらない。
「ですよねぇぇぇ!!」
ユウトは全力で逃げた。
ズシン!!
ズシン!!
「待て待て待て待て!!」
巨大な爪が迫る。
怖い。
というか痛い。
ユウトは涙目で走り回る。
その時。
「伏せて」
「え?」
直後。
ヒュォン――。
白銀の光がユウトの頭上を通り抜けた。
ズドォォォォン!!
背後のゴーレムが真っ二つになる。
「うおっ!?」
ユウトはそのまま前につんのめった。
ズベシャァ!!
「痛ぇ!!」
盛大に転んだ。
少女が無言でこちらを見る。
「……あなた、本当に終焉竜?」
「最近それしか言われてねぇ!!」
すると。
少女の肩が、ほんの少しだけ揺れた。
「……ふっ」
「今笑っただろ!?」
「笑ってない」
「絶対笑ったって!!」
その時。
残っていたゴーレムたちが、一斉に魔力を収束し始めた。
赤い光が集まる。
「……あれヤバくない?」
「ヤバい」
「即答!?」
少女は剣を構える。
だが、その表情は少し険しかった。
「数が多い……」
初めてだった。
この少女が、“厳しい”と感じている。
ユウトは周囲を見る。
ゴーレムはまだ大量にいる。
このままじゃ押し切られる。
「……なんか、できねぇかな」
弱い。
それは分かってる。
でも。
ただ守られてるだけは、なんか嫌だった。
その時。
ユウトの視界に、遺跡中央の黒い結晶が映る。
まだ魔力を放っている。
そして何故か。
そこへ意識を向けた瞬間、身体の奥が熱くなった。
「……え?」
ドクン。
胸の奥で何かが脈打つ。
黒い魔力が、ユウトの身体から漏れ始めた。
少女の瞳が大きく見開かれる。
「……終焉竜の魔力?」
次の瞬間。
遺跡全体が激しく振動した。
《終焉因子活性化》
《継承権限の一部を解放します》
「えっ、ちょっ――」
ゴォォォォォォォ!!
黒い魔力が神殿全体へ広がる。
そして。
ゴーレムたちが、一斉に動きを止めた。
「……え?」
ユウトが目を丸くする。
次の瞬間。
全てのゴーレムが、ユウトへ向かって膝をついた。
ズゥゥン……。
重々しい音が神殿へ響く。
完全に臣下の動きだった。
「……は?」
ユウトはぽかんと口を開ける。
少女も珍しく固まっていた。
数秒後。
彼女はゆっくりユウトを見る。
「……あなた、本当に何者なの?」
「いや俺も知りたい」
その瞬間。
神殿奥から、再び低い振動音が響いた。
ゴゴゴゴゴ……。
そして。
今まで閉ざされていた巨大な扉が、ゆっくり開き始める。
暗闇の奥から現れた“それ”を見た瞬間。
銀髪の少女が、初めて表情を失った。
「……ありえない」
ユウト、ちょっとだけ終焉竜っぽくなってきました。
でもまだ普通に転びます。
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