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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第八十九話 研究者

 百年の苦しみから解放された被験体No.1。


 しかし研究所の奥には、その悲劇を生み出した張本人が待ち受けていました。

 ユウトの背筋に寒気が走った。


 通路の奥。


 一人の男が立っていた。



 黒いローブ。


 細身の体格。


 年齢は三十代半ばほどだろうか。


 整った顔立ち。


 だがその瞳には人の温度が感じられなかった。



「初めまして」


 男は穏やかに笑う。


「いや、初めましてではないかな」


 その言葉にレオンが眉をひそめる。


「何者だ」


 男は答えない。


 代わりに。


 ユウトを見た。


 まるで珍しい標本でも見るように。


「興味深い」


 その一言でユウトはこいつが嫌いだと思った。


「お前が黒幕か?」


 ユウトが睨む。


 男は肩をすくめた。


「黒幕とは心外だな」


「私は研究者だ」


 その言葉に老人の顔色が変わった。


「まさか……」


 震える声。


「お前は……」


 男は小さく笑う。


「覚えていてくれましたか。光栄ですよ」


 その笑みが気味悪い。


「儂はお前が死んだと聞いておった」


「ええ」


 男は平然と頷く。


「そういう事になっています」


 全員が警戒を強める。


 だが男は気にしない。


 むしろ楽しんでいるようだった。


「しかし驚きました」


 男の視線がユウトへ向く。


「被験体No.1を浄化するとは」


 レオンの目が細くなる。


「浄化だと?」


「そう」


 男は笑う。


「百年間解決できなかった問題を君は数分で解決してしまった」


 その目が細められる。


「素晴らしい」


 鳥肌が立った。


 褒められているはずなのに全く嬉しくない。


 むしろ危険だと本能が告げていた。


「お前……」


 ユウトが拳を握る。


「No.1を知っていたんだな」


 男は頷く。


「もちろん」


 あっさりと


 何の感情もなく。


「私が作ったのだから」


 空気が凍った。



 老人の拳が震える。


 レオンの目が見開かれる。


 シエルの表情が険しくなる。


 シアから笑顔が消える。



「貴様……」


 レオンが低く唸る。


 だが男は気にも留めない。


「結局失敗でしたがね」


 その一言だった。


 ユウトの中で何かが切れた。


「失敗……だと?」


 静かな声。


 だが怒りは隠せない。


 男は不思議そうに首を傾げた。


「違いますか?結果的に村は滅びました」


「研究も失敗」


「被験体も失敗」


「実に非効率でした」


 ユウトの拳が震える。


 No.1の涙が脳裏をよぎった。


 妹の笑顔。


 家族の写真。


 最後のありがとう。


 全部。


 全部こいつのせいだ。


「そうか」


 ユウトは一歩前へ出る。


「なら」


 笑顔だった。


 だが誰もそれを笑顔だとは思わなかった。


 その瞬間



ドゴォォォォォン



黒ローブの男が奥の壁に吹っ飛んでいた


「ちょっと殴ってもいいか?」


 壁にたたきつけられたはずの男はそれでも笑みを浮かべていた。

 第八十九話をお読みいただきありがとうございました!


 ついに姿を現した研究所の黒幕。


 No.1の悲劇を知った後だからこそ、彼の言葉は許しがたいものだったのではないでしょうか。


 そしてユウトの拳も、ついに我慢の限界を迎えたようです。


 それではまた次回!

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