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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第八十八話 託された想い

 百年以上苦しみ続けた被験体No.1。


 その長い苦しみに終止符が打たれ、研究所には静かな時間が流れていました。

 研究所には静寂だけが残っていた。


 誰も言葉を発しない。


 百年以上苦しみ続けた青年。


 その最後を見届けたばかりだった。



「……」


 ユウトはNo.1が消えた場所を見つめる。


 だがその時だった。



 カラン……



 小さな音が響く。


「ん?」


 ユウトが視線を落とす。


 そこには一つのペンダントが落ちていた。


 古びている。


 だが大切にされていたことは分かった。


「これは……」


 ユウトが拾い上げる。


 ペンダントの中には小さな絵が入っていた。



 青年。


 少女。


 そして夫婦らしき二人。


 笑顔の家族。



「妹か」


 ユウトが小さく呟く。


 記憶で見た少女だった。


「ずっと持っていたのか……」


 百年間怪物になっても。


 理性を失っても。


 手放せなかったのだろう。


 シエルも静かに目を伏せる。


「大切な家族だったのね」


 その時だった。


 老人がゆっくりと前へ出る。


「それを見せてみい」


 ユウトはペンダントを渡した。


 老人の目が見開かれる。


「まさか……」


 震える声。


「知ってるんですか?」


 レオンが尋ねる。


 老人は静かに頷いた。


「覚えておる」


 苦しそうな表情。


「儂が若い頃の話じゃ」


 全員が耳を傾ける。


「彼は村でも有名な好青年じゃった」


「誰にでも優しくての」


「困った者がおれば真っ先に助けに行く」


 老人が遠くを見る。


「だから皆が反対した」


「研究所へ行くなと」



 重い沈黙。



「じゃが彼は言った」


『これで皆を守れるなら』


 ユウトの脳裏に記憶の光景が浮かぶ。


 老人は拳を握った。


「結果はあの通りじゃ」


 悔しそうな声だった。


「誰も救われんかった」


 その時補佐機構が反応する。



《反応を検知》



 全員の表情が変わる。


「また被験体か?」


 レオンが剣へ手を伸ばす。


 しかし



《終焉因子反応》


《高濃度反応》


《発生源を特定》



 ユウトの顔が険しくなる。


 嫌な予感がした。


 補佐機構は静かに告げる。



《研究所最深部》


《対象接近中》



 その瞬間、研究所全体が震えた。



 ゴゴゴゴゴ……



 空気が変わる。


 まるで何かが目覚めたように。


「おい……」


 ユウトが呟く。


「今度はなんだよ……」


 だがその答えはすぐに返ってきた。


 通路の奥からゆっくりと拍手が響く。



 パチ……


 パチ……


 パチ……



「見事だ」


 聞いたことのない男の声だった。


「まさか被験体No.1を処分してくれるとは」


 その声には驚きと興味が混じっていた。


「ますます欲しくなったよ」


 男は笑う。


「君という存在が」


 ユウトの背筋に寒気が走った。

 第八十八話をお読みいただきありがとうございました!


 No.1が残した想いと家族の記憶。


 しかし、感傷に浸る時間は長くは続きません。


 研究所最深部から現れた新たな存在。


 そして彼は、No.1をただの「被験体」としか見ていないようです。


 それではまた次回!

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