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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第八十七話 ありがとう

 百年前の悲劇。


 終焉因子によって全てを失った青年。


 そして今、長い苦しみに終止符を打つ時が訪れます。

 「もう大丈夫だ」


 ユウトは静かに呟いた。


 目の前ではNo.1が苦しみ続けている。



 黒い霧


 暴走する終焉因子


 絶望


 百年以上たった一人で抱え続けてきた苦しみ。



「グアァァァァァ!!」


 No.1が咆哮する。


 だがユウトは止まらない。


 一歩


 また一歩暴走するNo.1へ近付いていく。



「ユウト!」


 シエルの声。


「危険っす!」


 シアの声。


 それでもユウトは振り返らなかった。


 そしてNo.1の胸へ手を当てる。



《純粋な終焉因子を供給》


 補佐機構の声



 淡い光が広がった。


「グァ……?」


 No.1の動きが止まる。


 黒い霧が揺らぐ。


 赤い瞳が震える。


 そして少しずつ灰色の皮膚が崩れ始めた。



「なっ……」


 レオンが息を呑む。


 怪物の身体が消えていく。


 まるで長い夢から覚めるように。


「……あ……」


 声が漏れた。


 その顔はユウトが記憶の中で見た青年だった。


 もう怪物ではない。


 一人の人間だった。


 青年は涙を流していた。


「俺は……」


 震える声。


「まだ……生きて……」


「いや」


 ユウトは静かに首を振る。


「もう終わるよ」


 青年は目を閉じた。


 そして小さく笑った。


 百年間。


 初めて見せた穏やかな笑顔だった。


「そうか……」


 涙が零れる。


「やっと……」


 震える手がユウトの腕を掴む。


「終われるのか……」


 ユウトは何も言わない。


 ただ頷いた。


 青年は空を見上げる。


 そこに天井しかないはずなのに。


 何かが見えているようだった。


「皆……」


 優しい声。


「待たせたな……」


 その時ユウトには見えた気がした。


 幼い妹の笑顔を。


 平和だった村の景色を。


 青年はゆっくりと目を閉じる。


 そして最後にユウトへ視線を向けた。



「ありがとう」



 それだけだった。


 次の瞬間、青年の身体が光の粒となって消えていく。



 苦しみも


 罪悪感も


 百年の呪縛も


 全てを置いて


 静かに


 穏やかに


 消えていった。



 誰も何も言えなかった。


 ただ老人だけが目を閉じる。


「ようやく……」


 震える声。


「ようやく救われたか……」


 研究所には静寂だけが残った。

 第八十七話をお読みいただきありがとうございました!


 No.1との戦いは、最後まで戦いではありませんでした。


 村を守りたかった青年。


 百年以上苦しみ続けた彼は、ようやく救われることになります。


 そして研究所の奥には、まだ全ての元凶が残されています。


 それではまた次回!

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