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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第八十六話 守りたかったもの

 暴走する被験体No.1。


 ユウトが触れたその瞬間、百年前の記憶が流れ込んできました。


 そこにあったのは、一人の青年の願いと悲劇でした。

 「……たす……けて……」


 その言葉と共に。


 再び世界が白く染まった。





 燃えていた。


 村が。


 家が。


 畑が。


 全てが炎に包まれている。



「な……」


 ユウトは言葉を失った。


 そこは先ほど見た平和な村だった。


 だがもう何も残っていない。



 悲鳴。


 泣き声。


 絶望。


 そして村の中心に立つ巨大な怪物。



「No.1……」


 間違いない。


 終焉因子が暴走した青年だった。


「グォォォォォ!!」


 理性などない。


 暴れるたびに建物が崩れる。


 村人達が逃げ惑う。


「やめろ……」


 青年の声が聞こえる。


 だが怪物は止まらない。


「やめてくれ……!」


 泣いている。


 怪物の中で青年だけが泣いていた。


 その時だった。


「兄ちゃん!」


 聞き覚えのある声。


 あの妹だった。


 炎の向こうから駆け寄ってくる。


「来るな!!」


 青年が叫ぶ。


 必死に。


 喉が裂けるほど。


 だが届かない。


 怪物の腕が振るわれる。


 ユウトは目を見開いた。


「やめろっ!!」


 叫ぶ。


 だが記憶は変わらない。


 少女の姿が炎に飲み込まれる。


 青年の絶叫が響いた。


「アァァァァァァァァァァ!!」


 その後も終わらない。


 母親。


 父親。


 村人達。


 守りたかった全てが失われていく。


 そして最後青年は崩れ落ちた。


 燃え尽きた村の中央で。


 一人。


「なんでだ……」


 震える声。


「皆を守りたかっただけなのに……」


 涙が止まらない。


「俺が……」


 一滴。


 また一滴涙が落ちる。


「俺が殺した……」


 その瞬間ユウトの胸が締め付けられた。


 これだ


 百年間No.1を縛り続けたもの。


 苦痛ではない。


 恐怖でもない。


 罪悪感だ。


 守りたかった。


 救いたかった。


 その結果全てを失った。


 そして世界が崩れ始める。



 記憶が終わる。


 最後に見えたのは涙を流し続ける青年の姿だった。


「……助けてくれ」


 消え入りそうな声。


 百年越しの願い。


 それは誰かを救ってほしいではない。


 自分を終わらせてほしいという願いだった。





 気付けば研究所。


 ユウトは拳を強く握り締めていた。


 目の前ではNo.1が今も苦しんでいる。


 百年間たった一人で。


 ずっと。


「もう大丈夫だ」


 ユウトは静かに呟いた。


 そしてNo.1へ向かって歩き出した。

 第八十六話をお読みいただきありがとうございました!


 No.1が背負っていた百年前の悲劇。


 彼は力を求めたのではなく、大切な人達を守ろうとしていただけでした。


 その願いは叶わず、百年以上もの間苦しみ続けることになります。


 次回、ユウトは彼を救うために動き出します。


 それではまた次回!

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