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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第八十四話 救うために

 暴走を続ける被験体No.1。


 その圧倒的な力を前に苦戦するユウト達でしたが、彼の中にはまだ失われていない理性が残されているようで――。

 「終焉因子が暴走しておる……!」


 老人の声が響く。


 黒い霧がNo.1の身体から溢れ出す。


 研究所の壁が軋む。


 床が震える。


 周囲の空気そのものが歪み始めていた。


「まずいっす!」


 シアが飛び退く。


 黒い霧が触れた床が腐食していく。


 見覚えのある光景だった。


「オーガの時と同じか……!」


 ユウトが顔をしかめる。


 だが規模が違う。


 比べ物にならない。


 No.1は苦しそうに頭を抱えていた。


「グアァァァァァ!!」



 叫び。


 咆哮。


 悲鳴。



 その全てが混ざっている。


「シエル!」


 シアが呼びかける


「分かってる!」


 二人が同時に飛び出した。


 シエルの剣が閃く。


 シアの拳が叩き込まれる。


 だがNo.1は倒れない。


 むしろ黒い霧が濃くなっていく。


「駄目っす!」


 シアが叫ぶ。


「止まらない!」


 その時



《終焉因子共鳴率上昇》


 補佐機構の声。


《対象との共鳴が安定化》



 ユウトは眉をひそめた。


(共鳴……)


 またその言葉だ。


 そして何故か分かる。


 No.1が苦しんでいる理由も。


 自分が何をすればいいのかも。


「ユウト?」


 シエルが振り返る。


 ユウトは一歩前へ出た。


「あいつを助ける」


 静かな声だった。


「何?何を言ってるんだ!」


 レオンが目を見開く。


「こいつは敵じゃない」


 ユウトはNo.1を見つめる。


「被害者だ」


 黒い霧の向こうNo.1の瞳から再び涙が零れていた。


「百年以上だぞ……」


 ユウトが呟く。


「百年以上も苦しんできたんだ」


 拳を握る。


「もう終わらせてやらないと駄目だろ」


 誰も何も言わなかった。


 その言葉には不思議な説得力があった。


 No.1が再び咆哮する。


 黒い霧が爆発的に膨れ上がった。


 そしてユウトは走り出した。


「おい!」


 レオンの声が聞こえる。


 だが止まらない。


 No.1へ向かう。


 一直線に。


 補佐機構が静かに告げた。



《純粋な終焉因子の供給を推奨》



 その意味は分からない。


 だが信じるしかなかった。


 ユウトは暴走するNo.1へ手を伸ばした。

 第八十四話をお読みいただきありがとうございました!


 被験体No.1は本当に敵なのでしょうか。


 百年以上苦しみ続けてきた彼の想い。


 そしてユウトが選んだ答えとは――。


 次回、終焉因子の共鳴が真実を映し出します。


 それではまた次回!

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