第八十二話 最初の成功体
研究所の奥で現れた被験体No.1。
最初の成功体と呼ばれた存在は、他の被験体達とは比べ物にならない力を持っていました。
「グォォォォォォォ!!」
No.1の咆哮が研究所を揺らした。
次の瞬間。
◇
ドォン!!
◇
床が砕ける。
巨体とは思えない速度だった。
「来るっ!」
レオンが叫ぶ。
No.1の拳が振り下ろされる。
だが。
◇
ガキィン!!
◇
シエルの剣がそれを受け止めた。
「シエル!」
「問題ないわ」
言葉とは裏腹に床には亀裂が走っていた。
◇
重い。
◇
今まで戦ったどの魔物よりも純粋な力が異常だった。
「なら私も行くっす!」
シアが飛び出す。
拳がNo.1の脇腹へ突き刺さった。
◇
ドゴォッ!!
◇
巨体が吹き飛ぶ。
壁へ激突。
轟音が響いた。
「やったか?」
ユウトが呟く。
「その台詞は駄目よ」
シエルが即座に否定した。
案の定。
瓦礫の中からNo.1が立ち上がる。
「しまったぁ!豪快なフラグ立てちまったー」
ユウトが頭を抱えた。
傷はある。
だが致命傷には程遠い。
「再生してるっすね」
シアの表情が険しくなる。
確かに砕けた肉が蠢いていた。
◇
終焉因子。
◇
その影響なのだろう。
「面倒だな」
レオンも顔をしかめる。
するとNo.1が再びユウトを見る。
◇
赤い瞳。
◇
その中に一瞬だけ迷いのようなものが見えた。
「……オ……」
かすれた声。
だが。
直後。
No.1が頭を抱える。
「グアァァァァァ!!」
絶叫。
苦しんでいる。
「なんだ?」
ユウトが眉をひそめる。
その時だった。
◇
《対象の終焉因子が不安定化》
補佐機構の表示。
《共鳴反応を確認》
◇
ユウトは目を見開く。
共鳴?
誰と?
そんなの決まっている。
◇
目の前のNo.1だった。
◇
No.1は苦しそうにユウトを見つめる。
そして震える手をゆっくりと伸ばした。
まるで何かを求めるように。
その姿にユウトは妙な違和感を覚えた。
こいつは本当に敵なのか?
そんな考えが頭をよぎる。
だが。
次の瞬間。
No.1の身体がさらに膨れ上がった。
「おいおい……またかよ…」
ユウトの頬が引きつる。
嫌な予感しかしない。
そしてその予感は大抵当たるのだった。
第八十二話をお読みいただきありがとうございました!
被験体No.1との戦いが始まりました。
圧倒的な力を持つ最初の成功体。
ですが、その様子はどこか普通の魔物とは違うようです。
終焉因子の共鳴が意味するものとは――。
それではまた次回!




