第七十八話 実験区画
終焉竜研究所の実験区画へ足を踏み入れたユウト達。
そこには、研究者達の狂気の痕跡が今も色濃く残されていました。
「本当の地獄はここから先じゃよ」
老人の言葉と共に。
重厚な扉がゆっくりと開かれた。
◇
ギギギギ……
◇
嫌な音が通路に響く。
その先に広がっていた光景にユウト達は言葉を失った。
「これは……」
レオンが息を呑む。
広い。
あまりにも広かった。
巨大な空間。
無数の檻。
並ぶ実験台。
割れたガラス容器。
そして床には無数の傷跡が残されていた。
「戦闘の跡かしら?」
シエルが呟く。
「じゃろうな」
老人が静かに答える。
「実験体は大人しく死んではくれんかった」
重い言葉だった。
シアが檻を覗き込む。
「うわ……」
その中には今も骨が残されていた。
「百年前の……」
ユウトが顔をしかめる。
見ていて気分の良いものではない。
その時
「こっちだ」
レオンが何かを見つけた。
実験台の上
そこには数冊の日誌が積まれていた。
ユウト達は顔を見合わせる。
「また日誌か」
「嫌な予感しかしないっす」
シアの言葉に誰も反論できなかった。
レオンが一冊を開く。
◇
『研究日誌 第三十一号』
『終焉因子の定着に成功』
『被験体は人間としての機能を維持している』
『研究は順調』
◇
ここまでは良かった。
だが次のページを見た瞬間レオンの表情が険しくなる。
◇
『被験体が職員二名を殺害』
『予想外の結果だった』
『だが興味深い』
◇
沈黙。
◇
「興味深いじゃないだろ……」
ユウトが呟く。
さらにページをめくる。
◇
『被験体は自我を失いつつある』
『言語能力も低下』
『だが終焉因子との適合率は向上』
『我々は正しい』
◇
その文字だけ妙に強く書かれていた。
「おかしくなってるな」
レオンが低く呟く。
「あぁ」
老人も頷いた。
「この辺りからじゃ」
「研究者共が壊れ始めたのは」
その時だった。
補佐機構が反応する。
◇
《警告》
《生命反応を検知》
◇
全員が武器を構える。
研究所の奥。
暗闇の向こう。
何かが動いた。
◇
ギィ……
◇
不自然な音。
人ではない。
だが魔物とも違う。
ゆっくりと何かがこちらへ近付いてきていた。
第七十八話をお読みいただきありがとうございました!
研究日誌も徐々に不穏な内容になってきました。
そして研究所の奥で反応した生命反応。
果たして待ち受けているのは何者なのか。
それではまた次回!




