第七十七話 研究日誌 第十二号
終焉竜研究所の探索を進めるユウト達。
そこで見つけたのは、研究者達が残した新たな記録でした。
そして、その内容は想像以上に異常なもので――。
この研究所にはまだ何かが残っている。
その確信だけが強くなっていた。
「先へ進むぞ」
レオンの声に全員が頷く。
研究室を後にしさらに奥へ進む。
通路は長かった。
途中には無数の部屋が並んでいる。
◇
資料室。
保管庫。
実験室。
◇
どれも百年前の施設とは思えないほど綺麗だった。
「やっぱり誰かいるっすよね?」
シアが不安そうに呟く。
「いても驚かん」
レオンも周囲を警戒している。
その時シエルが立ち止まった。
「これ……」
視線の先。
床に紙が落ちていた。
ユウトが拾い上げる。
「また日誌か」
先ほどのものより新しい。
ページを開く。
◇
『研究日誌 第十二号』
『終焉因子の定着率が向上した』
『被験体三名が死亡』
『だが成果は大きい』
『許容範囲である』
◇
沈黙。
◇
「許容範囲じゃねぇだろ」
ユウトが思わず突っ込んだ。
「同感だ」
レオンも顔をしかめる。
さらにページをめくる。
◇
『終焉因子は生物を変質させる』
『拒絶反応は激しい』
『だが進化の可能性を確認』
『我々は正しい道を進んでいる』
◇
ユウトは嫌な予感しかしなかった。
「進化……か」
老人が小さく呟く。
その声はどこか苦々しい。
「じぃさん?」
「儂も同じことを言われた」
全員の視線が集まる。
「研究者共は希望だと言った」
「人類の未来だともな」
老人は自嘲気味に笑った。
「結果は見ての通りじゃ」
百年以上生きる失敗作。
誰も言葉を返せなかった。
その時だった。
◇
《警告》
補佐機構が反応する。
《終焉因子濃度上昇》
◇
ユウトの表情が変わる。
「またか」
どうやら奥へ進むほど濃くなっているらしい。
その先、通路の終点に巨大な扉が見えた。
他の扉とは明らかに違う。
鉄で作られた重厚な扉。
中央には見慣れない紋章。
「ここは……」
レオンが息を呑む。
老人の表情が険しくなった。
「実験区画じゃ」
静かな声だった。
「本当の地獄はここから先じゃよ」
第七十七話をお読みいただきありがとうございました!
研究日誌の内容も少しずつ不穏になってきました。
終焉因子による実験。
そして被験体達の末路。
いよいよ研究所の闇が見え始めています。
それではまた次回!




